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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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439.魔神・鋼鉄犰狳

「罠解除」



○どれが欲しい?


●指輪 ●サブ職業 ●衣服



「ま、無難なのは指輪かな」


 装備欄が多い指輪は、どれだけあっても悪くないし。


「“大地王の指輪”か。当たりと言えば当たりかな」


 うちのマスターが大地よりになっているから、そろそろ土と光の二属性特化にしていくか。


 竜属性を含めた三属性って手もあるけれど。


「幾つか宝箱は見付けたけれど、使えそうなのはこの指輪くらいか」


 手に入れたサブ職業、“従属の神主”は、装備条件を満たしている人間がうちのレギオンには居ないし、わざわざ生かす状況を作る程もない。


「あれ!? 急に景色が変わった!」

「何を言っているの、ナオちゃん? ――て、本当に変わった!」


「ナオさんとカナさんには、何が見えているんだろう?」


 呆然としている二人の視線の先に見えるのは荒れ地ばかりだから、クマムが疑問に思うのは当然。


「どうやら、荒野の端っこに到達したみたいだね」


 クマムとナノカと共にナオ達に近付くと、景色が歪んで――青黒い石の壁が目の前に現れる。


「この裏側は安全エリアになってて、その先にはポータルがあるよ」


 この仕掛けに関しては、第三階層の裏路地にいる小汚いNPCから、最大のヒントを得ることが出来る。


 他のNPCの言葉と合わせれば、大体の全貌が見えるというもの。


 ワイズマンの隠れNPCである私かオリジナルプレーヤーで無ければ、地道に情報を集めて回らなければならない。


 真っ直ぐ進む必要があると知らなければ詰んでしまう可能性が高いため、このステージは都市に戻って情報を集め直すことも可能になっている。


「じゃ、さっさと飛んでいこうか」

「なんか壁に窪みとか突起物があるけれど、あれってなに?」


 ナオに尋ねられる。


「飛行手段が無い人のための措置だよ。この壁が見える所まで来たら、都市には戻れないし」


「ああ、ボルダリングとロッククライミングを組み合わせような物なんですね。分からないと、妙に不気味に見えてましたけれど」


 クマム、興味あるのかな?


「よし、余は自力で登るぞ!」


 ナノカが、勝手に素手で登り出してしまう。


「わ、私も」


 クマムも、思いっ切り脚を開いて登っていく……いつも清楚に振る舞っている分、なんだか余計に下品。


「クマムちゃんのパンツ……グフフフフ!」


 ナオ……思春期の男子みたい。


「……カナ、どうかした?」


 背後の荒野をジッと見ているカナ。


 ここからでも、空に浮かぶピラミッド都市の威容は目立つ。


「ううん。むしろ……何もないなって思って」


「ん?」


 どういうこと?



