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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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464.滅びの剣

『ハアハア……コイツの再生能力は無限か!!』


 斬っても斬っても、瞬きのうちにどんな傷も消えていく。


『シャー!!』

『一撃で、その身を滅ぼし尽くすべきだったらしいな』


 最初から全力を尽くしたとして、俺の持てる手札であの忌々しい巨体を滅ぼせたかどうかは怪しいが。



「――どいてくれ、ヴァルカ」



 背後から向けられた静謐にして厳令なる言葉に、俺の身体は……勝手に道を空けていた。


「義弟……」


 この凄まじい威圧感は……。



●●●



 ハイになっているのだろうか。


 “サムシンググレートソード”の白の宝玉が、青白く鳴動している。


 新しい力が宿ったことを……伝えてくる。



「――“神代の滅剣”」



 刀身から、青白い光を長大なランスのように――ナターシャが使ったパラディンセイバーのように放射――光に触れた対象を滅していく。


『ギシャーーーーッッッ!!!』


 鱗が溶け、肉を裂き、血を蒸発させていく。


 さっきは、スキルとしてではなく無意識で発動していた。


 思えば、モモカを助けようと大型のドラゴンとなったレプティリアンを斬ったときも、無意識に長大な”神代の剣”を、俺は生み出している。


 どうやら、スキルとしてじゃなくても、神代の技能を行使可能らしい。


『ギシャーーーーッッッ!!』


 逃げ惑う蛇を追い詰めていくと、赤い光がそこかしこに立ち昇り始める。


「極端な再生能力。邪魔をされるわけにはいかないな――生命白銀狼、“鳥獣戯画”」


 呼び出したバイオプラチナウルフを擬人化。


 荒々しい白銀の髪と鎧に鉤爪を持つ、白磁の肌の美女と為す。


挿絵(By みてみん)


 しかも、バイオモンスター特有の青い液体を皮膚の部分に纏わり付かせているため、“耐性向上”が適用されるばかりか、“白銀障壁”持ちでもある。


「雑魚共を蹴散らせ」


 “ケラウノスの神剣”と共に、神代の力を彼女に渡す。


『ギャウ!!』


 剣の効果と俺が持つスキルを行使し、ポップした騎士達を蹂躙してくれる銀狼の美女。


「“振動切断剣”、“大地剣”!」


 このクエストが始まる前にスキルカードを使って得た二つの剣を躍らせ、俺の女を援護。



「お前も――そろそろ終われ」



 文字を十八文字刻み――滅びの光を今の最大に高めていく!!


『ギシェァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!』


 鏃のような尻尾を犠牲にしてでも、頭を守っている。つまり、再生の要は頭の方。


「“大地番の豊穣神”」


 背後から、土塊の女神を呼び出す!


「“瞬足”、“空衝”」


 奥の通路へと逃げる白蛇を追い――頭に向かって“サムシンググレートソード”を突き込む!!


『ギシャァァぁぁ!! ギシャァァぁぁぁッッ!!!』


 暴れ狂い、俺を前方に振り落とす事に成功する白蛇。


「逃がさない」


 退路は、既に豊穣神が土を操って塞いでいる。


 前も後ろも塞がれた奴は、逃げ場の無い滅びの光を受け続けるしかなくなった。


『キシャぁぁぁぁぁッッッ!!』

「終わりだ」


 このくだらないゲームは、ここで終わらせる!!


『ギッ……シャ…………』


 白の大蛇が、溶けるように……青白い滅びの中へと消えていった。



○”偽神の鍵”を手に入れました。



「――ク!! 義兄さん!!」


 手に入れた鍵を、ヴァルカに投げ渡す。


『おい、なにを?』

「早く……クエストを終わらせて……」


 まずい……もう神代文字どころか、意識を保つのも……。


『分かった。すぐに終わらせてやろう!』


 義兄さんが上へと姿を消したのち……膝を付く。


「……ハァー、ハァー、ハァー、ハァー」

『キャウ……』


 周りのモンスターを全滅させて尚、俺を守るために立ち回ってくれている生命白銀狼の擬人。


 気を紛らわせようとしたのか、無意識に彼女の頬や頭を撫でていた。


『キャウキャウ!』


 喜んでる? ……ちょっとバニラみたいだな。


「ハァー、ハァー……頼む、早く」


 それから数分、聞こえてくる剣戟と怒号と、銀狼美女と触れ合う感覚で意識を繋ぎ止めていると……。


『と、突発クエスト・莫大な財宝を手に入れよ、クリアだ! 全ての財宝を手に入れたのは、《獣人解放軍》のリーダー、ヴァルカーー!!』


 そのやけには嬉しそうな言葉を最後に、俺は意識を手放すことにした。



●●●




○“豪奢な剣”×9を手に入れました。

○“豪奢な槍”×9を手に入れました。

○“豪奢な鎚”×9を手に入れました。

○“豪奢な弓”×9を手に入れました。

○“豪奢な短剣”×9を手に入れました。

○“豪奢な盾”×9を手に入れました。

○“豪奢な鎧”×9を手に入れました。

○“豪奢な棍棒”×9を手に入れました。

○“豪奢な冠”×9を手に入れました。

○“精霊の木銀杖”を手に入れました。

○“四源の四翼”を手に入れました。

○“黄金倉庫の指輪”を手に入れました。

○“白銀倉庫の指輪”を手に入れました。

○“プラチナアース”を手に入れました。

○“ゴルドアース”を手に入れました。

○“プラチナサタン”を手に入れました。

○“ロイヤルロードアックス”を手に入れました。

○“暗黒王のマント”を手に入れました。

○“ゴールドアーマー”を手に入れました。

○“プラチナアーマー”を手に入れました。

○“宮廷魔術師のローブ”を手に入れました。

            :

            :

5000000000(五億)Gを手に入れました。



「さすがにこれは、独り占めすれば罰が当たるだろうな」


 それ程までに凄まじい報酬。


「この辺の分配は、義弟と相談するか」


 三つの鍵のうち、二つ手に入れたのは義弟。こちらの取り分は三分の一と言ったところか。


「あのコセって奴、マジで凄いね! お義父さんに勝ったのもそうだけれど、ボロボロだったのに、三強のモンスターのうちの二体を倒しちゃったしさ!」


 “決闘場”の選手控えに戻ると、義理の娘であるクレーレがはしゃいでいた。


「フム……奴を気に入ったのか、クレーレ?」


「うん! 私も、アイツと戦ってみたいな~」


 ……もう、このステージで細々と生きている場合ではなくなったか。


 今回は幼子は対象外だったようだが、この先、解放軍の子供が突発クエストに巻き込まれんとも限らん。


「俺達には、変革が必要だ」


 当初の予定よりも……遥かに大きな変革が。



●●●



「…………ラキ」


「ウララ様……」


 ラキ様の死を目の当たりにした直後に頽れ、涙を流すこともなくピクリとも動かないウララ様。


 私は……自分が思っていたほど、ラキ様の死には動揺していなかった。


 まだ現実を呑み込めていないだけなのか、傷付いたウララ様を支えねばと思っている故なのか。


「カプア……」

「まずは、二人をここから運び出しましょう」


 トゥスカにそう言ったのち、私は小柄な我が主を抱き上げる。


「帰りましょう……ウララ様」


 私達の目的は、植物状態に陥ったラキ様を目覚めさせることだった。


 そのためにダンジョン・ザ・チョイスをクリアし、その報酬で願いを叶えようと。


 ウララ様がこのままなら……私達は、《龍意のケンシ》とは共に行けない。


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