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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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446.汚染された都市


○右:モンスター出没エリア

 左:暴走族出没エリア



 ストリートブリッジの半ば、別れ道の手前のパーキングエリアにて、私達は休憩を取っていた。


 寂れた雰囲気のあるこの場所だけれど、パーキングエリアにはコンビニのような売店があり、食べ物を購入することも出来る。


 そっちにはプレーヤーの一団が居たため、私達は近付かないようにしているけれど。


「ジュリー、お肉焼けてるぞー」


 メグミに呼ばれる。


「すぐ行く!」


 牽引キャンピングトレーラーの横、バーベキュー形式でご飯を食べ始めているみんな。


 カナさんが肉や野菜の串焼きを焼いて、サトミがトレーラーの中のキッチンで手早く素麺や枝豆を茹でている。


「あの二人は女子力高いな」


 私も、簡単なご飯なら作れるけれど。


「このジャガイモのスープ、ビシソワーズだっけ? 美味しいな」


 ルイーサが絶賛している。


「ジュリーもどうだ?」

「貰うよ」


 冷たいスープが入った、硝子の器を受け取る。


「……美味しい」


 ジャガイモのサラサラ感とタマネギの旨味が利いてて、どんどん飲めてしまう……けれど、腐葉土村で買った食べられる土が微かに入っているような……考えるのは止めよう。


「あれ、アヤナは?」

「……最近、あまり食べないんだ。朝食は頑張って食べてるみたいだけれど、夕食は脂身のある物は避けてるらしい。喉を通らないと」


「そう……」


 表面上は元気に見えても、心の傷は深いか。


 私は両親の死をそこまで引きずらなかった……すぐに、虚しさから復讐心に変わったから。


「まあ、中で何か軽く摘まんでいるはずだ」


 クリスも見えない。トレーラーの中で食べているのだろうか?


「……少しずつ、軋んできている気がする」


 コセが居なくなった事で、このレギオンが脆くなり始めているような……そんなやんわりとした不気味な気配が、少しずつ強くなってきている気がして仕方ない。



●●●



「好きなのをくれてやるよ」


 居住区内部の店舗にて、目当ての物を探していた。



○以下から購入できます。


★死活液のレシピ   100000(十万)

★死活液       2000G

★死活液素材セット  1000G

★不浄液のレシピ   100000(十万)

★不浄液       2000G

★不浄液素材セット  1000G



 二つのレシピの他に、“死活液”と“不浄液”、それぞれの素材セットを10ずつ購入。


「これが、バイオモンスターに特効の薬品、“死活液”ですか」


 チトセさんにチョイスプレートで送ると、さっそく瓶を一つ実体化させて、中の紫色の液体を覗いている。


「ただ、基本的には戦闘で使わないでください」

「このステージの特殊な宝箱にですね」


 この“死活液”、バイオモンスターだけでなく、街の至る所にあるあのブヨブヨにも有効らしい。


「ここでは安く色々な調合の素材が手に入るようですけど、何か買っておきますか?」


 チトセさんに尋ねる。


「ダイナマイトの素材は欲しいですね。でも、道中で薬液関係の素材が結構手に入るかもって話じゃありませんでしたっけ?」


 メルシュの話では、ここのダンジョンはそういうステージらしい。


「ランダムなので、あまりあてにしないほうが良いかと」


 なにがどれくらい手に入るかなんて、その時にならないと分からないし。


「それにしても、ここの人達ってみんな同じ格好なんだ」


 マリナの言うとおり、老若男女関係なく全員が、白いブヨッとした宇宙服みたいな物を着ている。


「なんだか、暗い雰囲気が漂っていますね」

「実験に失敗したせいでウイルスが洩れて、多くの人間や近辺のモンスターをバイオモンスターにしてしまった……という設定があるからかな」


 あの天空遺跡も、似たような経緯でバイオモンスターが徘徊していたのだろうか。


「リューナ達は大丈夫かな」



●●●



「“神代の月剣”――二日月(ふつかづき)


 ”青き月光で雪原を照らせ”に三文字刻み、剣を振って極細の青白き刃を飛ばす!


