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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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461.突発クエスト・莫大な財宝と栄光を手に入れよ

『十分後、この聖域に居る奴隷以外の男プレーヤーは全員、聖域と同じ別空間に転移される』


 今のうちに“ソーマ”を飲んでTP・MPを回復しながら、魔法で傷を癒していく。


 一番まずいのは、神代文字を使いまくった事で精神力がボロボロだということ。


 体力も、底をついている状態。


「男プレーヤーだけ……か」


 つまり俺は、仲間の助けを一切期待できない。


『そこに現れるのは、古代の戦士や凶悪な古の魔物共。ソイツらが守る金銀財宝を手に入れられるのは一人のみ!』


「一人……」


 また、プレーヤーの潰し合いを狙うのか。


『この世界で、一生遊んで暮らせるほどの莫大な財宝のありかは、かつての獣の王の居城、その最上階となる! ただし、その部屋の扉を開けるには、特別に強いモンスター三体を倒し、それぞれから三種の鍵を手に入れなければならない!』


 鍵は三つ……全てが必要。


『このクエストは、誰か一人が財宝を手にするか、プレーヤーが全滅するまで終わらない!! さあ、ここから十分間だ――せいぜい足掻くが良い!!』


 気配が消える。


 十分……とにかく、体力の回復に努めないと。


「ご主人様!!」


 トゥスカを初め、皆が舞台の上へ。


「よりによって、私達じゃどうにも出来ないとか!」


 マリナが文句を言う。


「男だけって言うのがな」


 このレギオンの最大の弱点を突かれた気分だ。


 しかも、明確に敵対している、二つの組織があるこのステージでとは。


「《龍意のケンシ》の皆々様がた、舞台上の会話はこの闘技場内全体に聞こえているでありんす。控えに戻ってから相談する事を薦めるでありんすよ」


 ヤクザの隠れNPCに指摘された。


 雰囲気的に、ヤクザの女って言うより花魁みたいだ。まあ、当時の花魁とか知らんけど。


「だな、助か……る」


 右肩をトゥスカ、左肩をマリナに支えられ、あっという間に運ばれてしまう俺。


 息ピッタリだったな、今の。


「男でも奴隷はダメって事は、今から急いで男の使用人NPCを造っても……」

「はい、使用人NPCは奴隷扱いなので、参加できません。ちなみに、今は奴隷解除も次のステージに進むことも出来ません」


 リューナの疑問に答えるナターシャ。


「コセ様、これを」

「……なら、私からも渡しておくか」

「では、私も」


「これは……三人とも、ありがとう」


 俺は、クオリア、リューナ、ナターシャからある物を受け取った。


「他に、今のうちに俺に出来ることは……あれ?」


 壊れた“グレートグランドキャリバー”の代わりを用意しようとチョイスプレートを開いたら……“グレートグランドキャリバー”がどこにも見当たらない!?


「破損じゃなくて、消滅扱いになってしまったのか?」


 あの剣……気に入ってたのに。


「……仕方ない」


 新しいスキルの修得、三人から借りた物を使用した戦術を頭の中でシミュレート。


「残り一分です、ユウダイ様」

「お気を付けて、ご主人様」

「コセ様、無理はされないでくださいね」


「ああ」


 トゥスカ、ノーザンを始め、みんなに励まされる。


「生き残るのを……第一にしなさいよ」


 マリナの心配そうな言葉。


「そうだな……じゃ、行ってくる」


 俺の身体が、光に変わっていく。



            ★



「ここは……」


 聖地の特徴的な白黄石の街並みと打って変わり、緑が広がる暗い場所に出た。


 奥には不気味な大樹があり、前後左右にはこの場所を囲うように配置された壁。


 地面には、黒い牙が石のプレートから生えたような墓? が幾つも。


「ここって、“獣化”を修得出来るって言う聖域か?」


 トゥスカから聞いた場所に、よく似ている。


「は、始まっちまうのか?」

「くそったれがよ!」


 俺以外にも、獣人や異世界人と思われる男達が。


 戦う気があるのかって格好の奴等も居るな。


『それでは始めよう! 突発クエスト・莫大な財宝と栄光を手に入れよ! ――開始だ!!』


 さっきの天の声が響いた瞬間、辺りに赤い光の柱が出現――ライブラリに載ってた“古生代ナイト”やキメラと思われるモンスターへと変質していく!


