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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第13章 偽善に隠した悪意

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478.四度目の婚姻式

「あ、暑かった」

「日差しとその照り返しは、二十六ステージの砂漠よりもキツかったかも」

「バイク様々だったっすね」


 ルイーサ、アヤナ、サンヤが、二十九ステージの山の麓でダベっていた。


 パーティーの次の日の早朝、私達は“荒廃の大地の村”を出て、昼過ぎには中間地点の山の麓に到着。


 と言っても、半数が指輪で呼び出したモンスターに乗っての移動のため、モンスター組はまだ到着していない。


「後発組にはメルシュが居るから、問題無いだろうけれど」


 コセ側から聞いていた《ザ・フェミニスターズ》らしき人間には、大地の村で遭遇することはなかった。


「《ザ・フェミニスターズ》が居るとしたら、この先か」


 大規模突発クエストの時に、三十一より上と下の二組に別れていたようけれど、今頃は合流しているかもしれない。


「高Lvの女集団……覚悟して置いた方が良いかもね」


 コセ達から“共有のティアーズ・ブルー”を借り、手持ちの共有のティアーズの色を加工したりして、なんとか全てのパーティーリーダーが装備出来るだけの数を揃えられた。


 よって、今までよりは全員のLvが上がりやすい。


「マスター、熱中症にならないように水分補給した方が良いですよ」


挿絵(By みてみん)


 わざわざコップに飲み物を入れて持ってきてくれるテイマーの隠れNPC、サキ。


「山の中の属性別魔女ルート、どのパーティーをどこに、どれだけ割り当てるか考えててね」


 火、風、水、氷の四つのルートから選べ、ランダムで更に六種のいずれかに分岐する場所。


 うちのレギオンは氷属性使いが多いから、氷に数を割いた方が良いかな。


「メルシュと話し合ったら、私のパーティーが最初に行くか」



●●●



「あの……本当に、私も宜しいんでしょうか?」


 昨夜のドレスに似たウエディングドレスを着ているカプアさんが、躊躇いがちに尋ねてきた。


「カプアさんが、便宜上とはいえ俺の妻になるのが嫌じゃなければ」


「この子が嫌がるはずなんて無いですよ」

「ウララ様!?」


 カプアさん同様に白とレモン色のウエディングドレスを着て、髪をアップにしているウララさんが何故か断言。


「私は準備できたぞ」

「ユウダイ、なんか言うことは?」


 くすんだ青のドレスに身を包むリューナと、水色のスカートが短めで露出が多いマリナが声を掛けてきた。


「二人とも、よく似合ってるよ。マリナは張り切り過ぎている気がするけれど」

「ユウダイを誘惑するためなんだから、当然♪」


 客席に居るトゥスカから、背中越しに圧を感じる。


 どうしてトゥスカは、マリナに対してだけは厳しめなんだろう。


「ハハハハ! 本当に、この人数と同時に結婚する気なのかよ。ここが日本だったら逮捕されんじゃねぇの?」


 トゥスカとノーザンの隣に居るトキコが、からかってくる。


 彼女は唯一俺の提案を断ったため、既に婚姻関係にある二人と共に客席にいた。


「そう言えば、昔日本で複数の女性を囲っている男が逮捕されるニュースを見たことがあるような……」


 容疑までは、さすがに憶えてないけれど。


「コセ君、見て見て」


 藍色のウエディングドレスに身を包んだポニーテールのチトセが見るように促してきたのは……目隠しを外し、胸や肩まで丸見えの、黒に紫のアクセントがあるウエディングドレスを着た……銀髪の美女。


挿絵(By みてみん)


「……綺麗だ」


 感動するほどに、盲目の烏鳥人であるクオリアは隔絶した……浮世離れした美しさだった。


「「……」」


 マリナとリューナからの無言の圧!


「め、目隠し、取ったんだな」

「チトセ様が、その方が良いと……自分では、よく判らないのですが」

「いや、普段とのギャップもあって、素顔を晒したクオリアは新鮮だよ」


 新鮮やギャップという言葉を、さり気なく二人に聞かせる。


「……確かに、あれは反則級だな。綺麗すぎる」

「ドレスは禍々しいのに、脚は長くて綺麗だし……睫毛まで銀毛とか……ズルい」


 予想とは違う方向にだけれど、二人とも俺の反応に理解を示してくれたようだ。


「コセ、全員の準備が整ったようだぞ」


 促してきたのは、黒薔薇のワンポイントがあるブラックウエディングドレスを着たエルザ。


 その後ろには、同じく薔薇飾りが付いた青紫のウエディングドレスのネレイスと、黒い皺のような模様があるメタリックグレーのウエディングドレス? を着たウォーダイナソーの隠れNPC、バルバザード。


 そして、黄色と紫のウエディングドレスを着たナターシャ。


「それじゃあ、始めようか」


 俺は今から、この十人と結婚する。


「ではこれより、婚姻の儀を執り行います」


 教会内の女性神官NPCが宣言。


「伴侶を慈しみ、愛し、守ると、心に誓いなさい」


 今回と前回までとは、だいぶ違う心持ちの俺。


 寄り添い、背負うと決めた相手意外との婚姻には躊躇いがあったけれど……今は、そんな躊躇いに蓋をするだけで仲間の生存率を上げられるなら――ゲス野郎の汚名くらい背負ってやろうという気概がある。


「今ここに、“婚姻の指輪”は顕現しました。さあコセ殿、伴侶の左手を取り、光を授けるのです」


「マリナ」


 マリナの手を取り、彼女の左手薬指に“最高級の婚姻の指輪”を。


「……嬉しい♡」


 リューナ、チトセ、クオリアにも“最高級の婚姻の指輪”を贈る。


「当然だな♡」

「私が結婚……♡」

「まさか、自分が人妻になる日が来るなんて……不思議♡」


 三人とも、心の底から喜んでくれているのが伝わってくる。


 エルザ、ネレイス、バルバザードの隠れNPC組には、“高級の婚姻の指輪”。


「高級か。低級を覚悟していたが」

「あら、少し残念ですの」

「出会ったばかりの私に対しても、高級の指輪を生み出せるのかよ。化け物のなのか、お前は?」


 坦々としているどころか、むしろ文句を言われる始末とは。


「あら? ……」

「ありがとうございます」


 ウララさんとカプアさんの指に嵌めたのは、“高級の婚姻の指輪”。


 カプアさんに渡せたのが高級だったのはともかく、ウララさんに贈った指輪が最高級じゃなかったのは意外だった。


 今まで、関係を持った相手で“最高級の婚姻の指輪”を贈れなかった相手が居なかったから。


 原因が俺なのかウララさんなのか、はたまた両方なのかまでは判らないけれど、なんだか申しわけない気分になってしまう。


「私……まだ一度もご奉仕させて頂いた事も無いのに……ぅぅ!」


 “最高級の婚姻の指輪”を受け取った瞬間、何故か泣き崩れるナターシャ!?


「へ、どういうこと?」


 今のナターシャの心境がよく判らない。


「これにて、婚姻の儀は終了となります。良い儀式でしたよ」


「ああ……はい」


 神官NPCに祝われると、毎度微妙な気分になるのはなんでなんだろう。


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