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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第12章 残滓が消えぬ間に

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428.天空廻廊と悪臭の下水道

「来るぞ、“ダークホースナイト”だ!」


 エルザの叫びと共に馬蹄と金属の擦れる音が聞こえてきたと思ったら、空中廊下の奥からランス持ちの黒騎士と黒鉄の馬が駆けて来た!


「――リバーモード!」


 “マルチギミック薬液銃”のモードを変えているうちに、三人が前を空けてくれる。


 セットしている薬液を“溶解液”から“腐食液”へと素早く切り替え、瓶の中の薬液を一気に放出――ホースナイトを錆び溶かしていく。


「良い判断だ、マスター。ソイツはなかなかの強敵なうえ、この場所との組み合わせが最悪だからな」

「そうなんですか?」


 咄嗟に身体が動いただけだったから、エルザに褒められるのがこそばゆい。


「一本道の通路……外側を飛行するのは避けた方が良いか」


 リューナさんの視線の先、空中廊下の周りの空間は毒々しい紫色に包まれていて、なにも無い。


「この通路の外は飛行不能だ。真っ直ぐ進むしかない」

「つまり、現れる敵とは正面から戦わなければならないというわけですの」


 エルザの言葉を補足するネレイスさん。


「なら、出し惜しみしない方が良いだろうな」


 なぜか私を見詰めてくるリューナ……だけじゃなくて、エルザまで!


「な、なに?」

「いや、分かってるだろう」

「名前からして、この状況に相応しい武器だしな」

「なんのこと?」


 ネレイスさんは知らないけれど、この二人の前では使っちゃったんだった。


「……ハァー、今回だけですよ」


 薬液を作成できない状況が続いているし、MPを消費して攻撃できるアレは確かにこの状況にピッタリ。


「ただし、コセさんにはこの武器の事は言わないでくださいよ! 私のその時の言動とかも含めて!」


「ハイハイ」

「まあ、気がある相手に知られたくないのも分かるが、時間の問題だと思うぞ?」


 リューナさんの言っていることは、一理ある。


 確かに、薬液一辺倒では状況次第でなにも出来なくなってしまうのは……ここまでで痛感していた。


「さっさとこのクエストを終わらせますよ――オールセット2」


 バックパック付きのガトリング――“妖魔悪鬼への憤慨”を装備し、通路の奥からやってくる犬っころ共に俺様自慢の銃口を向けるぅぅ!!


「オーラオラオラオラオラオラーー!! どきやがれぇぇぇぇ!!!」


 “魔力弾丸”を連続発射し、腐った犬っころ共を殲滅殲滅殲滅ーッ!!


「チトセ様のお通りだーー!!」


 コイツを持った俺様の、鬱憤晴らし祭りだー!!



○”暗黒騎兵”のサブ職業を手に入れました。




●●●



 墓所を抜けた先に広がっていたのは、下水道と思われる広い空間。


 酷い悪臭を放ちながら、暗い黄緑色の水が水路を、俺達があ進むのとは反対の方向へと流れていく。


「う! は、早く抜けたい」

「しゃ、喋ると口に……ゥェ」

「…………」


 使用人NPCであるナターシャまで、盾を消して左腕の裾で口を押さえている……そんなにかよ。


 今の俺にはマントが無いから、三人みたいに口元を隠すことも出来ないって言うのに!


「クオリア、夜鷹に“鳥獣戯画”だ」


 ユニークスキル、“鳥獣戯画”を使用する関係上、生物を呼び出すタイプの指輪はクオリアに預けてある。


「ク! 夜鷹、“鳥獣戯画”!」


 指輪で呼び出した真っ黒な鷹を、擬人化して貰う。


 ……さっきのクオリア、敵意が……もしかして、この悪臭の中で俺が口を開かせたから?


「よ、ヨッちゃんに先行させてくれ」

「チ! お願い、ヨッちゃん」


 今舌打ちしたぞ、アイツ。普段、自分から様付けしてくるくせに!


「は、早く行くぞ」


 鼻を摘まんでも大して意味ないし、武器を振るうのにも不便だから摘まんでなんていられないし……どう考えても、今一番辛いのは俺なんだぞ!


 目が見えない分、クオリアの方が嗅覚とか敏感なのかもしれないけれどさ!


「来たか」


 水の中から、以前遭遇した青のギルマンや黒のギルマンまで出て来る!


 ――先手必勝だ。


「“飛王剣”!!」


 青いギルマン共は両断するも、黒のギルマン二体は跳躍して回避してしまう!


「大地の盾!」


 六角の盾を指輪から顕現し、ブラックギルマンの、紺色の水を纏わせた三つ叉槍を受け去なす!


 神代文字を“サムシンググレートソード”に三文字刻み、ブラックギルマンを仕留めていく!


 スキルを使用すためには口を開かなければならず、その度に悪臭が喉奥に入り込んでくるため、神代文字だけでさっさと仕留めてしまいたい!


「ハー、ハー……クソ」


 二体目の猛攻に、時間も体力も取られた。


「お前ら……」

「……」


 後ろの三人、全然援護しようとしなかった。絶対許さねー!


「後で覚えてろよ」

「そ、そんなこと言ったってねー」

「このルートを選んだのは、コセ様なわけですし」

「近接戦となると、援護にも限界が……」



「あ?」



「「「……すみません」」」


 仲間に対して、かつてないほどに威圧してしまった。


 この悪臭のせいで、気が立ちやすくなってしまっているな。


「あ、“生活魔法”のクリアエアを使用しては?」


「「「それだ!」」」


 なんでもっと早く気付かなかったんだ、ナターシャくん!!


 四人ともすぐに魔法を使用し、身体の周りに綺麗な空気を循環させる。


「だ、だいぶ楽になった」

「けど……臭いが」

「衣服に移ってしまっているようですね……ぅ!」

「申し訳ありません。もう少し早く気付いていれば」


 俺は布がほとんどない分、三人よりはマシなのだろう。


「よ、よし、さっさと抜けてしまおう!」


 “生活魔法”のクリーニングの存在については、暫く黙ってよ。



○“ザ・アビス・メイル”を手に入れました。

○“ザ・アビス・トライデント”を手に入れました。




●●●



「さーて、今日は良い物が売ってるかな?」


 冒険者ギルドに設置された転移装置を使い、やって来たのは第十六ステージの宝石島。


 と言っても、ここは本来の第十六ステージではなく別空間。


 他のプレーヤーと接触して、Lvや装備の差で物を言わせないようにするための措置。


 冒険者ギルドがある街には、同じくギルドの建物から自由に行き来することが可能というわけ。


「いらっしゃいませ、VIP会員様」


 ギルドの向かいの宝飾店へと入店し、すぐに店員の前へ。


「日替わり商品を」


 マスターが居なくなってからたびたび訪れてはいたんだけれど、今夜は良い物はあるかな?



○以下の商品を購入出来ます。


★共有のティアーズ・レッド 1000000(百万)

★エターナルラブラドライトリング 10000000(一千万)

★聖水王の指輪 2000000(二百万)



挿絵(By みてみん)


「今日は品揃えが良いね」


 マスターは“共有のティアーズ・ブルー”を手に入れていたし、そろそろ数を揃えても良いタイミングかな。


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