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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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454.魔神・焰天狐

「なんとか、全員で合流できたね」


 橋の砦町でのイベントを最後にクリアしたルイーサ達が、シルバーストームとフレイムマグナムを駆って、山に点在する安全エリアの一つへとやって来た。


「お、思ったよりキツかったぞ、ここのイベント」

「私が前に挑んだ時に比べれば、楽な物ですよ。皆さん、優秀ですから」


 くたびれた様子のルイーサ達を労うヒビキ。


「さっさと砦内からアイテムを回収しないといけないから、大して休んでいる暇なんてないし……よくここを、たった二人で突破できたわね、コセ達」


 アヤナが、珍しくうちのマスターを素直に褒めている。


「バイクが無かったら逃げるのも面倒だし、実際、いきなりこのステージに飛ばされた状態の二人でクリアしたのは、奇跡的だったと思うぞ」


 フェルナンダまで賞賛しだすなんて……もうすぐ雨が降ってくるかも。


「二十ステージ台では最大と言って良いくらいの難所だし、今日の攻略はこのくらいにしておく?」


 全員の顔を窺うも、まだまだやる気はあるらしい。


「それじゃあ、早めの昼食を取ったら、攻略を再会するとしますか」


 王国兵士達と戦えるのがパーティーごとだから、先にクリアしたサトミ達が、待ち時間を利用して昼食の準備をしちゃってるし。


「今日は、大自然の中でお昼を食べるわよ~♪」


挿絵(By みてみん)


「「「おーう!」」」


 昨日のバーベキューで味を占めたのか、みんな安全エリアで食べるのに乗り気らしい。


 ここは他のパーティーと接触する可能性もあるから、本当は神秘の館で食事した方が安全なんだけれど……ま、いっか。たまにはね。



●●●



「“瘴気魔法”――“直情の発露”!!」


 クオリアにより、空飛ぶ鎌が迎撃される。


「飛び回る武器か。数は多くないけれど、結構厄介ね」

「だな」


 マリナの言うとおり、変幻自在に金属の塊が飛んでくるため、気合いを入れた一撃を叩き込まないといけないのにそれが困難。


 本来飛ぶはずのない武器が浮いているのもあって、動きが読み辛いのも厄介と感じる要因。


「“聖騎士武術”――パラディンバッシュ!!」


 ナターシャの四角い盾、“ロイヤルロードシールド”から生じた衝撃波により、斧と剣が弾き飛ばされる!


「ユウダイ様!!」

「おう!!」


 弾かれて空中で止まった瞬間、そこに剣を振り下ろす!!


「“破壊武術”――ウェポンブレイク!!」


 黄土色の柄を持つ剣を砕く!!


「パラディンブレイク!!」


 ナターシャの“ロイヤルロードキャリバー”により、青い斧が斬り砕かれた。


挿絵(By みてみん)


