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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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459.雪豹獣人のクレーレ

 クオリアの後に舞台に立つと、向かい側から駆けてきて、高く跳ね上がってから着地する……獣人の女の子?


挿絵(By みてみん)


 白髪の中に青い髪が混じっていて、幼い顔立ちと相まって神秘的な空気を……。


「て、子供?」


「子供扱いしないで欲しいなー。これでも、レギオンの中では強いんだからさ」


 小さめの斧を二つ、それぞれ片手で投げ回している。


「アンタ、幾つなの?」

「十三。もうすぐ十四になるはずだけれど」


 十五より下の人間なんて、私はダンジョン・ザ・チョイスで遭ったことが無い。


 モモカやバニラの存在は、話に聞いてはいるけれど。


「準備が出来たなら、名を」


「雪豹獣人のクレーレ」

「……マリナよ」


「第五試合、クレーレVSマリナヨ――試合開始!!」


「ちょ、私の名前はマリナだか――」


 私が思わず意識を逸らしてしまった瞬間、顔面に向かって斧が飛んできた!!


「お、やるじゃーん」


 間一髪、“キヤイウメアイ”で弾き飛ばす。


「やってくれるじゃない」


 頭に来た!


「“熱光線”!!」


 槍のような細長い鏡の盾、“秘鏡に映りし鑑み”から――赤い光を線状に発射!


「そんな単調な攻撃!」


 軽やかな身のこなしで避けるクレーレ。


 その手には、さっき投げた斧が戻っている。


「“氷砕魔法”――アイスクラッシュマウンテン!!」


 いきなり身の回りが影に覆われ――頭上の脅威を悟る!


「鉄混じりの氷山だよ!」


 氷と鉄の二属性魔法か!!


「“光線魔法”――アトミックレイ!!」


 バカでかい氷の塊を、避けるのではなく迎撃する!


「“二重武術”、“氷砕斧術”――アイスクラッシュトマホーク!!」


 両手の小型斧を、どちらも投げてきた!?


「ク!! ――“跳躍”!!」

「“獣化”」


 氷と鉄の破片を避けるように上空へ逃れ、なんとか回避――白い豹人間が、いつの間にか私のすぐ傍まで!!


「“飛剣・靈光”!!」


 光の斬撃で迎撃しようとした瞬間、豹人間の手に斧が現れて防がれてしまった!


「……冗談抜きで強い」

『へっへー、だから言ったじゃん」


 着地と同時に、自分から“獣化”を解くの?


「獣の姿のままで襲ってこないんだ」


「あの形態になると、頭がキャウーン! て感じになっちゃうからさ。なーんでか、解放軍の皆はやたら“獣化”に頼りがちだけれどね」


 怪我をすれば強制的にMPを消費するらしいし、強力なカムイ系の能力も発動できない……確かに、デメリットも大きいか。


「オールセット2」


 サブ職業の“半ベルセルク”を装備し、狐耳を生やす。


「獣人の猿マネでもするつもりコン?」

「うっさい――“ホロケウカムイ”!!」


 青のオーラを纏う!


「へー――“ホロケウカムイ”」


 私と同じように、自分に強化を。


「ついでにこれ――“氷砕牙の剛毛象”!!」


 氷と鉄が混じった人型の巨像が、クレーレの背後から出現!


「だったら――“硝子画の偽神像”!」


 私も、昨日手に入れたばかりのスキルを使用し、硝子欠片の集合人間を作り出す!


「「はああああッ!!」」


 氷鉄像と偽神像がぶつかり合う中、私達も正面から武器をぶつけ合う!!


 軽やかなクレーレの動きに、次第に防戦を強いられるようになっていく私。


 このままだと、いずれこっちが押し切られるか!


「ハアハア、悪く思わないでよね!」

「うん?」


 ――“キヤイウメアイ”と”秘鏡に映りし鑑み”に三文字ずつ刻み、力押しで攻守を逆転させる!!