 マリナの霊剣に比べると大した威力ではないだろうが、目視のしづらさと速度、燃費の良さは雑魚相手にちょうど良い。


 お陰でバイオモンスターの、厄介な耐性向上能力を気にせずに倒していける。


「結構奥まで来たけれど、代わり映えしない景色ですの」


 青黒い粘液まみれの宇宙船っぽい通路に対し、人魚形態のサカナがぼやく。


「ここに来たことは無いのか?」


「それはそうですよ。私は本来、三十八ステージの隠れNPC。それより下のステージを彷徨(うろつ)くことになるなんて、本来は想定外の事だもの」


「なるほど」


 私が参加した大規模突発クエストは三十一から四十ステージまでの面子が参加していたから、サカナの前マスターは、ネレイスと契約してからあまり進んではいないのか。


「後ろから気配です」


 ナターシャが、そう言って振り返る。


「前からも来たな」


 犬タイプの粘液まみれモンスターが三体、前から猛スピードで突っ込んでくる。


「”狂血魔法”――ブラッドイルミネーション」


 エルザが放った霧散と集合を繰り返す血に激突し、スピードを殺されるバイオドーベル。


「連続でダメージを与えているから、水と鉄の耐性が上がっていくぞ!」


 すぐに剣を振るい、三体を切り裂いて光へ。


 後ろも、ナターシャとサカナが始末してくれた。


 ……ナターシャやエルザって名前と比べると、やっぱりサカナって変だな。私は面白いから気にいっているけれど。


「また部屋ですの」


 鉄の扉のボタンを押し、部屋の中へ。


 中は個室でベッドもあるが、例のごとく粘液まみれ。


 先程から、こんな部屋ばかりだ。


 一応、食堂やトイレのような場所も見掛けたけれど。


「“死活液”があれば、こういう所からアイテムを手に入れられるのですが」

「ノゾミの情報によると、“死活液”を使わずに奥に行く必要があるらしい」


 ナターシャにそう言いながら、部屋にあった紫の薬液を手早く回収し、再び奥へ。


「今までと違う扉だな」


 一回り大きくて頑丈そうだ。


「ナターシャ、入り口で貰った鍵を」

「畏まりました」


 ナターシャに扉を開けて貰う。



○鍵が壊れました。



 扉の先にあったのは、同じような無数の扉。


「さてと、どこの扉だったかな」


 縦三の横五で、全部で十五部屋。


 オリジナルでは中身はランダムで、ランクの高いアイテムや高額の資金が極稀に手に入ったそうだが、一時期、イベントによりユニークスキルがここで手に入るようになっていたらしい。


「開けられるのは、残り三箇所」

「今日は他の誰にも開けられていないようだし、これで条件を満たせる」


 ここのユニークスキルを手に入れるには、最低四つの鍵が必要。


 入り口で貰える鍵は一人一つで、一度使うと壊れてしまい、鍵その物は外に持ち出すことも出来ない。


「エルザは中段の左端、ネレイスは中段の右端を開けてくれ」


 二人が扉を開けたのち、私は中段の真ん中の扉に鍵を使用。


「……ビンゴだ」


 部屋の奥に、赤いメダルが安置されていた。


 “死活液”を誰も使用せず、エルザとサカナに開けて貰った扉のみが開いている状態で、この真ん中の扉を開けることでようやく、このステージのユニークスキルを手に入れられる。


 扉は毎日リセットされ、鍵を受け取れるのは一人一日一回のみ。


 つまり、協力的な人間四人でここに来なければ、条件を知っていても手に入れることが出来ない。


 他の誰かが別の扉を開けるか、“死活液”を使用していたらそれだけでその日は手に入れられないため、今まで誰にも取られていない事にも納得出来る。



3000000(三百万)Gを手に入れました。

○“万能樹液”×12を手に入れました。

○ユニークスキル、“究極生命体”を手に入れました。



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