「“光線魔法”――アトミックレイ!!」


 マリナにより、最後に銀の槍が消滅。


「ようやく片付いたか」


 地味に面倒な敵だった。


「ここまで大量に出くわすパターンは珍しいので、運が悪かったのだと」


 ナターシャの指摘。


「そ、そうなのか」

「ポータルが見えたわよ!」


 マリナに呼ばれる。


「さて、もう一踏ん張りか」


 もうすぐ、トゥスカに会える。



             ★



○戦士.Lv60になりました。OPを取得。設定機能を解禁。


「噂のOP、ようやく使えるようになったか」


 これは、あとでジックリと使い方を調べるとしよう。


「コセ、そろそろボス戦について頼む」

「ああ」


 ボス部屋前で合流した俺達は、ボス戦前に軽い休憩を取っていた。


「第三十六ステージのボスは、魔神・(ほむら)天狐(てんこ)。弱点は水、有効武器は太刀と大刀。危険攻撃は、無数の火の玉を操って飛ばしてくる狐火」


 手脚の先端や髪が朱色で、身体は白い妖精の隣で話す。


「ステージギミックは、白炎の狐達が現れて纏わり付いてくること。コイツらには実体がなく、水属性攻撃でないと効き目が半減。武器などでは一切のダメージが与えられない」


「じゃあ、狐の対処は私がやった方が良いわね」


 マリナが自分から申し出た。


「それと、焰天狐は浮遊能力を持っていて、壁を蹴って素早く動く。空中で仕掛けようとすると、大質量の体当たりを食らうことになるかもしれないって話だ」


 教えてくれたのは、実際に戦闘経験のあるヒビキという女性。


「じゃあ、俺達から……」


「私達の方が先に来ていたんだから、コセ達は後にしておけ」

「へ?」


 突然リューナにそう言われ、さっさとボス部屋の中へと入っていくチトセ達四人。


「……」


「アンタがトゥスカに早く会いたがってるの、見透かされたんじゃないの?」


 マリナの指摘。


「……そんな風に見えてるのか?」

「どこか落ち着きがないし、丸分かりよ」

「はい。昨日より、いつもと様子が違うのは明らかでした」

「今日だけで心臓が何度も高鳴って、胯間の辺りがキュルキュル言ってましたね」


 マリナ、ナターシャ、クオリアの順に指摘される……なにこれ、恥ずかしすぎる。


 というか、クオリアにはそんな音まで察知されてるの!?


「ドスケベユウダイ」

「発情魔ですね」


 マリナとクオリアの言い方が酷すぎる!


 希望を込めて、なんとなくナターシャを見詰めた。



「ユウダイ様の節操無し」



「グフッ!!」


 まさか、使用人NPCであるナターシャにまで指摘されるなんて!!


「……私に発情すれば良いのに」


 今、ナターシャが変なことを言ったような……。


「リューナ達、終わったみたいよ」


 ボス扉の光が消えていく。


「ほら、さっさと行くわよ、ユウダイ!」

「……はい」


 こんな底辺ヒエラルキー気分を味わうの、なんか久し振りだ。


 扉が閉まると同時に、奥で朱肉色のラインが走り――四つの尾を持つ、白石の巨狐が動きだす!


『コォォ!!』


 どこか女性のようにも見えるそのフォルムは、四足歩行ではあるが、人型が意識されたよう造形。


 そんな狐が走り出して――跳躍してきた!?


「――“拒絶領域”!!」


 “サムシンググレートソード”に十二文字刻み、神代の力を流し込んで円柱の拒域を強化――魔神・焰天狐を弾き飛ばす。


『コォォォーーーン!!』


 体勢を立て直した直後、四つの尾より炎の玉が絶え間なく放たれ――流れるように俺へと向かってくる。


 更に、ステージギミックである白炎の狐達の数が一気に増大し、一斉に向かってきた。



「――“飛王剣”!!」



 全力で力を流し込んだ斬撃を放ち、白炎の狐達を消失させる。


 ただし、魔神は跳躍により回避し、浮遊状態になってから――壁を蹴って高速移動へ。


「“猛毒魔法”――ヴェノムバイパー!!」

「“氷河魔法”――グレイシャ-バイパー!!」


 紫の毒液で出来たクオリアの大蛇とマリナの氷河の大蛇により、無数の狐火が消え失せる。


「今です、コセ様!」


「助かる――“神代の天竜”!!」


 鎧に十二文字刻んでから青白き翼竜の光鎧を纏い、高速で動き回る天狐へと接近!


「“空衝”!!」


 加速して体当たりし、そのまま飛翔を続けて天井に激突させる!!



「“古代竜魔法”――――ドラゴノヴァ!!」



 全てのMPと引き換えに放つ、全方位に対する赤銅色の爆裂光をゼロ距離で炸裂させ……魔神・焰天狐を跡形もなく消し飛ばした。



○おめでとうございます。魔神・焰天狐の討伐に成功しました。



 着地と同時に、チョイスプレートが展開される。



○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★焰天狐の四尾  ★千狐焰のスキルカード

★サブ職業:狐嫁 ★紅蓮王の指輪



 火に特化しているプレーヤーにとってはどれも強力らしいけれど、俺の場合は“紅蓮王の指輪”だな。


 メルシュの話では、アイテム属性変換機能で変更できるらしい。


 ただし、紅蓮は火の属性のみのため、単一属性系統にしか変更できないそうだ。



○これより、第三十六ステージの獣の聖地に転移します。



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