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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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481.過ぎ行く日々

「フッ!!」


 銀色のクロスボウ、“アジャストメント・ギミック・クロスボウ”を横向きにし――上部後方にあるレバーを引くカプアさん。


 すると、装填されているピンク色の“魔力矢”の輝きが増す。


 ジュッ!! という音が微かに聞こえた時には、強化された“魔力矢”が遠くの骨モンスターに向かって放たれ――一撃で仕留めた。


「それが、“アジャストメント・ギミック・クロスボウ”の機能ですか」


 天空遺跡の上を目指した際に手に入れられる、Aランク装備の一つ。


「レバーの引き加減で威力を調整できます」


 撃ったあとレバー部分が自動で戻った……一発撃つごとに自分で引く必要があるのか。


「威力を上げた分MPを消費するので、あまり多用はしませんが」


 三十六ステージの“獣の聖地”近郊で、実際に使うところをわざわざ見せて貰っていたわけだけれど……。


「助かりました。こういう手動のギミックは、ライブラリを見てもあまり分からなくて」


 トゥスカの“多目的ガンブーメラン”の細かな性能を聞いていたら、カプアさんの弓も気になってしまったのだ。


「お、お役に立てたのであれば……」


 昨日結婚したのもあって、お互い少なからず気恥ずかしい。


「ご主人様、クレーレです」

「うん?」


 トゥスカが見据える先から、猛スピードで駆けて来るクレーレ。


「おはよう、クレーレ」

「おはようじゃないよ、ギオジィ!!」


 目の前で急に止まるなり、可愛らしく抗議してきた。


「どうした?」

「どうしたでもないよ! 昨日とか全然尋ねて来てくれないから、お義父さんにお前から会いに行けって追い出されちゃったよ!」

「追い出されたって……」


 深刻そうな雰囲気はまったくないから、言葉ほど重い事態ではなさそうだけれど。


「それと、お義父さんが解放軍では使わない高ランク武器とかを私に持たせて来たから、さっさと受け取っちゃって」

「あ、ああ……それじゃあ、今日からうちのレギオンに、正式に加入って事で良いのか?」


 イマイチ乗り気になれない俺が居る。


「良いよー。それより、誰か私と戦闘訓練してよ!」

「お、おう」


 クレーレか……この子がレギオンに加わった場合、いったいどうなる事やら。



●●●



「“悪夢魔法使い”のサブ職業……ユニークスキルか」


 レリーフェ達から受け取った、赤のメダルを手で転がす。


「闇、風、霊の三属性魔法。闇特化なら誰でも良いかな。今はまだ」


 とはいえ、少々癖の強い魔法。


「“鳥獣戯画”は今アルーシャが持ってるし、戦力バランス的にクオリアの補填に使うべきかな」


 ユニークスキルは強力故に、精神を研ぎ澄ませる機会を減らしかねない。


 その点、盲目故か文字を高いレベルで扱えるらしいクオリアになら、“悪夢魔法”を渡してもそこまで高い利点にはなりえない……か。


 闇と風の“瘴気魔法”主体のクオリアは、“悪夢魔法”との相性も良さそうだし。


「メルシュ、ルート分けはどうする?」


 ジュリーに尋ねられる。


「魔術の真髄の方に魔法使い。それ以外は調合師の墓所へ。魔法使いの隠れNPCと契約しているメンバーも真髄の方ね」


 “魔女精霊”のサブ職業は、大樹村で一つ手に入れた。


「大規模突発クエストで手に入れた分を含めて、“魔女精霊”は三つ」


 隠れNPCの契約アイテムは、次のステージに進むと勝手に消える。


 そのアイテムを誰かが所持している限り新しい契約アイテムは手に入らないため、便利な“魔女精霊”を複数手に入れる事は出来なかった。


 日数を掛ければパーティーの数だけ手に入れられたけれど、ステージごとに戦力を分断している時間が長ければ長いほど、突発クエストに巻き込まれたときのリスクが高くなる。


「それにしても……調合師か」


 墓所で手に入るアイテム次第では、レギオンにもう一人、調合特化が居ても良いかも。



