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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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485.ヘラメイドエルフのヘラーシャ

『と、突発クエスト……変異種を討伐せよ……クリア!!』


「終わったみたいだね」


 コトリさんが高度を降ろし、滝近くに着陸してくれる。


『報酬は、倒されたデッドリーシャーク一体につき10000G。参加者全員に540000(五十四万)Gが与えられる』


「もしかして、ザッカルさん達が倒した分も合わせて一人一人に?」

「金だけ与えて、良い武具は寄越さないつもりなのかな?」

「なるほど」


 コトリさんの言葉に、《龍意のケンシ》がゲームマスター側に狙われていることを思い出す。


 私達の戦力強化を避けるため、大金を代わりの報酬にしようって事ですか。


 強力なSランク武具は、お金で手に入る事はほとんど無いみたいですし。


『変異種を倒した物には、特別報酬が与えられ……以上!!』


 投げ槍に声が聞こえなくなると、滝の色が紫から緑に変わっていく。


「ねーねー、特別報酬ってなんだったの?」


「へ? そうですね」


 皆が集まってくるまでに、ライブラリで確認しておきましょうか。



○“猛毒魔法のスキルカード”×2を手に入れました。

○“アサシン・エルの劇毒服”を手に入れました。

○“紫幻の悪夢に酔い痴れ”を手に入れました。



 なんか、キクルさん向きの装備かも。



●●●



「……ぅ」


「お目覚めになられましたか、大旦那様」


 ベッドの上で眠る俺を覗き込むように声を掛けてきたのは、右が赤、左が青い髪で、首辺りから三つ編みツインテールにしている可憐なエルフ美女。チトセの使用人NPCであるヘラーシャだった。


挿絵(By みてみん)


 名前は、チトセが半分ふざけて付けた物。


 “淑女な侍女服”だけれど、チトセの意見で胸とか脚とか肩とか、かなり露出するデザインに。


 今回はチトセが積極的に意見を出してくれたから、俺がからかわれる心配は無い……はずだけれど、見た目がちょっと際どすぎる。


 もう、そういうプレイ用のメイド服にしか見えない。


「へと……」

「大旦那様は、例の剣を生み出したのち気を失われましたので、“崖の中の隠れ家”にお運びいたしました」

「ああ、そっか」


 色々思い出してきた。


「トゥスカ達は?」

「……やはり目覚めた時、トゥスカ様やチトセ様が傍に居た方が宜しかったでしょうか?」

「それは……まあ」


 他人が居るよりはな。


「――そんな!!」


 大袈裟に自分の頭を抱え出すヘラーシャ。


「ヘラーシャ?」

「そうですよね……そうですよね。私のような無愛想な使用人より、綺麗な奥様方の方が断然宜しいですよね」


 ……忘れてた。チトセによって、ヘラりやすい性格に設定されていた事を。


 なんでこんな設定にしたんだよ、チトセ!


「まあ、気にしないで」

「こうなれば、もう脱ぐしか……グヘへへへ!!」

「なんでそうなる!」


 下品な笑みを浮かべとるし!



「――ヘラーシャ」



 赤青メイドが肩紐を外しかけた瞬間――部屋の扉がゆっくりと開き……冷たく笑みを浮かべるナターシャがそこに。


「め、メイド長!?」

「メイド長?」


 いつの間に、ナターシャはメイド長になったんだ?


「私よりも先に手を出そうとは、良い度胸ですね」


「……も、申し訳ございませ――いだダダダダ!!」


 ヘラーシャの耳を引っ張り、部屋の外に連れ出そうとするナターシャ。


「あの……」


「すぐに誰か呼んで参りますので」

「あ、はい」


 ナターシャが怖い。


「た、助けてください、大旦那様ぁー!!」


 訴え虚しく、連れて行かれるヘラーシャ。


「年齢設定ではヘラーシャの方が上のはずなのに、むしろ逆に見えたな」


 ナターシャが俺の使用人NPCであるためか、力関係は完全にナターシャの方が上らしい。


「……さて」


 チョイスプレートを操作し、文字化けだった直刀をライブラリで確認。


「まさか、十五番目のSSランクになるなんて」


 強大な力を宿しているらしいSSランク武具。


 果たしてこのイレギュラーな剣、“名も無き英霊の劍”はどんな力を宿しているのか。


「…………効果が……無い?」


 嘘だろ……本当に一つも載って無いぞ!!



●●●



「じゃあ、気を付けて」

「そっちもな」


 天空遺跡の建造物内部にて、レギオンメンバーを二つに分けて進むことに。


 ジュリー、ルイーサ、ユイのパーティーは地下の“研究施設”へ。


 ユリカ、サトミ、私が居るクマムのパーティーは建造物の上、“完成品展示室”を目指す。


「上は、Sが一つにAが二つ、確定で手に入るんだったわね」


 カナが確認してくる。


「うん、その通り」


 全員で、バカみたいに広い階段を上っていく。


「ただ、別々のパーティーが一緒に展示室に入ると、二つのパーティーでS一個のA二個になっちゃうから、注意して」


 そうこうしているうちに、階段を登り切って展示室入り口前へ。


「なんか凄そうなのがガラスケースの中にいっぱい見えるけれど、全部手に入れてくれば良いの?」

「残念だけれど、手に入れられるのは割れたショーケースの中身だけだよ」


 ユリカの質問に答える。


「割れるショーケースはランダム。パーティーが入ると割れだすから、なにが手に入るかは判らない」


「では、パーティーを出来る限り分けますか?」


 クマムの問い。


「そうだね。ただここのショーケース、パーティーが三人以上じゃないと割れないから」


 というわけで、私とモモカとバニラ、クマムとナノカとナオ、ユリカとヨシノとレリーフェ、サトミとクリスとリンピョン、メグミとカナとタマの五パーティーで順に中へ。


「行くよ、モモカ、バニラ」

「うん、メルシュ!」

「アウ!」


 モモカとお手々を繋いで、兵器が並べられた展示室内部へ。


 すると――三十九あるショーケースのうち、ランダムに九つが割れた。


「ガウガウ! グルルルル!」

「モモカ、バニラに大丈夫だって伝えて」

「バニラ、ドードー」

「ガウ!」


 モモカが落ち着いているからか、すぐに大人しくなってくれる野生児バニラ。


「さてと……お、目当ての一つがさっそく手に入った」


 割れたショーケース内にあったのは、刃物だらけのメタリックレッドの鎧、“超赤竜の裂刃装鎧”、Sランク。


「モモカ、この鎧をバニラに装備させて。先にこの腕輪もね」

「うん!」

「キャウ?」


 モモカに渡したのは、魔法使いである私がLv46の選択で手に入れておいた“鎧装備の腕輪”。


 バニラは戦士であるため鎧装備欄は既にある物の、この腕輪により鎧欄が二つになる。


 それでも鎧を二つ装備できるわけではないのだけれど、バニラが装備している”超赤竜の裂孔脚”と今手に入れた”超赤竜の裂刃装鎧”は元々セットで使用する設定のため、問題なく両方装備可能。


 まあ、鎧と脚甲のデザイン次第で、同じ系統でなくても装備可能ではあるけれど。


「ガウガウガウー!!」


「私はカッコイイだろー!! だって」


「そ、そうなんだ」


 あのゴリラみたいなガッツポーズを見ると、本当にそう思っている気がしてくる。


「まあ、気に入ってくれたのなら良かったよ」


挿絵(By みてみん)


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