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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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480.悪夢の魔女と煉獄の戦友

「“魔突き”!」


 “エルヴンレイピア”で魔女が放った魔法を霧散させ、距離を詰める!


「“暴風剣術”――サイクロンストライク!!」


 四本腕の大柄な魔女の胸を貫き、仕留めた。


「こいつは、このエリアの管轄者じゃんないんだよな?」


 隠れNPCであるヨシノに確認する。


「“アームズウィッチ”。本来はこの辺りで出るはずがない、レアモンスターです」


「レアモンスター?」


 チョイスプレートを開くと、“アームズウィッチのスキルカード”を入手していた。


「コイツのカードからは、どういうスキルが手に入る?」

「スキルそのものは手に入りません。“二重魔法”を“三重魔法”に、“三重魔法”を“四重魔法”に進化してくれるのです」

「なら、このカードはユリカに渡しておこう」


「サンキュー……で、この状況はなんだっけ?」


 ユリカがヨシノに尋ねる。


「おそらくですが、ユニークスキルを手に入れられる隠しイベントではないかと」

「なるほど。それなら、メルシュとジュリーから情報が無かった事に説明がつくか」


 攻略情報はあの二人から与えられるが、ユニークスキル関係はあまり把握していないらしいからな。


「魔女の管轄区に足を踏み入れたパーティーをランダムに、イベントに強制参加させる仕組みなのかと」

「私達が巻き込まれたのは偶然というわけか……ユニークスキル。だとすると、私達は運が良いのかもな」


 一つしか存在しないとされる強力なスキルを、私達が手に入れられるチャンスなのだから。


「私が“星屑魔法”を手に入れたときと同じ流れなら、この先に厄介な敵が居るはず。気を引き締めた方が良いわ」


 普段気を緩めがちなユリカの真剣な様子から、この先に油断ならない存在が居ることを覚悟しているのが理解できた。



●●●



「さてと、そろそろ新装備を試すかな――装備セット2」


 カエルが大量に出没する泥地帯を抜けた俺達は、キクル達と別れて進むことになったわけだが……地面からゴーレムが出て来た所で、コトリが一人で前へ。


 そのコトリが変更して装備したのは、ヴァルキリーの隠れNPCであったキャロラインの専用装備である“戦乙女の鎧”、“ヴァルキリーの戦装束”、“ヴァルキリーの盾”、“天空騎士のヘルム”。


挿絵(By みてみん)


 あの装備を使用するため、メルシュから許可を貰って“シュメルの指輪”まで装備している。


「行っくよー!!」


 黒い棘が生えた白い金棒、“生を視ること死の如し”をメイン武器に、炎を放ったり、足から光を発しながら高速で動き回るゴーレムに攻めるコトリ。


「“回転”!!」


 “ヴァルキリーの盾”で拳を受け止めながら“回転”で去なし、無理せずゴーレムの身体を削っていく。


「“樹液弾”! ――“殴打撃”!!」


 素早いのは樹液で動きを止め、迫る別個体を一撃で撃破。


 囲まれる前に距離を取り、隙を作っては確実に数を減らすという戦術を取り続け……一人で全滅させちまった。


「お疲れです、コトリ。キャロさんの装備の使い心地はどうですか?」


 ケルフェが尋ねる。


「良い感じ! 鎧は軽いし、前の“銀の軽鎧”みたいに鎧が身体に擦れる感じが無くて動きやすいよ」


「さすが、隠れNPCのSランク装備か」


 キャロルもコトリも攻撃手段が光系統だったから、相性も良いだろうな。


「よし、今日中に二十六ステージに辿り着くぞ!」

「おーう!」

「はい!」


コトリとケルフェは返事をしてくれるも、アルーシャとエレジーは乗ってこない。


「お前ら、もうちょっと返事しろよ」

「仕方ありませんね」

「すみません」


 エレジーの奴、今ひとつ集中できていないな。


 こんな調子で、エレジーはこの先を生き残れんのかね。



●●●



「なんだ……ここは」


 広い空間に出たと思ったら、黒紫の岩が溶けたみたいな壁に覆われている。


 ……不気味な場所だ。


「一本道を進んできたのに行き止まりということは……」

「来るわね、面倒な敵が」


 ヨシノとユリカの二人が警戒心を現にした瞬間、広間の中央――壁と同じような模様の粘液が湧き出し、膨れ上がりながら形を変えていく!!