●●●



「私の使用人NPCを、調合師の戦闘侍女に?」


 三十一ステージの鳥葬の廃都へと到達したメルシュから今朝預かった伝言を、チトセに伝える。


「昨日、調合師の墓所で薬液系のアイテムを色々手に入れたらしくて」


 調合師専用と言って良いアイテムを、“吸血

皇の城”の二階食堂に並べていく。


「これは……“薬液ガトリング”ですか。こっちは“薬液マシンガン”。他にも色々」


 チトセ一人では、どうしても使い余してしまう武具の数々。


「でも、それだと同じパーティーに調合師が二人と言うことに。バランスが悪くなるのでは?」


「メルシュが、これを使った戦術を試さないかって」


 チトセに渡したのは、“連携装備のスキルカード”。


「これは?」


「“連携装備”は、自分の奴隷の武器を装備アイテムとして使用できる。その逆も然りだ」

「……? それになんの意味が?」


 表情を見る限り、本当に解らないらしい。


「たとえば、俺の剣をチトセさんに直接手渡したとして、俺が装備している限りチトセさんは装備出来ない」

「そうですね」

「それだと、その剣の効果も自分のスキルも、剣に適用させる事が出来ない」


「“連携装備”があれば、自分の奴隷と主の間でなら装備時同様に用いれると」


「そういうこと。ちなみに、俺はパーティーメンバーを半奴隷化出来る“奴隷王の腕輪”を持っている」


 生かせた場面はほとんど無いアイテムだけれど、アルファ・ドラコニアンとの戦いでは大いに助かった。


「戦闘中に侍女と薬液銃を融通しあえるように、という事ですか?」

「メルシュの考えはそんな所だろうな。チトセみたいに、薬液以外の戦闘手段も必要だろうけれど」


 チトセと契約しているエルザが高いレベルの万能タイプなため、使用人NPCは戦士でも魔法使いでも良い。


 ただ、昨日魔法使い系の装備を大量に貰ったし、レギオン全体では魔法使いの方が少ないため、やはり魔法使いを選んでくれると助かる。


「……」

「なにか気に障った?」

「いえ……その、キャラクリが苦手で」

「ああ」


 そう言えば、発掘村でそんなこと言ってたな。


「手伝いますよ」


 ……あれ? これだと、三人もの使用人NPCのデザインに関わることに……。


「ありがとう、コセくん♡」


 そんな幸せそうな笑顔を見せられたら……今更断れない。


 チトセの意見を参考にしつつも、結局、ほとんど俺が決めることになってしまった。



●●●



「暑い。俺らだけだと、モンスターの殲滅は骨が折れそうだな」


 キクル達十人と共に“砂漠の四層都市”の第四層へとやって来たが、この更に下に降りるには四層に棲息しているモンスターを全滅させなきゃならねぇらしい。


「“砂漠魔法”――デザートトルネード!!」


 砂煙を上げながら近付いてくるモンスターに対し、髑髏が幾つも括りつけられた杖の先で生み出した魔法陣より、砂の竜巻を放つアルーシャ。


 その砂竜巻は砂煙の主、デザートハンマシャークの巨体を空中へと巻き上げちまう。


「ザッカル様!」

「おうよ! ――“悪穿ち”!!」


 念のため三文字刻んだ“万の巨悪を穿て”を投げ打ち――デザートハンマシャークに風穴空けてぶっ倒す。


「さすがザッカルさん!」

「アルーシャさんも、さすがのアシストです」


 コトリとケルフェが褒めてくれる……まったく、可愛い奴等だぜ。


「お疲れ様だ、ザッカル様」

「ザッカル様ねー」


 様付けされるのは、どうもむず痒い。


「これからは呼び捨てで良いぜ、アルーシャ」


 ぶっちゃけ、コイツも無理して敬称で呼んでいる気がするし。


「そうか。では、そうさせて貰おう」

「お前……」


 コセの奴、アルーシャをこんな面倒な性格にしやがって!


「あ、滝の色が変わっていき……あれ、緑じゃない?」


 エレジーの言うとおり、滝の色は緑ではなく紫へ。


「どうなってやがる?」



『これより突発クエスト――変異種を討伐せよを始める!』



「チ! クソ野郎が!!」


 よりによって、パーティーごとに行動している時に仕掛けてくるとはよ!!


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