「ぱっと見、どれも強力そうなモンスターばかり」


 レンガで出来た“古生代ナイト”以外にも、強そうな甲冑の騎士が複数。


「……なに?」


 内部から青白い輝きを放っていた大樹までもが赤い光に包まれ――より巨大な、毒々しい大樹へと変貌していく!?


挿絵(By みてみん)


「まさかあれが……三体の強力なモンスターの一体?」


 さっそく遭遇してしまったって言うのか!


「……計画が、さっそく丸つぶれだ」


 この聖域の出入り口が半透明な油のような物で塞がれており、空もその油でピラミッドの内側のように塞がれてしまう。


「財宝は諦めて、誰かがクエストをクリアするまで身を隠すつもりだったのに」


 これも、観測者の謀か。


『ゥオオオ!!』


 大きな斧と盾を持った鈍色の鶏冠騎士が、俺に向かって武具を振り下ろしてきた!


『一億越えの男――お前を殺せば、俺は生き返れるッ!!』


「コイツ、まさか!!」


 死んだプレーヤーの意識を入れられているタイプか!!


「やってくれるな!」


 “サムシンググレートソード”で斧を打ち払い、空を踏み跳んで逃れる!


「一億越え……バウンティーハンターのように、俺の懸賞金が見えているのか」


 しかも、一億越えを狙うって事は、特定のプレーヤーしか狙われないということ……ますます不利だな。


 頭上は覆われ、このエリアから逃れることも出来ない……。


「く、来るなぁぁ!!」

「舐めてんじゃねぇぞ、トカゲがよ!!」


 俺以外のプレーヤーは動物系のモンスターに襲われ、騎士タイプは俺だけを狙っている。


 騎士タイプには全て意思があり、一億越えを狙っている可能性が高い。


「――クソ!!」


 大樹に近付きすぎたのか、毒々しい濃紫の枝が襲ってきた!!


 地上は敵だらけ。空からは逃れられず……休む暇がまったく無い!!


 さっそく、切り札の一つを使うか!


「来い――“究極生命体”!!」


 リューナが”実験都市”で手に入れたユニークスキルにより、OPの全てと引き換えに――青い粘液に包まれた巨大骸骨を召喚!!


挿絵(By みてみん)


 コイツは、あらかじめセットしておいたTP、MP、OPのいずれかを吸い上げ、力とする。


 タフさに極振りしたような八メートル程の巨人だが、コイツにはバイオモンスターの特徴である“耐性向上”のスキルが備わっているため、特定の攻撃手段しか持たないモンスター向き!


「頼んだぞ」


 “究極生命体”には、大樹の相手をして貰う。


「さてと」


 一度地上に降りる。


『逃げるな、一億越え!!』

『俺達のために、死んでくれぇぇ!!』


「一度死んだくせに、生者を生贄にしようとするなよ――生命白銀狼!! 妖怪・鎌鼬!! 猛禽恐竜!!」


 クオリアから借りた三つのSランク指輪で、白銀狼のバイオモンスター、鎌が脚から生えた大型イタチ、カラフルな羽毛が生えた肉食走竜を召喚!!


 消耗した俺を守るため、俺の代わりに戦える存在を呼び出す手段をくれた三人。


「必ず――生き残る!!」



●●●



「……凄い」


 コセさんが消えた後、突如“決闘場”上空に映し出された各地の映像。


 その中の一つには、獅子奮迅の戦いをするコセさんの姿が。


「……格好いい」


 あれだけの戦いの後なのに、死にもの狂いでこの理不尽に抗っている!


「でも、なんだろう……」


 なにかを忘れてしまっているような。


「…………ラキ……様」


「……へ?」


 カプアが突如発した言葉の意味が……理解できなかった。


 むしろ、本能的に理解することを拒むように……真っ白に。


 ラキはずっと眠ったままで――『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』――――まさか!!!!


「…………うそ」


 映像の一つに、眠ったまま横たわるラキと……そのラキに近付く、涎を垂らしたドラゴンの姿が――――――


挿絵(By みてみん)



「――いやぁァァーーーーーーーーーーーッッッ!!!!」



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