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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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504.震える地下鉄都市

 教会にて、“波動剣のスキルカード”を使用。


「“波動剣”」


 青白い緩やかな波を起こす、真っ白な両刃剣を呼び出す。


 更に昨日手に入れた“王族の妄執”を使用し、“波動剣”を“波動王剣”へと進化。


 すると、“波動剣”が少し大きくなり、形状はより攻撃的に。


「王と名の付く剣は、Sランク扱いだったな」


 これで、俺のスキル武器は四つ。


「スキル欄に余裕が出来たからって、少し増やしすぎかな?」


 この前、スキルカードで“光属性強化”だって手に入れたし。


「ああ、ギオジィ! なに遊んでるの!」


 ドレスアップを終えて出て来たクレーレに窘められる。


「遊んでたわけじゃないぞ」


 “波動王剣”を消し、神父の前へ移動。


 すぐに、薄い青と緑のウエディングドレスを着たクレーレが駆けよって来る。


挿絵(By みてみん)


「その格好で走ると危ないぞ、クレーレ」

「そっかな? フフ」


 なにがおかしいのか、突然笑顔に。


「結婚しよ、ギオジィ♪」


 無理矢理に腕を組まれる!


「お、おう……」


 トゥスカ達基準だと、成人は十五歳。


 クレーレは十四歳だし、この結婚はあくまで婚姻の指輪をプレゼントするための物。


 そもそもクレーレが、俺との婚約をどう捉えているのか判らない。


「やはりよく似合っていますよ、クレーレさん。いえ、クレーレ様」


 ドレス選びを手伝っていたナターシャがやって来る。


「ありがとうな、ナターシャ」

「ユウダイ様の伴侶となられる方のためであれば、むしろ光栄な事かと」


 心からそう思っていそうな表情。


 ……性格設定をしないと、こうまで従順になってしまう物なのか。


「ユウダイ様?」

「いや、なんでもない。そろそろ式を始めようか、クレーレ」

「うん! 結婚式を挙げたい!」


「この場に居る者だけで良いのなら、すぐに始められますぞ」


 神官NPCの言葉ののちに現れた俺とクレーレの名を、チョイスプレートに書き込む。



○結婚式が申請されました。1000000G払い、結婚式をすぐに始めますか?


★すぐに始める ★式日と時間を設定する

仕込み(サクラ)を投入してすぐに始める



「この文章、何度見ても闇深いな」


 友達が欲しいと思わない俺からすると、嘘でも友人が多いと思われたい奴の気持ちがまるで分からない。


「ねー、サクラってなにー?」

「さあ」


 クレーレに、こんな闇深い概念を教える必要はないだろう。


 保護者として、クレーレの情操教育には責任を持たねば!


 当然のごとく、すぐに始めるを選択する。


「準備が出来たのなら、すぐに始められますぞ」


 既にドレスアップを済ませているためか、すぐに神官のお爺さんのオーケーの言葉が。


「「お願いします」」


「ではこれより、婚姻の儀を執り行う!」


 一対一は久しぶりだからか、妙な緊張感が。


「互いを慈しみ、愛し、守ると、心に誓いなさい」



●●●



「一人、300Gになりまーす」


 生活区画の東駅へとやって来た私、トゥスカ、ウララさん達のパーティーは、駅員NPCとでも言うべき男にお金を払い、トロッコに乗り込む。


「まさか、自分がトロッコに乗る日が来ようとは」


 三人分くらいの横幅があるトロッコの右側に寄り、トロッコ側面上部に取り付けられた手摺りを掴む。


「これってやっぱり、ほぼ鉱山用の無人トロッコよね?」


 トロッコ列車みたいに、座る場所があるわけじゃないし。


 私の隣にはウララさんが乗り込んできて、後ろにカプアとバルバザードが。


 するとトロッコ側面の横ドアが勝手に閉まり、残りのメンバーは、連結された後ろのトロッコに乗り込むことに。


「時間となりましたので、発射しまーす!」


 トロッコがゆっくりと動きだし、次第に速度がのってきてゴォォという音に耳が覆われていく。


「マリナちゃんて、どうしてトゥスカちゃんにだけ突っ掛かるの?」

「へ?」


 突然、ウララさんに話し掛けられた。


「何故って……アイツが、私の最大のライバルだから」


 口にした瞬間、自分のトゥスカへの想いが一気に滑稽に思えてくる! いや、自覚はあったけれども!


「トゥスカちゃんも、同じように感じているのかもね」

「へ?」

「だってトゥスカちゃんが反抗的になるの、マリナちゃんに対してだけだもの」

「それは……」


 ちょっとニヤけそうになっている自分が居る。


「スピード、落ちてきたね」

「そ、そうですね」


 なんで私、こんなに……。


「私も、ライバルって思って貰えるようになれるかな……」

「ウララさん?」


 その目は正面を見ているようで、どこか遠い場所を視ているようだった。


「こちら発掘区画ー。発掘区画になりまーす」


 駅員NPCがさっきからウッサい!



●●●



「昨日手に入れた破損武具、修理して来たぞ」


 商業区で一度別れ、鍛冶屋へと赴いていたリューナさんとネレイスさんが戻って来ました。


「こっちも、薬品の素材、その他諸々の買い込みは終わりました」


 手分けして旅の準備を済ませた私達。


 と言っても、魔法の家があるため旅用品、薪などを買い足す必要がないので短時間で終わる。


「突発クエストやらで良い装備が手に入っているから、わざわざ街で買い物をする必要が無いのは、なんだか寂しいな、チトセ」

「確かにそうですね」


 地下鉄都市はコンクリートで出来たようなドーム型の建物ばかりなため、見回る気もあまり起きない。


「そう言えば、武器の修復ってすぐに終わるんですね。作製だと丸一日掛かってた気がしますけど」

「本来は半日だが、修理費が倍になる代わりに時間を短縮出来る“高速修理”を選択したんだ。それでも一時間も待たされたけれどな」

「ゲームなら、一瞬で修復されても良い気がしますけれ――」


 ――――あまりにも突然の轟音と激しい地面の揺れに、思わず膝を付いてしまう私!!


「……収まった……今のは一体?」


 リューナさんが差し出してくれた手を取り、立たせて貰う。


「さっきの、震源は一カ所じゃないな。なにか分かるか、サカナ?」


「線路の方からだったってくらいしか、私にも分かりませんの」


「一スキルによる攻撃にしては、発生したであろうエネルギーの規模があまりにも大きすぎる」

「ええ、プレーヤーの仕業とは思えません」


 エルザとヘラーシャが疑問を口にしている時だった。



『これより突発クエスト、復旧まで耐え凌げを始める!』



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