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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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415.ロイヤルメイドのナターシャ

「皆様、初めまして。ユウダイ様の専属メイド、ナターシャと申します」


 フワリとした大きなスカートをつまみ、優雅にお辞儀をする俺のメイド、ナターシャ。


挿絵(By みてみん)


 白いフリル付きエプロンに、白い生地で出来た露出度ほぼ皆無なメイド服、“淑女な侍従服”に身を包むは、薄い金髪セミロングをハーフアップにした、身長148センチのGカップ童顔、白肌と紫瞳を持つ美少女だ。


 ……俺のメイドっていうのもそうだけれど、自分でデザインしたのもあって隅々まで知っているというのが……我ながら気持ち悪いな。


 ゲーム内のアバターと違い、今目の前でこうして、生きているように動いているのだから。


「ほーう、これがコセの理想の女か」


 リューナが朝っぱらから弄ってくる。


 朝早く目が覚めて、ボーッとした頭でデザインして完成したのが彼女だったんだけれど。


「別に理想ってわけじゃ……」


 ゲームのアバターだと普通はデザインしないところとかは……追求したかもしれない。


「脚、ほっそ! コセって細い方が好きなんだ」


 白い黒紐パンが見えるくらい無遠慮にスカートをめくり、至近距離でマジマジと観察し始めるマリナさん。


「て、幾らなんでも遠慮がなさ過ぎるだろう!」


「でも、全然恥ずかしがっていないようですね」


 クオリアの指摘通り、ナターシャは無表情のまま。


「AIチップが入っているとはいえ、感情を学ぶのはこれからだ。最初は融通が利かないという意味では、隠れNPCのようにはいかないだろうな」


 ヴァンピールのエルザの指摘……なんか、自分の方が優秀だと、そこはかとなく訴えてない?


「チトセとマスターは、使用人NPCを出さないんですの? Lv条件は満たしていますわよね?」


 ネレイスのサカナの指摘。


「装備もスキルもそこまで充実していない状況では、急いで頭数を増やす必要は無いかなって思ったんです。サカナさ――」



「――私の事はネレイスと呼びなさい、コセ」



「……はい、すみません」


 よっぽど、サカナと呼ばれるのが嫌だったらしい。


「凄いぞ、クオリア。ナターシャのおっぱい、本物みたいに柔らかい! というかこれ、完全に本物だよ!」

「弾力もありますね」


 リューナとクオリアが、無遠慮にナターシャの胸を揉んでいる!?


「お前ら、人のメイドに何してんだ!」


 自分達が女だからって、男だったら社会的に抹消されかねない事をするんじゃない!!


「ユウダイ様、彼女達の失礼な態度にはいかように対処すれば宜しいのでしょうか?」


 ナターシャの綺麗な声が、鋭く響く。


「破廉恥な事をされたと思ったら、軽くビンタしてやれ」


 それくらいは許されるだろう。


「畏まりました」


 流れるような動きで、リューナとマリナがビンタされた。


 クオリアは、なぜか紙一重で回避。


「ひ、久し振りに同性にぶたれた……ショック」

「こんな華奢な美少女にぶたれるなんて……悪くない」


 俺の中のリューナが、どんどん変態化していく。


 ていうか、マリナは同性にぶたれた事があるのかよ。


「彼女の職業はどうするんだ?」


 エルザに尋ねられる。


「戦士にして、ロイヤル系の装備で固めようかと」


 システム的に魔法使いの方が優遇されてるなんて聞くけれど、手持ちの装備で考えたらその方が良い。


 この面子だと、魔法使いの方が多いし。


「なるほどな。それで、今日はどう動くんだ?」


「俺とリューナでパーティーを別ける。俺の方にマリナ、クオリア、ナターシャ。エルザとチトセさんはリューナとネレイスと一緒に行動してくれ。リューナ、ダンジョンの事で分からない事があったら、エルザかネレイスに聞いてくれ」


「了解」


 その後、俺はナターシャのスキルの選別をし、ロイヤル系装備などを渡していくのだった。



●●●



「アヤナ!?」


挿絵(By みてみん)


 朝、“忍者屋敷”の自室から出て階段を降りると、さっそくルイーサが声を掛けて来た。


「その髪……」

「ああ、切ったの」


 輪っかを作るように右サイドテールにしていた黒髪が急に鬱陶しくなって、ついさっき、ナイフで雑に切った。


「それで、今日は何時から攻略を再会するの?」


「いや……今日は一日、手に入れた新装備を試したり、新しい隠れNPCとの交流をする予定だ」


「そっか。じゃあ、今から一緒にモンスター狩りでもしない? 今さ、すっごく身体を動かしたい気分なのよね」


「アヤナ……お前、大丈夫なのか?」


 ルイーサが心配するせいで、心の重い場所に嫌でも視点が向いてしまう。


「……目標が出来たの。だから、早くゲームの攻略を再会したいくらいよ」


「……モンスター狩りは、朝食のあとでも良いか?」


「そう言えば私、昨日の朝から何も食べてなかった。ご飯の前に、お風呂にも入りたいかなー」


 これが空元気なのかどうかさえ、今の私には分からない。


 それくらい今のアヤナという女は……これまでとは違う感覚で生きている。


 そう……アオイが死んだのに、私は生きているんだ。



●●●



「そう言えば、例の化石発掘イベントってどうなったんだ?」


 俺が倒れていた間に、発掘に行っていたはずのリューナ達に尋ねる。


「四人で手分けして、なんとか化石を一つ発掘してな。そこにいた考古学者が指輪にしてくれた」


「これですね――猛禽恐竜!」


 町の端の砂漠手前でクオリアが指輪を使用し、猛禽の鳥の特徴を持つラプトルのようなスタイルの、色彩豊かな恐竜を呼び出した!


「随分派手だな」


 鮮やかなブルーがメインカラーだけれど、黄色や赤の羽毛も混じっている。


「もしかして、飛べるのか?」


 腕は翼のようになっていたため、つい期待してしまう。


「それは滑空用だな。ジャンプ力を上げる補助にも使えるが、自由に飛んでいられるような代物じゃない」


 エルザの説明。


「でもさ、なんで恐竜なのに鳥みたいな特徴があるんだろう? 変じゃない?」


 マリナが指摘する。


「そんなことはありませんよ。鳥と恐竜は、元は同じ生物の子孫だと言われていますし」


 以外にも、チトセさんが説明を始めた。


「でも、マリナさんのように感じる人が多いのも当然でしょうね。恐竜の再現された見た目は、ほとんどが原生爬虫類を元にした想像物ですから。勘違いしている人が多いんです」

「勘違いって、何がですか?」


「恐竜の見た目は、さほどよく分かっていないと言うことです。色だって、ほとんど判明していないと言っても良いんですよ」

「そうなの?」


 まあ、恐竜にさほど興味が無ければ、図鑑やテレビ、映画の映像を本物そのまんまだと捉えるだろうな。


「毛が発見された恐竜なんかは多少は色が分かったりするけれど、どこまで正確に再現されているかは確かめようがないからな。有名なティラノレックスに、実は羽毛があったって知っている人はほとんどいないだろうし」


 脚の形とか、羽毛の有無とか、鳥と恐竜の共通点は色々多い。


 まあ、水棲恐竜とか草食恐竜なんかまで鳥の親戚にしていいのかどうか判らないけれど。


 世の中、考えれば考えるほど確かめようのない事だらけだよ。


「それじゃあ、そろそろ行くか」


 早く、トゥスカ達を迎えに行かないとな。


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