表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

474/956

451.魔神・岩石河馬 

「魔神・岩石河馬(かば)の弱点属性は鉄。有効武器は斧、危険攻撃は岩石を柱のように連続発射してくる魔法、ロックブラスト」


 最後のパーキングエリアの奥、巨大な崖に埋め込まれるように存在するボス扉の前で、いつものメルシュさんの最終講義。


「ステージギミックは、床の水位が徐々に上がっていくこと。岩石河馬は水を吸うと防御全般が跳ね上がっていくから、水では絶対に攻撃しないように。水属性程じゃないけれど、氷属性でも上がるから気を付けて」


「となると、私は戦力外か」


 そう呟くナオさんの顔には、楽が出来ると書かれてあるかのよう。


「余し!! 余達が一番槍だ! 行くぞ、クマム! ナオ!」


「いや、それは」


 一番倒されちゃいけないメルシュさんが居る私達のパーティーは、三番目くらいに挑むって流れが出来ているのに。


「それじゃあ、クマムとナノカ。よろしく」


 メルシュさんも乗り気!? しかも、私達二人だけで戦わせようとしている!?


「あの……良いんですか?」


「ジュリー達バイク組は疲れているようだし、良いんじゃない?」


 メルシュさんて、時折課題を押し付けてくるときがあるような……。


「ナノカ、その武器で戦うの?」


 ナノカが手にしたのは、魔神が使っていた“牛斧の大斧”……ではなく、黒い禍々しい斧。


 柄が短い割に、刃は大きい。


「”天元侵蝕の木樵斧”、Sランク。魔神の武器はランクが低すぎて、いかに余がランクを一つ上げられるとはいえ、役不足だからな!」


「ザッカルが手に入れた物だけれど、このレギオンで斧を使うのはトゥスカとノーザンくらいだからね。魔神子であるナノカなら有効に使えるし、ちょうど良いかなって」


「ナノカ特有の、“魔人武術”のことですか?」


 ナノカのスキルは、他の隠れNPCと比べて数が多いし、伸び代がある。


「て、サトミ達に先を越されてる余!?」


 何故か悔しそうなナノカ。


 そう言えば、サトミさん達のパーティーにはモモカちゃんとバニラちゃんが居たはず!


「よし、終わったぞ!」

「い、行きましょう、皆さん!」


 はしゃぐナノカに促されるように、私達も急いで中へ。


 モモカちゃんが先に進んだなら、私達も急がないと!


「“宝石魔法”――ダイヤモンドダスト!!」


 メルシュさんの初撃により、青紫色のラインが走った直後に凍り付く赤紫色の岩石河馬。


「ほい、今だよ!」


「“天元侵蝕”――“瞬足”!!」

「“竜巻噴射”、“天使の翼”!!」


 ”白百合の竜巻脚甲”の裏から竜巻を放って、上から接近する!


 氷が溶けて防御力を上げてしまう前に、一気に終わらせないと!


「“魔人武術”――サタニズムブレイカー!!」


 黒靄を纏った斧で、氷ごと魔神の身体を崩していくナノカ。


「“天使の輪っか”」


 頭の上に光の輪っかを生み出して、天使系の能力を強化!



「“天使法術”――ヘブンジャッジメント!!」



挿絵(By みてみん)


 “大輪の花華への誓い”に九文字刻んで、そこから流し込んだ莫大なエネルギーで更に強化――頭上から裁きの光を浴びせる!!


「魔法陣が!?」


 黄土色の陣が、私に向かって展開されてしまう!


「――“魔斬り“!!」


 ナノカが、魔法発動前に陣を切り裂いてくれた!


「水が」


 既に床一面を覆い尽くしていて、その水を吸っているのか、魔神・岩石河馬の身体が赤紫から黒へと変わり始めている!


「トドメだ、マスター!」


「――“伸縮”!!」


 ナノカが攻撃して崩れたカ所から、伸ばした刀身を突き入れた!



