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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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410.迫り来る死体の群れ

「装備セット2」


 “多目的ガンブーメラン”と”偉大なる英雄の光擴転剣”に切り替え、“魔力弾丸”で死人の群れに攻撃し続ける。


「コイツら……」


 盾やスキルで、私の攻撃に対処してくるのか!


「言ったでしょう? コイツらの強さは、生前とほぼ同じだってね!」


 あの外道魔女、イズミが吠える。


「く!!」


 しかも、ちゃんと連携して攻めてくるなんて!


 不幸中の幸いは、“死印契約”のために、私を殺さないよう立ち回ってくれていること。


 でも、いずれは痺れを切らして畳み掛けて来るかもしれない。


 それに、動けない兄さんが狙われる前に片を付けないと!


「圧倒的な力で、この場を打開する!!」


 ――“偉大なる英雄の光擴転剣”に十二文字刻み……九文字までしか刻めない!?


「仕方ない――“光擴”!!」


 内側から翠の光を広げ、英雄のブーメランを二メートル程までに巨大化!



「“逢魔転剣術”――オミナススラッシュ!! ベクトルコントロール!!」



 禍禍しき暴威を纏わせたのち、軌道を操って屍達を両断していく!


「貴様ら、とっとと止めろ!!」

「させない!!」


 無茶苦茶な軌道を描いて注意を集め、隙を晒した奴に“多目的ガンブーメラン”で“魔力弾丸”をお見舞いしていく!


「一定のダメージを受ければ、消えていくみたいですね」


 倒すのが不可能というわけでなければ、なんとかなるはず。


「チ! 獣共、その女を引き裂け!!」


 今は武術を二つ使用している状態。他のスキルで対処しなければ!


「――“魔力砲”!!」


 引き付けるだけ引き付け、一体の人獣は確実に消し去った。


 その他、数体の腕などを吹き飛ばし、少なくないダメージを与える。


「て、テメーッ!!」


「避けられましたか」


 あわよくば彼女も巻き添えにしようと画策しましたが、さすがに距離がありすぎた。


「クソ女が!! ――“暗黒砲”!!」


 仲間ごと!?


「“ホロケウカムイ”!!」


 射線上から外れようとするも、死体共が邪魔で避けきれない!!


「ああああぁぁ!!」


 “多目的ガンブーメラン”の損傷と引き換えに、なんとか五体満足で生き残れた。


 半壊状態となったからかガンブーメランが消え、装備から外れてしまう。


 “偉大なる英雄の光擴転剣”も、コントロールがおざなりになった隙に撃ち落とされてしまった。


「“咎の転剣”!!」


 生み出した禍々しいX字のブーメランで、人獣を両断!!


「ハアハア……なるほど。“獣化”による再生能力は、働いていないようですね」


 死体故なのか、再生能力は失われているらしい。


 生前と同じと言っていたけれど、他にも色々と劣化している部分はありそう。


 でないと、たった一人の人間が操る戦力としてはあまりにもデタラメが過ぎる。


「やっぱり欲しいわ。あんたみたいな――強力な手駒がさーッ!! 来い、私のお気に入り!!」


 再び地面が黒く染まり――巨軀の女が現れた!?


 筋骨隆々で半裸な上、ノーザンが使うような大きな片手斧と円形の盾を持っている!


挿絵(By みてみん)


「もしかして……隠れNPC?」


 その見た目は異世界人らしさを残しつつ、ご主人様達とは明らかに一線を画する物。


「そうさ! 他の契約者から“エンバーミング・クライシス”で奪った隠れNPC、バーサーカーだ!! やれ、バーサーカー!!」


『“狂獣化”』


 ――まるで“獣化”するがごとく、狼と虎が融合したような人獣となった!!?


「その女を捻じ伏せな!!」


『ゥオオオオオオオッッ!!!』


 その声は人間のものではなく、まさしく獣の雄叫び。


「装備セット1」


 “荒野の黄昏は大いなる導”を手にし――六文字刻む。


『“三連瞬足”――ハイパワーアックス!!』


「ハイパワーバニッシュ!!」


 動きを見極め、ブーメランの腹部分から“大盾術”を発動! バーサーカーの攻撃を弾いて――


「――ああッッ!!」


 弾かれた勢いを利用して、殴り付けるように盾の側面をぶつけてきたッ!!


 防ぎはしたものの、左腕が激痛と共に痺れる。


「今だ!!」


 他の死体達が、私に急接近して来た!!



「“神代の霊剣”!!」



 女性の声が響いた次の瞬間、死体達に青白き炎の斬撃が幾つも直撃する!!


「ようやく誰かに会えたと思ったら、まさかアンタとはね」


「マリナ……」


挿絵(By みてみん)


 ご主人様の顔面を蹴ろうとした不届き者!!



「“天罰の雷”!!」



 上から雷纏う槍が墜ちてきて――死体の群れを大きく吹き飛ばしてくれた!?


「次から次へと! いったいなんなのよ!!」


「今のは……」


 髪も服も真っ黒な異様な女が降り立ち、落ちたレモン色の槍が彼女の手に戻る。


「エルザ!」


挿絵(By みてみん)


 マリナの知り合いと言うことは、新しく仲間になった隠れNPCのヴァンピールで間違いないよう。


「マリナ、そいつがトゥスカか?」

「ええ、ムカつくけれどね」

「それは私のセリフです」


 やはり、彼女とは仲良く出来る気がしない。


「いがみ合いならあとにしろ。それよりも……SSランクが、これ程厄介な性能とはな」

「厄介とは?」


 エルザに尋ねる。


「回数制限はともかく、死体共はTP・MP・OPが使いたい放題だ。しかも、召喚できる数に制限がない」


「それだけじゃないわよ。お前らがどれだけ死体を倒そうと、何度でも召喚できる物」


「ただし、倒されてから丸一日必要だけれどな」

「チ! ……これだから隠れNPCは」


 隠しても意味が無いと悟ったのか、あっさり明かしたか。


「つまり、倒せば倒すほど、敵戦力を削ることに繋がるということですね?」


「だったら、纏めて相手してやるだけよ。死体なんて操っている罰当たり女、完膚なきまでに叩き潰してやる!」


 マリナはムカつきますけれど、今という状況では心強い。



「舐めてんじゃねぇぞ――ブサイク共がよッ!!!」



 今度は黒い空間が虚空に広がり、そこから――無数の様々なモンスターが出て来た!?


「数だけは揃えたようだな。”死印契約”で殺すと、金しか手に入らないって言うのに」


「その手下で根こそぎぶっ殺しちまえば、経験値なんてあっという間に貯まんのよ、ボケが!!」


 この数は……さすがにまずい。


「もう良い――そいつらを全員殺せ!!」


 モンスターと人間の死体が、一斉に襲い掛かってくる!!



「――オーラオラオラオラオラオラオラララララララララララララ!!!」



 妙な奇声と共に、銃声が轟いた!?


 しかも、どんどん敵の数を減らしてくれている!


「上にまだいたのか……行け!!」


 死体達を自分の盾に使いながら、飛行モンスターを声の主に向かわせたか!


「私はマスターを守る! あとは頼んだぞ!」


 黒い鞭を振るいながら、エルザが上へ。


 今の銃撃の主も、ご主人様が引き入れた新しい仲間ですか。


「実質、二人だけで戦わないといけないのか……」

「やりますよ、マリナ」

「私に命令しないでよ、トゥスカ!」


 文句を言いつつも、私達の刻む文字が共鳴していくのが解った。


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