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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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420.魔神の大石刀

「……緊張する」

「ガンバだよ、クマムちゃん!」

「余が居るのだから、大船に乗ったつもりでいるが良いぞ、クマム!」


 久しぶりのパーティーリーダーということで、妙な緊張状態に晒されている私を励ましてくれるナオさんとナノカ。


 ライブや収録の時とは全然違う、命を預かっているという感覚。


 アオイさんの事があったからか、余計に緊張してしまっている。


「カナさん……パーティーリーダー、代わってくれません?」

「無理」


 仮面を付けた妖艶美人に、可愛らしく断られた……普段はオドオドしているのに、狡い!


「まあまあ、私がサポートするから」


 もう、前みたいに、またメルシュさんにリーダーをやって欲しいです!


「あれ、舟が来る?」


 ナオさんが気付いたのは、後方から流れてくる(いかだ)


「た、助けてくれー!!」


 その後方から、狂暴そうな肉食魚のモンスターの群れが。


 筏の主の男性は、あの魚から助けて欲しいようです。


「このイベント……どうやら、このルートは衣服系だったようだね。筏を傷付けないようにモンスターを殲滅すれば、良いことがあるよ。広範囲、特に雷属性の攻撃は使わないようにして」


「分かりました。ナノカ、一緒に来て! “天使の翼”」

「任せよ! “銀蛾翅”」


 ナノカは魔神装備、”銀風蛾の鱗粉翅”を生やして私と共に河の上へ。


「行きます――“抜剣”」


 魔人の皇都で作成して貰った鞘、“魔神の細剣鞘”の効果で、青紫色の“魔神気”を纏わせます。


挿絵(By みてみん)


「“天使法術”――エンジェルランサー!」


 光白の槍群を放ち、とにかく肉食魚の数を減らしていく。


「――“瞬突”」


 噛み付こうと跳び上がってきた個体を串刺しにし、一撃で絶命させた。


「離れるが良い、マスター!」


 ナノカが振りかぶったのは、青黒い石の刀身と柄を持つ――“魔神の大石刀”。


 “四本腕の大湾刀”を含む十種類の魔神装備を鍛冶屋に持ち込んで作って貰ったという、魔神系統の装備。


 十一ステージ以降から作成可能なためか、Sランクにしては目だった能力は無いそう。


 でも、魔神子のNPCであるナノカは、魔神系統武具のランクを一段階上げる“魔神への軌跡”を持っている。


 専用装備の魔神子系統には効果が無いようだけれど、SSランク実装に伴い、魔神系に限りSランク武具をSSランク扱いに出来る。



「”魔人武術”――サタニズムブレイカー!!」



 ブレイク系の放出技なのか、大石刀を振り下ろすと同時に青紫色の衝撃波が放たれ、河の広範囲が爆ぜたのち、多くの青白い光が天に還っていく。


挿絵(By みてみん)


「凄いよ、ナノカ!」

「余の力ならば当然だ! ハーハッハッハ!!」


 ナノカという名前を付けたからなのか、まるで別の世界線の私を見ているような気がした。



●●●



「どうやらこちらは、武具ルートだったようですね」


 ヨシノの言葉が合図であったように、黄金の面を付けたミイラが地面から這い出てくる。


 その手や脚には、バラバラな武器。鎧を身に付けた個体も居た。


「”一矢十矢”!!」


 レリーフェが放った矢が牽制となり、動きを止めてくれる。


 アンデッドに強い“銀の矢筒”の矢を使用しているからか、ミイラ達には大ダメージ。


「”デザートミイラ”には、あの仮面により“黄金障壁”があります!」


「任せて……」

「すぐに終わらせてやるよ!」


 ヨシノの言葉を受け、颯爽と前に出たユイとシレイアがあっという間に斬り伏せていく。


「どんな武具を使っているのか分からないのに、大丈夫なのか、あの二人?」


 そう言えば、二人が実戦で戦うのをレリーフェが見るのは、これが初めてか。


「ほとんどがBランク以下の武具のはずですし、問題ないかと」


 ヨシノの言葉を肯定するように、ユイ達はあっという間に数を減らしていく。


「あれ?」


 ユイの剣が、翠の鎧を着ている奴に弾かれた?


「なるほど。“刀剣術”――撃打ち」


 剣と鎧がぶつかり合うと一瞬、衝撃波が巻き起こり、バランスを崩したミイラの首をアッサリと刎ねる。


 そんなこんなで、私達は大量の武具を手に入れたのだった。



●●●



「あら?」


 衣服ルートにて、無傷で助けた筏のおじさんが、下流の一角で留まっていた。


「どうしたのかしら?」

「聞いてくる!」

「キャウキャウ!」


 モモカちゃんとバニラちゃん、それに二体のお人形ちゃんまで飛び出していってしまう。


「よく分からずに助けちゃいましたけどぉ、良かったんですかねぇ?」


 最近、気落ちしている様子を見せているクリスちゃんが尋ねてきた。


「このゲーム、なにがどう転ぶかよく分からない所があるからな」

「盗賊団のアジトとか、そんな感じでしたよね」


 メグミちゃんとリンピョンちゃんが言っているのは、あの巨大リザードマンを飼っていた元盗賊団首領の事かしら?


「おお、あんたら! さっきはありがとうな。礼に、次の街で売るはずだった物を譲ってやるよ。一人一つ、好きなのを持っていきな」



○以下から一つを選択して手に入れる事が出来ます。早い者勝ちです。


★孤高の陰キャップ A ★防弾チョッキ B

★光線王の大ケープ A ★星の魔術法衣 A

★聖霊の大ケープ A  ★古代の魔術法衣 A

★悩殺の闇ビスチェ B ★鋼の戦士の下着 B

★籠絡の光ビスチェ B ★炎の戦士の下着 B

★サンダラスの魔女下着 A

★ヘルサンダーの魔女下着 A

★インフェルノの魔女下着 A

★サラマンドルの下着 A

★ドラグーンロードの下着 S

★ドラゴンロードの下着 S

★ソードマスタードレス S

★ランスマスタードレス S

★最輝星竜のイブニングドレス S



「隠れNPCが居ないと、ちょっと判らないわね」

「取り敢えず、Sランクを優先して選んでは?」

「むしろ、それが落とし穴になっている気がするな」

「今までこんな風にぃ、ランクでませぇんでした。おかしぃーです」


 メグミちゃんとクリスちゃんの意見は、一理ある。


「下着がいっぱい。バニラ、どれが良ーい?」

「キャウ?」


 モモカちゃんには、まだまだブラは早いわよね?


「ねぇ、まずは皆と相談して……」

「ワン!」


 あ、バニラちゃんが適当に選んでしまった。


 そんなこんなで、バニラちゃんは”聖霊の大ケープ”、リンピョンちゃんは“光線王の大ケープ”、メグミちゃんは“ドラグーンロードの下着”、クリスちゃんは”籠絡の光ビスチェ”、私は“悩殺の闇ビスチェ”を選択。


 その後は、下流が行き着く洞窟の中へと足を踏み入れていく。


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