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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第14章 随意なる黄昏は英雄と共に

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509.意外なパーティーメンバー


○戦士.Lv68になりました。サブ職業セット機能がプラス1されます。



 あまりサブ職業だけを使い分ける事も無いし、今の俺にはイマイチな恩恵だな。


「よし、行くか」


 突発クエスト・復旧まで耐え凌げるか、が終わってからおよそ二時間後、俺は()()で“神秘の館”を出て……悪魔の神殿前へと戻って来た。


「えと……牛の番犬」


 トゥスカが申し訳なさそうに指輪を使用し、双頭の黒巨犬を呼び出して跨がる。


「悪いな、トゥスカ……無理させて」


 クエストで疲れているトゥスカに付いてきて貰うのは、トゥスカが俺の奴隷であるためパーティーから外せないからだ。


「奴隷から解放するというご主人様の提案を断り続けているのは私です。お気になさらないでください」


 これまで度々、この主従関係でトラブルに巻き込まれているから、そろそろ解放しても良いと思ってるんですがね、俺は。


 トゥスカがあまりにも嫌がるため、仕方なく連れて行くことに……まあ、傍に居てくれる方が嬉しいけれど。


「むしろ、奴隷であるのを口実にマリナを出し抜けたので、最高の気分です。フフフ」


 なにを競っているんだ、お前達は。


「トゥスカ様、失礼します」


 クオリアが、トゥスカに引っ張られて後ろに乗り込む。


目が見えないクオリアの負担を減らすため、トゥスカと共にオルトロスで移動して貰う事にしていた。


「それにしても英断だったな、この私と()()()()()()()()()()()()()()


挿絵(By みてみん)


 面白そうに笑っているのは、ヴァンパイアロードの隠れNPC、エルザ。


「隠れNPCは疲れないからな」

「……俺から提案しておいてなんだけれど、本当に大丈夫か?」


 疲れないとは言うけれど、メルシュが息切れしている所は何度か見てるし……ベッドの上でだけだけれど。


「“ソーマ”も飲んだし、MPももう少しで全快する。問題はないぞ」


「いや、一番怪我してたんだろ?」


 チトセとリューナを守るため巨竜となったエルザは、攻撃を受けざるおえなかったらしい。


 なのに、俺の提案にチトセがエルザを推したのだ。


 俺としても、ネレイスよりも強力なエルザが付いてきてくれるのはありがたいんだけれど……。


 第二大規模突発クエスト。どんな内容になるか分からない以上、戦力は少しでも欲しいし。


「もう魔法で治っている。塞がってしまえばなんともない。ほら、遅れてる分、さっさと進むぞ」


 サバサバしてる所は相変わらずだな。


「ねー、この土台ってなにかなー?」


 地下空間を侵蝕しようとしているかのようなデザインの神殿、その敷地内に入ってすぐ、通りの中心にあるなにも無い六角柱の土台について訊いてくるクレーレ。


「たぶん、隠れNPCのメフィストフェレスが居た場所だ」


 既に誰かが契約してしまっているため、彼女の姿は無い。


「さっそく出て来ました」


 土台より少し奥へと進んだ途端、細身の有翼人型悪魔――レッサーデーモンが飛翔しながら来襲して来た。


「とっとと片付ける。トゥスカ!」

「はい!」


 トゥスカから、薄いブラウンのブーメラン――“偉大なる英雄の光擴転剣”を受け取る。


「――ハイパワーブーメラン!!」


 久しぶりのブーメラン攻撃で、二体のレッサーデーモンを両断。


「ベクトルコントロール!」


 軌道を操り、次々と始末していく。


 “大戦士”のサブ職業のおかげで、武器を選ばずに戦えるのは地味にありがたい。


「ギオジィだって疲れてるんだから、私達に任せなよ」

「クレーレ様の言うとおりです、ユウダイ様。ここはお任せを」


 クレーレとナターシャに止められる。


「そう……だな」


 身体を動かしたい衝動を宥め、エルザを含めた三人に雑魚狩りを任せることに。


「コセ様……もしかして」

「ええ、そうなんでしょう」


 クオリアとトゥスカにはバレバレか。


 ――俺は、リョウを殺した事に動揺している。


 今は、すべき事が明確だから、ある程度自分を律していられているだけ。


「誰かを殺してこんな気分になったのは、始まりの村以来か……」


 それとも……リョウの死について、エレジーに伝えるのを恐れているのだろうか。


 俺が、この手でリョウを殺したって伝える事を……。


 アイツを殺した時に剣を握っていた左腕が……ブルブルと微かに震えていた。



●●●



「初めましてと言うべきでありんすかね、メルシュ」


 三十六ステージの祭壇の麓にて、ヤクザの隠れNPCであるオリョウに出迎えられる。


「まあ、そうね。で、なにかあったの?」

「マスター、ヴァルカの指示で出迎えに。それと、これを渡しておくでありんす」


 オリョウから鍵を受け取る。


「なるほど、助かるわ」


 石の城地下への入り口を開ける鍵。


 これで、幾分か時間を短縮できる。


「それにしても、随分な大所帯でありんすね、()()()()()とは。パーティーでは見掛けなかったはずの顔がチラ、ホラ」

「半数以上は、一つ前のステージで取り敢えず組むことになった人達なの」


 この人数を纏めるのは大変だけれど、《ザ・フェミニスターズ》のリーダーであるタマコがヒビキに従順であり、メンバーがタマコを信頼している風だから、人数の割にはかなり楽。


「ちょうど良い。ヴァルカに用があったのだけれど、貴女からコレを渡してくれる?」


 私が実体化して差し出したのは――SSランク、“ブラッディーコレクション”。


「……本気でありんすか?」

「私のマスターが決めた事よ。この武器は、私達の仲間の命を奪いすぎている」


 エレジーに気を遣ってるんだろうな、たぶん。


「なにより、使いたいって人間がうちに居なくてね」


 太刀を振るうのはユイだけであり、そのユイがこの血の太刀を拒んだ。


 常識で言えばレギオンの誰かに使わせるべきだけれど、あのユイが拒んだのであれば何かを感じ取ったのだろう。


 おそらくは、この太刀を自分が所持する事で引き寄せてしまう因果を危険だと感じた……とかかな。


「隠れNPCの誰かに使わせれば良いだろう?」

「どうやらSSランクは、NPCは装備不能に設定されていたみたいなの」


 マスターがこの“ブラッディーコレクション”を手に入れるまで、わざわざ気付けない設定にされていた。


 タマのSSランクはイレギュラーな方法で手に入れたためか、他の人間には譲渡出来ない仕様になってたし。


「ただ、渡す条件が一つあるわ」

「なんでありんす?」



「――ヴァルカ以外の人間には使わせないこと。これが、コセからの絶対条件よ」



「……マスターにもそう伝えると約束するでありんす」


 こちらの危惧について、察してくれた様子。


 さすが、もう一人の私。


「ところでオリョウ」

「なんでありんすか?」


「……どうして狐耳を生やしてるの?」


 戦闘時でもないこの状況で、わざわざ“半ベルセルク”のサブ職業を装備する必要は無いはず。


「……コレを付けんと、ヴァルカ様がわっちを女として見てくださらんのでありんす♡」


挿絵(By みてみん)


 コイツ、ヴァルカに惚れてんのかよ。


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