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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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433.出生の真実

 マンティコアの猛撃に、防戦一方にされてしまう私。


 爪や牙だけでなく、蠍の尻尾のような物の先端から毒針まで放ってくる。


 “大盾術のスキルカード”、早々に買っておくべきでしたね。“騎槍術”のスキルカードも。


「私は、もう少し我が儘になるべきなのでしょうか?」


 もう何度目の攻撃か、ようやく、前脚による腰を入れた一撃を放ってくれたマンティコア。


「――“疑命の腕”」


 一瞬の隙を突き、白亜の床を素材に作り上げた腕でマンティコアを背後から拘束。持ち上げて動きを封じます。


『グルルォォ!!』


「“聖騎士武術”――パラディンバッシュ!!」


 悪足掻きで振るわれた蠍の尻尾を“ロイヤルロードシールド”で弾き飛ばし、右手の“ロイヤルロードランス”を引き絞る!



「“聖騎士武術”――パラディンセイバー!!」



 突き出したランスを下側から胸へと差し込み、ランスから滅却の青白い光を放出……ようやく仕留めました。



○○○



「ハァァァッ!!」


 黒と青のシャシュカの二刀流で、二体の攻撃を去なし続ける!


「このままじゃ埒があかないな」


 両刀に神代文字を十二文字刻み、スケルトンハイウォリアに向かって両方を投げ付け――その鎧を貫き刺した!


『ガルルルルル!!』


 ワイルドワーウルフとやらの高速の奇襲を、神代文字で強化された身体能力で見切って腕を取り――頭から片腕で投げ落とす!!


 母が得意だった、合気道の技だ。


 ワーウルフが立ち上がる隙に腰の“軽量のコサックダガー”を抜き、“空遊滑脱”を使用。


「私なりに練り上げた技の到達点――お前で試してやる」


 狼男の右腕の爪を左手で逸らしながら、逆手にしたコサックダガーで右腕の腱を切る。


 すぐさま右裏回し蹴りを顔面にお見舞いし、空を蹴って脇腹を切り裂き、右回し蹴りを傷に叩き込む!!


『――グギュルぉぉおおお!!!』


 トドメを刺そうとした所でスケルトンハイウォリアによる背後からの強襲――紙一重で避け、刺さっていた“雪原を撫でる夜風”を掴み十二文字刻んで――“青き月光で雪原を照らせ”へと成す!!


挿絵(By みてみん)



「――“神代の月剣”」



 スケルトンハイウォリアの胸から逆手持ちで引き抜き――後ろから迫っていたワイルドワーウルフを三日月型の刃で斬り裂き上げた!!


 迫るスケルトンの鉄球を、満月型にした“神代の月剣”で受け去なし――肉厚の半月型にして上段へ!!



「“吹雪剣術”――ブリザードスラッシュ!!」



 青白き半月のシャシュカを振り下ろし、その鎧ごと巨大な骸骨を……斬り滅ぼした。


「ハアハア、ハアハア」


 サンヤに会ってキスしたくなったな。


「無事ですか、リューナ様?」


「クオリア……皆は」


「マリナ様は気を失ったようです」

「なに!?」


 先程、ほんの一瞬だが途轍もない気配を感じた気がしたが……。


「外傷による物ではないようなので安心を。ナターシャ様が保護していますし。それより……」


 エルザ達の戦いが止んでいるようだが……終わったのか?


「く!」


 そう思ってしまったからか気が抜け、膝を付いてしまった。


「もう限界です。少し休んでください」

「ハアハア、ハアハア……そうさせて貰お――」


 ――身体が、指一本すら動かせない!?



●●●



「これで終わりだ……吸血皇。母の無念と苦しみを抱いて、地獄に堕ちるが良い!」


「……バカな娘だ。私という存在その物が、この世界の人類の罪――その物だと言うのに!!」


 吸血皇の胸を“銀の杭”で貫いていたエルザが、いきなり赤い液体に包み込まれた!?


「私は、この世界の闇その物! 人間達の欲望が憎悪を生み出し、その憎しみに囚われた者達によって造り出された――黒き希望なのだぁ!!」


 まだ、身体が動かない!


 この光景が強制イベントって事なら、エルザが死ぬことはない?


「良いことを教えてやろう、エルザ。お前の目の前で母を殺したのは――彼女の願いだ」


「なん……だと?」


「彼女は、村人に強制的に連れて来られた最初の生贄だった。その彼女は、私に更なる憎しみの力を授けるのと引き換えに、世界を滅ぼして欲しいと望んだ。この世の理不尽を呪ったが故に! ……そのために生み出されたのがお前だ、我が愛しの娘よぉ」


「う、嘘だ! そんなはずはない!!」


「死の間際に彼女に言われたはずだ。必ずこの私に復讐しろと。あれはな、お前に強い憎しみを植え付けるための我等の芝居よ! 心が無い私に、私の半身たるお前を取り込ませ――世界を滅ぼせるほどの力を与えるための、お前の母の計画だったのだッ!!」



「――ぅああああああああああああッッッッ!!!!」



 液体がエルザを包みこんで球体となり、吸血皇の貫かれた胸から伸びる血の触手と繋がってしまう!


「ぅおおおおおおおオオオオオオオオオオ!!!』


 吸血皇の身体が巨大化していき……白い装甲を持つ――血のように赤い双頭の竜鬼の姿へ!!


 その巨体は、魔神・呪い竜と同等かそれ以上!!


『……フム、まだ抵抗するか、我が娘よ』


 まだ、身体は動かせない。


『どうやら、貴様の存在が我が娘の希望となっているようだな』


 首が交互に言葉を……。


「……へ、私?」


 確かに、エルザと契約したのは私だけれど。


『『良かろう!! 貴様を始末し、我が娘の心と魂を完全に取り込んでやろう! その時こそ、私は真の吸血皇となり、彼女との約束を果たすのだぁぁ!! ブラぁぁぁぁぁぁ!!』』


 ――ようやく、身体が動く!!


「全員、エルザは狙うな! 胸の球体以外を攻撃するんだ!!」


 コセさんの指示。


『ほう? 我が娘の消え損ないたる核を破壊すれば』

『貴様らにも、勝ちの目があるかもしれんのだぞ?』


「そうなるとエルザを失うだけじゃなく、このステージの隠れNPCそのものが手に入らなくなる!」


 ……目の前で繰り広げられていた親子のドラマが、私の中で一気に冷めていく気がする。


 そう言えばこれ、只のゲームの一演出に過ぎないんだった。


『貴様らは、ここで一人残らず死ぬのだ!!』

『瞬きの間に殺してやろう!』


 赤黒い圧が空間を圧迫していく!!



『『――“串刺し皇”ぅぅ!!』』



 頭上に幾つもの血の槍が顕現し、私に狙いを定めた!?


「大地の盾――“大地盾術”、グランドバッシュ!!」


 迫ってきた血の槍を、頭上に掲げられた六角の盾で弾いてくれるコセさん!



「“二重魔法”、“霙竜魔法”――スリートドラゴバイパー!!」



 マリナさんから受け取っていた“霙王竜”の力で、双頭の竜鬼を攻撃してくれるネレイスさん。


「攻撃は、俺とネレイスで受け持ちます。チトセさんは、自分の身を守っていてください」


「は、はい」


 ちょっと……キュンとしちゃったかも。


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