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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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444.魔神・蜜蜂

「魔神・蜜蜂の弱点属性は雷。有効武器は打撃系全般。代わりに斬撃ダメージは三分の二になる。危険攻撃は針を射出する事で、その後は凶暴化する」


 夕方、メルシュから情報を仕入れた俺達は、“吸血皇の暗都”に直接存在するボス扉の前に居た。


 妖精の色は毒々しい黄色で、目が黒い。


「ステージギミックは、ステージの四隅にある巣から現れる大量のビッグハニービー。雷属性の攻撃で感電させることが出来る。火で攻撃すると逆効果で、凶暴化してしまうそうだ」


 ボス戦は、面倒な法則がちょっとずつ増えていくな。


「じゃあ、俺達から先に行く」


 マリナ、クオリア、ナターシャの四人でボス部屋の中へ。


 奥底で毒々しい黄色のラインが走ると、黒石と黄石で出来た人型の巨大蜂が飛び上がる!


「クオリア!」


「お任せを――“四重詠唱”」


 ハッグの隠れNPCから手に入れられるサブ職業、“魔女精霊”は今、マリナではなくクオリアが装備している。



「“冥雷魔法”――――“直情の激発”!!」



 一発でおよそ五発分のMPを消費する“直情の激発”を同時に四つ行使し――黒雷の砲光を、魔神・蜜蜂にぶつけた。



○おめでとうございます。魔神・蜜蜂の討伐に成功しました。



「……て、一発で終わっちゃったじゃない!!」


 マリナが叫ぶ。

 

「そりゃそうだろう。全部直撃してたし」


 弱点属性の二属性魔法をおよそ二十発分、魔法特化のクオリアが放ったんだから。


 こんなにアッサリなら、蜂の巣を壊すのもありだったか。


 遠距離攻撃手段が乏しい面子だから、危険な橋は渡らないようにしたわけだけれど。


「あの……」

「ん?」


 クオリアが正面にやって来て、頭を下げた?


「撫でて……欲しいです」


挿絵(By みてみん)


 なんだ、この可愛らしい雰囲気は!


「良いよ」


 綺麗な銀髪を撫でる。


「髪、サラサラしてるな」

「へへへ」


 髪型があまり崩れないよう、優しく撫でる。


「「ずるい」……へ?」


 マリナが驚いたような顔でナターシャを見ていて、ナターシャはそっぽを向いている……なにかあったのか、あの二人?



●●●



「で、本当に任せて良いのか、エルザ?」


 ボス部屋入った途端に尋ねる。


「ああ。三人は、蜂の巣の破壊を頼む」


 無限に出て来る蜂で経験値稼ぎするという手もあるけれど、ここのステージギミックはさすがに危険すぎるからな。


 ブゥゥゥーン! という羽音を奏で、飛び立つ魔神・蜜蜂。


 それを追って、エルザも飛んでいく……へ?


「どうやって飛んでるんだ、あれ?」


 スキルやアイテム効果を使ったようには見えなかったが。


「あれは、普通に浮いているんですの。ネレイスである私が水中で呼吸したり、マスター達がご飯を食べて排泄するのと同じくらい、ヴァンパイアロードにとっては当たり前の能力なのですよ」


 サカナが教えてくれる。


「その例えはどうなんだ?」

「でもそれって、なんの消費も無しに空に浮けるって事ですか?」

「正解ですの、チトセ」


 つまり、“飛行魔法”のフライをMP消費無しで使用可能であり、スキルや武具効果を封じられても問題なく飛べるってわけか……。


「道理で、このステージで隠れNPCが手に入らないわけだ」


 その代わりに、ヴァンピールだったエルザのパワーアップイベントが用意されていたのだから。


「――“串刺し皇”」


挿絵(By みてみん)


 エルザが、無数の血の槍による攻撃を始めた。


「そろそろ、蜂が騒ぎ出すわよ!」


「奥は私が行く。“瞬足”!」


 チトセから借りた“ダブルバレル薬液銃”を持って、左隅のバカでかい蜂の巣へ。


「“分離”――くらえ!」


 巣の周りを拳大くらいの蜂が無数に飛び回っている中、チトセ特製の“殺虫液”をぶちまけた!!


「さすが特効!!」


 ちょっと浴びただけでも、すぐにボトボト落ちてはもがき苦しんでいる。


「“吹雪魔法”――ブリザードバーン!!」


 青の魔法陣より放った冷気の暴風を浴びせ、巨大な蜂の巣を完全に凍結。氷で覆い尽くして光へと変えた。



○“ハチミツ生産機”を手に入れました。

○“高級ハチミツ”×8を手に入れました。




●●●



 右腕の蜂の巣のような筒、六角形の六つの砲身からハチミツの弾丸を飛ばしてくる魔神。


 あれ自体に殺傷能力は無いが、食らえば動きを封じられてしまう。


「“咒血魔法”――カースブラッドバレット」


 “咒血皇帝”のスキルにより、私の専用魔法を行使――赤黒い血の散弾で、魔神・蜜蜂の全身に亀裂を生じさせる。


「巣は破壊したみたいだな」


 なら、そろそろ仕留めさせて貰おうか。


『ギギギィーーッ!!』


 お尻の巨大針を撃ってきた!



「“咒血武術”――カースブラッドスラッシャー!!」



 “咒血皇帝”のスキルで発動した闇、水、鉄の三属性の斬撃により、巨大針を切り裂いて――奴の尾を大きく切り裂く!


『――ギギギギッ!!』


 身体の黄色の部分が赤味を帯び、凶暴化状態に。


 耳障りな羽音を更に大きくしながら、ブンブンブンブンと高速移動を繰り返す。


 ハチミツの弾丸を飛ばしていた銃口からは六つの爪のような物が生えており――近接戦を仕掛けられる!


「“咒血魔法”、カースブラッド・イルミネーション!!」


 直撃を避けながら、イルミネーションが光るように集合と霧散を繰り返す呪われた血で、攻撃される度に少しずつダメージを与えていく。


「“血液噴射”」


 “ブラッドジュースの指輪”より、マスターの血液を経口接種。


 瑞々しい鉄の香りと喉ごしに――甘美な感覚を覚える!!


「さあ、どっちの強化の方が上かな」


 “吸血強化”で上がった身体能力に任せ、“吸血強化”に呼応して紅いオーラを纏う“ヴラド・キャリバー”。


「“咒血竜技”――カースブラッド・ドラゴンサンダー!!」


 赤黒い五属性の雷を放ち、魔神・蜜蜂を感電状態にして止める!



「“咒血の凶刃”――“咒血武術”――――カースブラッドスラッシュ!!」



 “吸血強化”発動状態でのみ使用可能な“ヴラド・キャリバー”の効果、“咒血の凶刃”で赤黒い巨大な刃を生成――纏わせた呪血の凶刃にて、頭から股まで綺麗に切り裂いた。



○おめでとうございます。魔神・蜜蜂の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★蜜蜂の尾針銃 ★蜂蜜魔法のスキルカード

★蜜蜂の電磁翅 ★凶暴化のスキルカード



「あまり、役に立ちそうなのは無いな」


 まあ、私のマスターは速攻で“蜂蜜の尾針銃”を選んでいたが。



○これより、第三十五ステージの実験都市に転移します。



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