「……“ナイトメアウィッチ”。闇属性特化の強力な魔女です!」


「もしかして、闇に耐性が?」

「それだけではありません。魔法、属性攻撃その物に対しても高い耐性が!」


 ユリカとヨシノが私を見る。


「私頼りと言うわけか」


 二人とも、魔法が主な戦闘手段だからな。


「援護はします。“二重魔法”、“植物魔法”――バインバインド!!」


 二つの魔法陣から伸びた蔦により、ナイトメアウィッチを拘束してくれるヨシノ。


「“一矢十矢”!!」


 そのまま射った矢が“スターズスプレッド”の効果で五つに増えたのち、スキルの効果でそれぞれを十本に増やし――計五十本の矢の雨を浴びせる!


「刺さっても効いているのか判らないな」


 ローブのように纏っているヘドロかなにかが蠢いて、矢が抜けていく。


「“スターズスプレッド”は星属性。通常攻撃は武器の属性が反映されてしまいます。無属性に神代の力を込めるのが、最も有効打になるかと!」


「なるほどな。武器交換――“森は木漏れ日に包まれて”」


 私が元々愛用していた弓、クエストでユリカに初めて会った時にも命を預けていた相棒を手にし――六文字を刻む。


「――これでどうだ!!」


 神代文字の力を一本の矢に凝縮し――全力で放つ!!


『グギュァァァ!!』


 黒い異形の顔面を狙うも、ヘドローブによって防がれ――ガードに使った部分のローブが衝撃と共に大きく弾け飛ぶ!


「避けて! そのヘドロは毒です!」


 広範囲に飛び散る毒液を避けていると――ナイトメアウィッチが拘束を解こうともがき出す!


「まずいです!」


「こうなったら、少しでもダメージを与える!」


ユリカが、“煉獄は罪過を兆滅せしめん”に九文字を刻んだ!


「――“煉獄の業火炎”!!」


 左手の平から放たれた煉獄と神代の炎の奔流が、植物ごと黒肉の魔女の巨体を燃え上がらせる!


「レリーフェ!!」

「ああ!!」


 暴れ狂う魔女へ、神代の一撃を再び放つ!!


「クソ!」


 顔辺りのヘドロの一部を吹き飛ばしただけで、本体まで届いていない!


 しかも、ユリカが減らし、私が散らしたヘドロが再び魔女を覆っていく。


「力が足りない」


 ――黒紫の魔法陣が展開された!?


「“魔突き”!!」


 私の矢により、陣より放たれた黒い大鳥のような物を消し去る!


「な!?」


 今度は魔法陣が三つ!!


「“星屑魔法”――スターダストシューティング!!」


 ヨシノの魔法だけでは、三体の大鳥を防ぎきれない!!


「“煉獄卒の大悪魔”!!」


 文字の力で強化された上半身だけの悪魔が、私達三人の壁となって守ってくれる!


「レリーフェ!!」


 ユリカの杖から私の弓に――力が流れ込んで!!


「アイツをぶちのめせ!!」


挿絵(By みてみん)


 ユリカの意志に引っ張られるように――私の器が広がっていく!!


挿絵(By みてみん)



「任せろ――――ハイパワーブレイズ!!」



 九文字刻まれた私の弓とユリカの力が合わさった一矢が――黒肉とヘドロで構成された魔女の上半身を、跡形もなく吹き飛ばす!!


「終わったようですね」


 ヨシノの言葉に、一気に力が抜けて行く。


「ハアハア、ハアハア」


 振り絞ったとはいえ、三文字増えただけでこのキツさか。


「ユリカもだが、コセ殿はどれだけ凄いんだな」


 年下なのに、私などよりも遥か先を歩いている。


「ハアハア!」


 ユリカも辛そうだが……十二文字刻んだのは、私に力を送るほんの数秒。


 私もユリカも、まだまだだな。


「助かった、ユリカ」

「こっちこそ、ハハ」


 エルフ以外に、心から戦友と呼べる相手が出来るとは。



○“悪夢魔法使い”のサブ職業を手に入れました。

○“ヴェノムスラッジローブ”を手に入れました。



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