「うわ!!」


 向こうの得物は、投擲武器として使うのもあって小さめ。守勢に回れば私よりも脆い!


「へー、()()()()使()()()()()


 ――右手の薄青い刀身を持つ斧に、六文字を刻んだ!?


「これでどうよ!!」


 また、攻守を逆転された!


 数度の打ち合いののち、彼女の猛攻にわざと武器を押しつけ、無理矢理競り合いに持って行く!


「……それが本気?」

「だとしたら?」



「格の違いって奴を――見せてあげる!!」



 “キヤイウメアイ”に十二文字を刻んで、その力を偽神へと流し込む!!


 吸血皇の城での戦いで、なんとか自分の意思で十二文字まで引き出せるようになった!


 まあ、十二文字刻めるのは、何故か“キヤイウメアイ”だけなんだけれど。


「へ、そんなことできんの!?」


 どうやら、この子は文字を刻む以上のことは出来ないみたい。


 よって、私の硝子画が剛毛像を押し始める!


「“神代の霊剣”」

「ちょ、なにそれ!?」


 青白い霊なる炎を硝子の刀身に纏わせ、力を集約!!



「“硝子剣術”――グラススラッシュ!!」



「う……そ」


 彼女の斧を両断すると同時に放たれた青白き斬炎は、クレーレの身体を切り裂いて光へと変えた。


「第五試合の勝者は、《龍意のケンシ》のマリナヨ!!」


「ハアハア、ハアハア」


「よくやった、マリナヨ!!」

「どっちも凄かったぞー!!」


 賞賛の声が聞こえてくる――てッ!!


「私の名前はマリナだッ!!」



●●●



「……あーあ、負けちゃった」


 斬られて目の前が光になった次の瞬間、控え室で目が覚める私。


「痛みはないか、クレーレ?」

「うん。大丈夫だよ、()()()()()()()()()!」


「そうか。よく最後まで臆せず戦ったな、クレーレ! お前は、俺の誇りだ!」

「えへへへへ!」


 お母さんが死んだ後、ずっと私の面倒を見てくれていたヴァルカお義父さん。


 あの文字の力を扱えるのは、解放軍の中では私とお義父さんだけ。


「それじゃあ、俺もそろそろ行くか」

「お義父さんなら勝てるよね!」


 抱き付いて、撫でて貰う。


「さてな。その辺りを見極めるのも、この茶番の目的だからな」


 あの強くて格好いいお義父さんが、絶対に勝つって言わない?


「そんなに強いの、あの人?」


 舞台の上に出て来た、ブラウン色の鎧と大剣を持つ男を見てみる。


 私よりちょっと年上くらいで、お義父さんと比べたら全然強そうに見えない。


「俺のトゥスカが認めている男だ。俺より強くなくては困る」


 頭をポンポンされる。これは、離れてくれって意味の合図。


「絶対に負けないでよね、お義父さん!!」


「武人は、ただ全力を尽くすのみだ!」


 そう言って、ヴァルカお義父さんは舞台への階段を下りていった。



●●●



 橙味を帯びた黒い大型の片手斧を持った巨漢の男が、舞台の中心へ。


挿絵(By みてみん)


「見事に、全員叩きのめしてくれたようだな、コセ」


「うちのレギオンメンバー、ちょっとやり過ぎだったかな?」


「まったくだ。お陰で、うちの生意気な奴等が、揃って震え上がってしまったぞ」


 観客も、マリナとクレーレって子以外との試合には(だんま)りだったからな。多分、ドン引きしてたんだろうなぁ。


「準備は良いな、小僧」

「ああ、いつでも」


 静かに、全身に闘気を染み渡らせていく。


「お二方の名を、この会場にいる皆々様に轟かせるでありんす!!」


「《獣人解放軍》のリーダー、ヴァルカ!!」

「《龍意のケンシ》のリーダー、コセ!!」



「ヴァルカVSコセ、第六試合――試合開始!!」



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