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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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487.発掘作業

「じゃあ、“流刑の孤島”では誰も鳥人を買わないのか」


 ”決闘場”での戦闘訓練を終えた日の夕刻、“神秘の館”にてメルシュから攻略状況を聞いていた。


「誰も、ビビッと来る相手が居なかったんだって」

「ビビッとって……」


 本来は三十二ステージで鳥人を買わないと進めない場所だけれど、既に俺がクオリアを買っているため、このレギオンに所属する人間のパーティーは問題なく進む事が可能。


「ちなみになんだけれど、女の集団が女鳥人を大量に買っていったって喋ってるのがいたよ」


「《ザ・フェミニスターズ》かもな」


 男に対して特に過激な思想を抱いている、女だけのレギオン。


 まあ、下っ端扱いの男が、俺が始末した奴等以外にもいるかもしれないけど。


「そんなことがあって、売られてる奴隷の数も少なかったんだよね」

「だとすると、《ザ・フェミニスターズ》は近場に居るかもしれないのか」


 三十一ステージを攻略中なのか、三十二ステージに既に到達して居るのか。


 大規模突発クエストの時点でレギオンメンバーの何人かは三十一から四十ステージまでの組に居たみたいだし、俺の予想よりも上のステージまで到達している可能性もあるかも。


「男女関係なく自分達の主張を押し付けてくるような奴等だ。気を付けろよ、メルシュ」

「アイツら、神代文字は使わないとはいえ、一人一人が本当に強かったからなー」


 実際にメンバーと戦ったリューナとマリナが、注意を呼び掛けている。


「マスターから見た彼女達は?」

「戦ったのは十手使いの一人だけだったけれど、まあ頑固というか……でも、意外と融通は利かせてくれたんだよな」


 大規模突発クエストの際に偶然再会した時は、俺を目の敵にしつつも仲間との合流を優先していたし。


「なるほどね。こりゃ、遭遇したら一筋縄じゃいかないかも」


「で、メルシュ達は明日一日休んで、明後日から攻略開始だっけ?」

「うん。流れ物屋もあるしね」


 毎日品揃えが変わって、安い値段で良いアイテムが買えるかもしれないっていうあれか。


 となると、俺達と違ってメルシュ達は、三回は品揃えを確認できるわけだ。


「そう言えば、三十六ステージの隠れNPCについて聞いていないのですが、既に誰かが手に入れて居るのですか?」


 ノーザンが会話に入ってくる。


「ああ、契約のためのアイテムを手に入れる事が出来なかったからな」

「ちょっと特殊な隠れNPCだから、出来れば自軍に加えたかったかな」


 メルシュがそこまで言うとは。


「どういう隠れNPCなんだっけ?」


 リューナが尋ねてきた。


「種族名はアルティメットナハト。戦士職で、“究極の夜”と“昼夜逆転”ていうデタラメな固有スキルを持ってる」


「名前がいかにも凄そうだけれど」


「マリナの言うとおりで、“究極の夜”っていうのは、十八時から六時まで、相手の防御系能力は自分の攻撃に対しては発揮されないという代物だよ」


 一度聞いてはいたけれど、地味にとんでもいない能力だよな。


「更に“昼夜逆転”は、六時から十八時までを夜、十八時から六時までを昼と仮定するスキルで、前者と組み合わせると時間帯の縛りがほぼほぼ無くなるから、かなり使い勝手が良い強力なスキルと言えるわけ」


 俺の“拒絶領域”でさえも、“究極の夜”に対しては無力らしい。


 それを、実質時間の縛り無く使えるのは厄介過ぎる。


「夜にしか効果を及ぼさない能力なんかもあるし、どうにか手に入れたかった所だけれど」

「直接ぶつかることになったら、注意しなければならないな。外見的な特徴は判るか?」


 リューナがメルシュに尋ねる。


「黒い鎧に片刃の大剣、短い癖っ毛の黒髪が特徴的かな。かなり自己顕示欲が強い性格だから、遭遇すればすぐ判ると思うよ」


 自己顕示欲ね。


「そう言えば、隠れNPCシャドウのアルティメットナハトには、誰も遭遇していないのか?」

「多分ね。手に入れた隠れNPCのサブ職業の中には、“亜流手鍍人名覇砥(あるてぃめっとなはと)”は無かったから」


 サブ職業と隠れNPCの種族名に違いが無いの、珍しいな。


「ていうか、遭遇していない隠れNPCでも問題なく判るんだな、お前」


 リューナのメルシュに対する指摘。


「隠れNPCに関してなら、入手法以外のデータは全部知ってるからね」


 本当は他にも、色々ダンジョン・ザ・チョイスについて知ってそうだけれど、話す気はないんだろうな。



●●●



「……暑い」


 第三十三ステージの”発掘村”にて、日射の厳しい中、砂漠で化石発掘をしている私達。


「――ガウ!!」


 ハケで骨から砂を払いながらルイーサ達と発掘を進めていると、突然バニラの敵意の声が!


「あ、なんだ」


 砂漠を駆けてバニラが両断したのは、サンドスネークとかいう雑魚モンスターだった。


「コイツの出番は無さそうね」


 “水星のアームロッド”、Sランク。


 銀の持ち手と、藍色甲手付きの水色腕が先端に付いた杖。


 関節が二つ付いていて、私が今まで使っていた“レッドストーンのテクニカルロッド”の完全な上位互換。


「随分それが気に入ったみたいだな、アヤナ」

「まあね」


 ルイーサに自然な笑みを返せる私。


 ただ、今までとは笑顔の作り方が違うのが自分でも判る。


 それ自体を悪いとは思わないどころか、今の方が自分らしい笑みだって思えてしまう。


「今までの私って……」


 洋服とか芸能人とか、人並みに興味を持たなきゃ話題についていけないって……強迫観念みたいな物を無意識に抱いていたんだなって……認識できる。


 双子なのに、まったく性格が違っていたアオイ。


 アオイは、どんな風に世界を視ていたのだろう。


「おーい。手を動かしてくれっすよ、二人とも」


 山猫獣人のサンヤに、やんわりと睨まれる。


「ああ、ごめん」


 昨日パズルで手に入れて貰った“水星のアームロッド”に、貸し出しされている発掘道具の巨大ハケを握らせて作業を続行。


「お、光り出したぞ!」

「発掘作業完了の合図です」


 化石から青白い光が漏れ出すと、はしゃぐルイーサにヒビキが教える。


 ヒビキは上のステージから落ちてきたから、当然この発掘作業も経験済みなわけだ。


「小さくなったっすね」


 光が止むと、巨大な恐竜のような化石が手のひらサイズの石に。


 石の中央には、さっきまで発掘していた骨にそっくりな物が埋まっている?


「この“化石のレリーフ”を道具の貸し出しをしていた考古学者の所に持っていけば、指輪に変えて貰えるぞ」


 マクスウェルの隠れNPC、フェルナンダが説明してくれた。


「これで、もう発掘作業せずに済むんだ」


「メルシュに課された最低ノルマをクリアしたからな。だが、もう一度金を払えば再度発掘する事も出来るぞ?」


「「「「遠慮しとく」」」」


 フェルナンダ以外の全員、この猛暑は懲り懲りみたい。



○“頭突き恐竜の指輪”を手に入れました。




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