●●●



「第二十六ステージのボスは、魔神・鋼鉄|犰狳犰狳(きゅうよ)。弱点は火。有効武器は鎚。危険攻撃は、身体を丸めて転がってくるスチールローリング」


 見慣れ始めたボス部屋前にて、メルシュの講義が始まる。


「ステージギミックは無し。その分、防御力が異常に高くて武術はほぼ通用しない。代わりに火属性には圧倒的に弱いから、低威力でも火で攻撃した方が効果的だよ」


 うちのパーティーなら、ユリカの出番か。


「じゃあ、最初は――へ?」


 私がユリカの腕を掴んだため、彼女が驚いている。


「な、なに? どうしたの、レリーフェ?」

「ルイーサ、数が一番多いそっちのパーティーから頼めるか?」

「……ああ、分かった。五人とも、準備は良いか?」


 最初のパーティーは突発クエストに巻き込まれる可能性が最も高いため、メルシュとモモカが居ないパーティーが選抜されるという、暗黙の了解ができ上がっていた。


「どうしたのよ、レリーフェ?」

「ちょっと疲れていたんだ、ユリカ。私達は最後にしてほしい」

「珍しいわね、レリーフェがそんなことを言い出すなんて」


 疲れているのは、本当なんだがな。


 念のため、今のうちに水筒から青い水、“ソーマ”を飲んでおく。


「あ、メルシュちゃん。コレを渡しておくわね」


 サトミが手渡したのは、黒い棘が生えた白い金棒。


「“生を視ること死の如し”か……うん、コトリにピッタリかな」


 名前からして、私の弓同様、神代文字対応か。


 私がまだ会ったことの無いメンバー……どのような者達なのやら。


「あ! さすがね、もう終わったみたい」


 火に特化しているヒビキが居るパーティーだ。当然だろう。


「それじゃ、次は私達が行くわね」


 サトミ達がボス部屋の中へ。


 モモカとバニラが居るパーティーだから、少し時間が掛かりそうだな。



●●●



「“二重魔法”、“爆裂魔法”――エクスプロージョン!!」


 開幕早々、二つの火球を魔神・鋼鉄犰狳に炸裂させる。


「犰狳って、アルマジロの事だったのね」


 あんまり気にしてなかったわ。


「“火炎大砲”!!」


 クリスちゃんの“砲火剣・イグニス”の砲口から撃ち出した一撃で、魔神の胸当たりに大きく損傷を与えてくれる。


「メルシュちゃんの言うとおり、火にめっぽう弱いみたい」


 このパーティーには火属性特化が一人も居ないからどうなることかと思っていたけれど、これならどうとでもなりそう。


「来るぞ、危険攻撃だ!」


 メグミちゃんの言うとおり、身体を丸めたのち、キラキラとしたエネルギーを回転しながら纏って――突っ込んで来る魔神!


「“爆裂魔法”――バーストバレット!!」


 “紺碧の空は憂いて”より生み出した魔法陣で爆裂の散弾をばら撒くも、纏ったエネルギーによって弾かれてしまう!?



「“嘆きの牢獄”!!」



 まさか凍結するつもりなの!? と思われたリンピョンちゃんの氷結攻撃は、なんと、アルマジロちゃんの通り道に氷で出来た即席ジャンプ台を作り出した!


『――!!?』


 魔神の巨体はジャンプ台により跳ね上げられ――ボス扉の裏側上部に大激突し、ジャンプ台を叩き壊すように目の前に落下して来る!!


「全員後ろへ!! “守護武術”――ガーディアンビッグシールド!!」


 メグミちゃんによる広範囲の正方形障壁により、氷の破砕片全てが防がれる。


「これで終わらせます」


 クリスちゃんが訛り無しで喋ったと思ったら――“甘い蕾の中の逢瀬”の柄を口にくわえながら、文字を刻んだ!?



「――“火炎大砲”!!」



 文字の力を急激に注ぎ込んだ一撃が、メグミちゃんの障壁が消えると同時に放たれて――落下で全身に罅が入っていた魔神・鋼鉄犰狳のお腹をぶち抜き……光へと変えてしまった。



○おめでとうございます。魔神・鋼鉄犰狳の討伐に成功しました。



「モモカちゃんとバニラちゃんは、怪我とかしてない?」


「うん、大丈夫!」

「キャウ!」

「バニラも大丈夫だって!」

「そう、良かった」


 さっきの突撃でこっちに来たときは、モモカちゃん達が居るのもあってヒヤッとしてしまったわ。


「今回のMVPは、間違いなくクリスだな」

「そうね」

「確かに」


 メグミちゃんの言うとおり、もっとも有効なダメージを与えていたのはクリスちゃん。


 落下による罅割れだって、クリスちゃんの最初の一撃で胸部分の一部を破壊していたおかげだろうし。


「リンピョンちゃんも、ナイスだったわよ」

「サトミ様の下僕として、これくらい当然です!」


「リンピョンちゃんは、いつだって可愛いわね~♪ 撫で撫でしちゃう!」

「あ、嬉しいですぅ、サトミ様~♡」


「どうした、クリス?」

「……へ? な、なんでもないわよ。うん、なんでもない!」


 訛りが欠片もないせいで、明らかにおかしいと分かる。


「キャウン」


 バニラちゃんが近付いて、頭をクリスちゃんの脚に擦り付けている……クリスちゃんを慰めようとしているのかしら?


「ありがとうです、バニラ」


 膝を付いて、バニラちゃんを犬のように抱き締めるクリスちゃん。


 本当、この前の突発クエストで何があったのかしら?


 たぶん、アオイちゃんの事とはまた別のはず。



○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★鋼鉄犰狳の盾鎧 ★鋼鉄魔法のスキルカード

★鋼鉄球の指輪  ★鋼鉄鱗のスキルカード



「さて、向こうはどうなっているかな」

「向こう?」


 メグミちゃんが見ているのは、ボス部屋入り口の方。


「まあ、あの面子なら問題ないはずよ」

「バニラも、匂いは一人しかしなかったって!」

「モモカ、気付いてたのか」


「へと……リンピョンちゃんもメグミちゃんも、いったい何を言っているの?」



○これより、第二十七ステージの憧れの廃工場に転移します。



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