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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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409.インディゴチルドレン

『“鞭剣術”、ハイパワーウィップブレイド』

「ハイパワーブレイク!!」


 アマゾネスシャドウの鞭のように撓る剣を、“大剣術”で弾き飛ばす!


「なに?」


 お馴染みの大刀のまっ黒バージョンが形を変え、スピアタイプの槍となる。


『“騎槍術”――ハイパワーチャージ』

「――ハイパワーストライク」


 エネルギーを纏って突っ込んできたアマゾネスシャドウに対し、神代文字を六文字刻んだ状態で正面から突っ込む!


 ――紙一重で槍を避けながらハイパワーチャージのエネルギーの膜を突き破り、アマゾネスシャドウの頭を“サムシンググレートソード”で貫いた。


「ツッ!」


 甲手の上からとはいえ、エネルギーの一部に接触してしまったために、左腕が地味に痛い。


「大丈夫ですか?」


 カプアさんは、既に拳闘タイプの隠れNPCシャドウを倒したらしい。


「平気です」


 外傷があるわけじゃないし、いつもの気を失うような痛みに比べれば全然問題ない。


「……向こう、なにと戦っているんだ?」


 離れた場所に浮かぶプレートの上で、リザードマンのようなロボットが銃を使い、本を浮かべて戦っている女性を執拗に追い詰めていた。


「あ、あれはウララ様!!」


 カプアさんが口にした名前は、確かトゥスカ達を助けてくれた……。


「あの様子……かなり追い詰められておられる!?」


「先に行く! 装備セット2――“飛翔”!」


 “ゴルドアーマーウィング”を装備した状態にし、黄金の翼から光を噴出して急行する!!


「まずい」


 本が落下したのが見え、力尽きた事を察した!



「――“神代の盾”!!」



 ロボットの頭上を超えて無理やり割り込み、剣から青白い盾を生み出して光線を弾く。


「間一髪か」


『お前は――同胞殺しッ!!』


挿絵(By みてみん)


「見た目が似ていると思ったら、やっぱりアルファ・ドラコニアンなのか?」


 あの時の、トゥスカ達を傷付けられた怒りを思い出し、剣を水平に掲げて突き付けてしまう。


「だったら、遠慮なくぶちのめしてやる」


『ほ、ほざけ!! 一対一では、貴様に勝ち目など無いんだよ!! 家畜野郎がッ!!』


 人格は、この前の奴と大して変わらないらしい。むしろ、コイツの方が小者か?


「ウララさん、自分の身は自分で守ってください。援護は不要です」


「どうして私の名前を……」


『死ね!!』


 アルファ・ドラコニアンが、光線銃を撃ってくる!


「早くこの場を離れて! “飛翔”!!」


 翼の推力を利用して、正面から肉迫!!


「“竜剣”!!」


 青緑と黄金の剣を飛ばし、奴の隙を作らせる。


『舐めるな!!』


 例の不可視の力で“竜剣”が弾かれ、俺の突撃も速度を減衰させられてしまう――が、神代文字を十二文字にして不可視の力を吹き飛ばす!!


 高速での切り払いは躱され、距離を取った直後に銃を撃ち続ける蜥蜴ロボット。


『く、クソが! 本来の身体で戦えれば、貴様などに!!』


「さすが宇宙最強の劣等種。戦場でみっともなく言い訳か!!」


 果敢に攻めるも、不可視の力もあって崩せない。


 あの能力に対抗するには、ウララさんのように複数の武器を使用するのも手か。


『クソ! クソクソクソクソクソクソ!! 地球人如きに!!』


 あの光線銃、威力は大した事ないけれど、ずっと連射されているせいで攻めづらい!


「まず!!」


 止まった所で翼に直撃し、流れた金属の翼の重みによって重心が崩れ――


『消えろぉぉッッ!!!』


 一際強い光が銃口に収束し――奔流が迫ってくる!!


「“拒絶領域”!!」


 円柱状の障壁により耐えた直後――ショルダータックルを食らって大きく弾き飛ばされたッッ!!!



 ――――翼が重くて邪魔。バランスも取りづらい。”地天衝のブーツ”は別装備だから、“偉大なる英雄の鎧”の脚甲程の一体感がない。“剛力竜王の甲手”は指まで覆ってしまうタイプのガントレットであるため、直接指に嵌めなければ意味が無い指輪武器との兼ね合いが悪い――――煩わしい。



    こんなのは――間違っている!!!



 ――思考が現実へと引き戻されていく刹那、俺の理想と現実がない交ぜになって――――最適化――再構築されていく。


『い、今のオーラは……い、インディゴチルドレンの……』


 奴の言葉で、初めて自分の身体から彩藍色の光が出ていることに気付く。


 アルファ・ドラコニアンと戦ったときに起きた現象だけれど、あの時ほど意識は希薄じゃないし、意識もどんどん鮮明になっていき……彩藍色の光は消えていった。


「……鎧が」


挿絵(By みてみん)


 “ゴルドアーマーウィング”、“地天衝のブーツ”、“剛力竜王の甲手”、“携行のベルト”が統合され――“偉大なる英雄の天竜王鎧”へと進化。


 肩は露出したままだけれど、二の腕外側には黄金の盾のような小さなパーツが装着され、左腕は、指先が露出した“剛力竜王の甲手”に酷似したパーツに。右腕のパーツは、小さな鉤爪が付いたブラウンと黄金の簡易手甲に。


 脚の“地天衝のブーツ”は名残を残しつつ、黒とブラウンの脚甲へ。


 鎧の表面はブラウンと黄金の金属パーツに彩られ、内側は前と同じように黒のインナーのような物による一体感が。


『古い物を壊し、新たな物を構築する高次元存在の能力……この世界の次元を、半ば高次元に設定しているせいで――これは責任問題だぞ、デルタ共ッ!!』


「愚痴はもう良いか?」


 “ゴルドアーマーウィング”が消えたのもあり、非常に身体が軽い。


 右手に握る“サムシンググレートソード”も、以前より軽く感じる。


『舐めんじゃねぇぞッッ!!!』


 銃を乱射してくる奴に対し、俺は両腕に三文字、胴体部分に六文字の、計十二文字を刻む。


「“神代の鎧”」


 “偉大なる英雄の天竜王鎧”の効果により、全身を覆うように半透明な青白い障壁を纏い、光線全てを受けきった。


『こ、これならどうだ!!』


 溜めてから放たれた光の奔流に対し、左腕を翳す。



「“剛力竜衝”!!」



 竜属性の衝撃波により、光を搔き消した。


『ふ、ふざけるなぁぁッッ!!』


 背中から噴射し、空へと逃げていく蜥蜴ロボット。


「――“偉大なる黄金の翼”」


 肩甲骨辺りに浮くように黄金の金属パーツが出現――そこからブラウンの光翼が展開される。


「“飛翔”」


 光翼を広げて黄金光を噴射――アルファ・ドラコニアンの前を取ると同時に、剣を振り上げた。


『――只の家畜がぁぁぁッッッ!!!!』



「“竜剣術”――ドラゴンスラッシュ」



 アルファ・ドラコニアンの機械の身体を“白銀障壁”ごと切り裂き、ウザったらしい低次元存在を目の前から消し去る。


「――ク!?」


 気を抜いた瞬間、一気に精神的疲労が込み上げて……全身から力が抜けていく。


 むしろ、身体がわざと力を抜いて、無理矢理にでも疲労を回復させようとしているかのようだ。


「……トゥスカ?」


 身体が落ちていく中で、遠くに……トゥスカらしき人影が見えた気がした。


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