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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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503.地下鉄都市

「――“神代の剣”!!」


 “サムシンググレートソード”に九文字刻みながら青白い剣を伸ばし、宝飾烏の腹を貫いて天井に突き刺す!


「今だ!」


「“神代の転剣”――“逢魔転剣術”、オミナスブレイズ!!」

「“神代の霊剣”――“硝子剣術”、グラススラッシュ!!」


 トゥスカの“荒野の黄昏は大いなる導”とマリナの霊炎の斬撃が、動きが止まった宝飾烏の翼をそれぞれ切り裂いた。


「“光擴”」


 “偉大なる英雄の光擴転剣”、その中央に翠光の刀身を生成し巨大化させるトゥスカ。


「“古代転剣術”――オールドスラッシュ!!」


 トゥスカの投げ放った三メートルを超えるブーメランが魔神の首を落とし――俺の方にブーメランが!


「おっと!」


 咄嗟に掴み取った瞬間、藍色の光が出て“偉大なる英雄の光擴転剣”に吸い込まれていったような……。



○おめでとうございます。魔神・宝飾烏の討伐に成功しました。



「すみません、ご主人様」

「ああ、問題ないよ」


 “収縮”を使用してから、駆けよってきたトゥスカに返す。


「トドメは取られたか、チ!」

「フ! 私の勝ちですね」


 マリナと接している時のトゥスカは、精神年齢が下がって見えるな。


「今に始まった事じゃないけれど、今回も出番無しか~」


 つまらなそうなクレーレ。


 もしかして、ヴァルカと攻略していたときも蚊帳の外だったのかな?


「相手が一体のみでは、我々の出る幕はございませんね。さすがにございます」


 ナターシャは褒めてくれている……ようでむくれてる?


 俺達はメルシュのために、“宝飾烏の指輪”以外を一つずつ選んだ。



○これより、第三十七ステージの地下鉄都市に転移します。




●●●



「……暗いですね」


 転移の光が消えてすぐに、トゥスカから放たれた言葉。


「地下鉄都市……言葉通りの地下か」


 土なのか石なのか分からないけれど、日の光が差さない広大な地下空間が目の前に広がっており、各所に取り付けられた橙味の灯りが頼りなく辺りを照らしている。


「この祭壇周りは明るいけれど、イマイチ全体は見えないわね」

「ノーザン姉ちん達はどこに行ったんだろう?」


 マリナとクレーレの言葉を受け、先に来ているはずの皆を探す。


 まさか、突発クエストに巻き込まれたとかじゃないよな?


「皆さん、既に祭壇の麓に居るようです」

「麓?」


 ナターシャの指摘に祭壇を下りたすぐ先を見ると……ローカル駅のような物があり、そこでリューナが手を振っていた。


「地下鉄都市ってまさか……」



             ★



「……こういう事か」


 祭壇を降りた先にあったのは予想通り駅で、この場所から二つの線路が伸びているらしい。


 駅は赤煉瓦で出来たレトロ感のある場所で、ファンタジー感ある売店……パン屋と薬剤店がテナントを利用する形で? 入っていた。


「左が下りで、右が上り……」


 案内板を見付け、読み解いていく。


「下りはここが終点で、上りは生活区画の南駅。その生活区画の東駅からは、宝石などの鉱物の発掘地へ。西駅からは商業区で、北駅からは悪魔の神殿跡地に繋がってますよ」


 ウララさんが教えてくれる。


「……悪魔の神殿跡地から三十七ステージのダンジョンか。よし、今日の攻略はここまでにして、一旦引き上げよう」


 メルシュから情報を聞いてから動いた方が効果的だ。



             ★



「《ザ・フェミニスターズ》から、そんな申し出をね……」


 メルシュとヒビキさんから、一通りの説明を“神秘の館”の食堂で受ける。


 もし敵対するとしたらメルシュ達が危険だなと不安視してたから、少し安心した。


「私からもお願いします、コセさん」


 恭しく礼をするヒビキさん。


「どうする、マスター?」

「敵対せずに済むならありがたいけれど、今回の大規模突発クエストで何人生き返らせる事ができるか判らないとなんとも」

「つまり、協力する方針という事で良いのですね?」


 ヒビキさんの嬉しそうな顔は心苦しいけれど……。


「優先順位はあくまでうちのレギオン、次に同盟相手の《獣人解放軍》、その次が《ザ・フェミニスターズ》です」


「当然ですね」


 あっさりと納得してくれるヒビキさん。


「ヒビキさんも仲間を失ったと聞きましたけれど……良いんですか?」

「蘇生条件が揃っている私のかつての仲間の中に、このレギオンに有益な人材は居ません」


 ドライというか、サッパリと言い捨てるヒビキさん。


「リューナやチトセ、他の皆は?」


 二人も、パーティーメンバーを失った過去があったはず。


「残念ながら、プレーヤーに殺されてしまったからな」

「私は、生き返らせたいと思える相手が居ません。生き返らせても――役に立たないでしょうし」


 悲しそうなリューナと、貼り付けた笑顔が怖いチトセ。


「レイナ達にも居ないから、そっちは気にしなくていいよ」

「助かる」


 伝えてくれたシレイアに礼を言う。


「トキコさんは……そう言えば居ないんだった」

「今日も隠れ家の方で過ごしてるんだ?」


 メルシュに尋ねられた。


「ああ」


 この家で過ごす俺達と、空気が合わないらしい……飯は欲しがるけれど。


「そう言えば、リューナの奴隷だったノゾミって人、今はウララさんの所に居るんでしたっけ?」


 確か、十二ステージから攻略に参加していないオリジナルプレーヤーだったか。俺はまだ会ったことがないんだよな。


「はい。すすんで掃除もしてくれるので、助かってます!」

「ノゾミは良い人です!」


 ウララさんとカプアさんは気を許している様子。


「ユニークスキルの情報も貰ったりしているし、そのうち礼を言いたいな」

「そ、それは……やめようじゃないか」


 何故か焦りだすリューナ。


「……リューナ?」


 サンヤは気にしている様子は無いけれど……なにを慌てているんだ?


「それで、隠れNPCのメフィストフェレスはどうだった?」


 メルシュが尋ねてきた。


「いや、ダメだった。ウララさんは?」

「全ての“キングファントム”を倒しましたけれど、“契約の悪魔像”は手に入りませんでした」

「じゃあ、既に契約済みか。やっぱり、今後は隠れNPCと契約するのは半ば諦めた方が良いかもね」


 第一回大規模突発クエストの景品のせいでか。


「ねー、ギオジィ! 私とはいつ結婚してくれんの?」

「グフ!!」


 クレーレの突然のブッコミに、ボディーブローを食らった気分に。


「ああ……メルシュ、地下鉄都市にそういう場所は……」

「生活区画に教会があるよ」

「というか、まだ結婚してなかったのかよ」


 ザッカルに指摘される。


「いや、タイミングがちょっと……」


 “獣の聖地”で挙げる場合、ヴァルカを呼ばないわけにもいかなかったし、クレーレが正式にうちに来たのはウララさん達と既に式を挙げた後だったから。


「明日、早朝に式を挙げようか?」


 この流れでの提案、なんか申し訳ないな。


「うん、良いよー!」


 なんでそんなに嬉しそうなのか、クレーレの考えがちょっと判らない。


「と、ところでメルシュ、この剣について確認したいことが」


 俺は誤魔化すように“名も無き英霊の劍”を実体化し、“湖の主”との戦闘で起きた現象について皆の前で話した。


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