「“共振破壊”!!」



 神代の力を全力で流し込み――内側から一気に破壊していく!!



○おめでとうございます。魔神・岩石河馬の討伐に成功しました。



「ハアハア、ハアハア」


 やっぱり、神代文字を全力で使うと消耗が激しい。


 コセさんは、これ以上の文字を同時に行使して長時間……なら、私だってもっと。



○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★岩石河馬の吸水鎧 ★岩石魔法のスキルカード

★岩石河馬の頭甲手 ★石柱針の指輪


○これより、第二十八ステージの橋の砦町に転移します。




●●●



「ここが、コセ達が飛ばされた場所か」


 デカい煉瓦の橋の上に、大小様々な建物が。


「ここまで来るのに、だいぶ時間が掛かったな」


「なに黄昏れてんのよ、ルイーサ」

「アヤナ……コセが居なくなってからここに来るまでに、色々あったなって」


 アオイの死もそうだが、スヴェトラーナ達との旅と別れ、トゥスカ達と会えなくなったり……。


「……そうね」

「抱かれたい……か」


 ジュリーのあの言葉に、揺さぶられた自分が居た。


「どうした、お前達? 早く下りて、今日はさっさと休もう」


 祭壇を降りていく皆の後ろから、フェルナンダに呼ばれる。


「ああ! 行こう、アヤナ」

「……うん」


 誰かに甘えたいのかな……私。



●●●



「ようやく会えたわね、アテル」


挿絵(By みてみん)


 ルフィルとコツポンと共に、二十五ステージで《日高見のケンシ》と合流した。


「アテル様、彼女達が……」


 金髪の獣人が、アテルに尋ねている。


 コイツら、全員強い。


 それに……私達のように、仄暗いなにかを抱えている奴等ばかりみたいね。


「ああ。彼女達が、僕達の新しい仲間だ」

 

「よろしくお願いします、皆さん」

「精一杯、ご奉仕しますよ~」

「アンタ達とは、仲良くやっていけそう」


 私はもう戻らないわよ……リューナ。


 たとえ、アンタを敵に回すことになったとしても。



◇◇◇



《先日のあのクエストはなんだ、オッペンハイマー!!》


 シーカーの一人が、わざわざお叱りの連絡を寄越してきた。


《あれでは、我々の方が原種共よりも劣っているようではないか!!》


『問題の一団の一人を殺せたにも関わらず、なにがご不満なのです?』


 まあ、こうなると分かっていてお前達を参加させてやったわけだが。


《貴様……貴様の代わりなど、幾らでも居るのだぞ!》

『では、レプティリアンの誰かが代わりを務めますか? ダンジョン・ザ・チョイスは、神の力で出来た半ば高次元世界。貴方達にとっては、関わるだけで毒に成り得る』


『我等の足元を見ようと言うのか、貴様は!!』



『――――弁えろと言っている』



《ヒッ!!》


 容易く怯え、くだらぬプライドが折れるシーカー。


《その黒き翼は……なぜ、貴方様が……ルシフェリアンが》


《君達が住み心地の良い低周波世界を確立してくれたのでね、この私がやって来てやったんだ》


《な、なぜ今まで、我々に隠して……この星の人間に転生を……》


《なぜこの私が、わざわざお前如きの疑問に答えてやらなければならない? 身の程を弁えろと言ったばかりだが?》


《も、申し訳ありませんッ!! し、失礼します!!》


『その前に、私の事はまだ黙っていて貰えるかな? 誰にも』


『は、はい! もちろんです!』


 これで、シーカーのカス共を暫く黙らせておける。


『……さて』


 この数か月で、神代文字を刻める人間も、刻める文字の数も激増した。


『そろそろ、SSランク武具を増やす許可を出す頃合いかな』


 バグ現象ももうほとんど無くなったし――もっともっと、彼等に試練を与えなければねッ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