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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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403.翠人魚のグダラ

「“真空魔法”――バキュームレイド!!」


 魔法使いと思われる男が放ってきたのは、無数の鎌鼬か。


「”回遊魚雷”!」


挿絵(By みてみん)


 その他装備の“回遊魚雷群”を展開――四つの黒魚雷を発射し、鎌鼬を爆風で消し飛ばす!


「これで終わりだ! “緑雷魔法”――グリーンスプランター!!」


「無駄だっつの! “真空魔法”、バキューム!!」


 私の緑雷が、再び真空の渦に吸い込まれていく。



「“緑雷銛術”――グリーンサンダーハープン!!」



 真空の渦が消えた瞬間、投げた“ザ・テンペスト・トライデント”が男の左腕を消し飛ばす。


「があああああッッ!!! き、汚ぇぞ!!」


「最初に二対一で仕掛けてきておいて、なにが穢いだ」


 ユニークスキル持ちだったらしいが、戦闘センスは無さそうだな。


「ち、ちくしょう!! 来い、雷禍の千狐!!」


 紫の雷纏う、凶悪そうな七尾の狐を指輪から召喚する男。


「その魚女を――喰らい尽くせぇッッ!!」


 腕が吹き飛ばされたことを、みっともなく逆恨みしないで欲しいな。


「武器交換――“赦しを請いし蛇蠍ども”」


 戻ってきた“ザ・テンペスト・トライデント”を、蛇と蠍の意匠がある禍々しい緑黒いトライデントに持ち替える。


 飛び交う七つの尾と鋭い爪の攻撃を、“ストームバックラー”で去なしながら上へと逃れ――急降下!!


「“颶風衝撃”!!」


 “ストームバックラー”の効果で地面のプレートに押し潰すように発動し、動きを止めた!


「“真空魔法”――バキュームレイドッッ!!」


 腕の復元途中で攻撃を仕掛けてきた根性だけは――認めてやる!


『キャウーーンッ!!』


 狐を盾にし、その隙に――“赦しを請いし蛇蠍ども”に神代文字を三文字刻む!!



「“緑雷槍術”――グリーンサンダーチャージ!!」



 倒れ掛けた狐の腹部にエネルギーを展開した状態で激突し――槍を突き立て、そのまま男へと突っ込んでいく!


 この狐は、果たしてバキュームで吸い込めるか?


「く、クソぉぉぉぉぉぉ!!」


 狐の背が男に激突し、その狐が纏う雷に焼かれ……男は命を落とした。


「せっかくのユニークスキルも、宝の持ち腐れだったようだな」


 私か私の仲間が、上手く使ってやる。



○○○



「俺達の邪魔をするなよ、女!!」


 杖を振る度に、かなりの勢いで飛んでくる重い黒球体。


「ああ、もう! 邪魔!」


 “栄光の杖”を捨てて、右手で“ドラゴンナックルバスター”を握る!


「“氷炎の競演”」


 青と赤に彩られた左腕の甲手、“氷炎の競演に魅せられよ”から氷粉と火花を放出する!


「食らえ! ――“氷炎の狂情”!!」


 右腕の装身具、“氷炎の感情を思い知れ”から、炎と冷気の弾が螺線を描きながら飛んでいく!


 そこに、放出した氷粉と火花を注ぎ込んで強化!


「“大鉄球術”――ハイパワーボール!!」


 私の攻撃を正面からぶち抜いて、そのまま迫ってくる――チャンス!!



「お――らぁぁぁぁああああああッッッ!!!」



 “ドラゴンナックルバスター”と“氷炎の競演に魅せられよ”で殴り挟み、そのまま後退させられるも――掴まえた!


「”青光吻”!!」


 右手に青の杭を纏い、神代文字の力を流し込んで強化――黒球体に亀裂を入れる!!


「ふ、ふざけんな!! 俺のSランク武器だぞ!!」


 球体を戻そうと杖を引いた瞬間、逆らわずに私から接近!!


「て、テメーはくんな!!」



「――氷炎拳!!」



 “ドラゴンナックルバスター”に纏わせた氷炎を男の顔面に叩き込み……頭部を消し去った。


「ハアハア……私、魔法使いだけれど、やっぱ接近戦の方が向いてるかも」


 前に出るのは怖いとか思ってたけれど……そのうち、誰かに教わってみようかな?



●●●



「……強い」


 レプティリアンが乗る金属の人形を、完全に圧倒しているミユキさん。


「チ! 動きは雑魚なのに、無駄に硬い!」


『ざ、雑魚だと!! ノルディック風情が粋がるな!!』



「私は虚勢が嫌いだ――”焱竜砲”!!」



 刃が生えたランスに刻まれた神代の九文字より、光が炎龍の中へ吸い込まれて威力を増大させた!


『ど……どうし……て……――』

「凄い……」


 圧倒的な火力で、終始優勢に勝負を決してしまうなんて。


「ハアハア、ハアハア!」


「ミユキさん!?」


「ハアハア、問題ありません。連戦だったのと、神代文字を使いすぎただけで……」


「すみません、手助け出来ず」


「私がそういう戦いをしたのです。チップを手に入れるために。フフ」

「あ……なるほど」


 すっかり魅入ってしまって、この大規模突発クエスト最大の目的を忘れてしまっていました。



●●●



「ハアハア」


『まだ粘るのか、このドイツ人!』

『いい加減にしてほしいな』


 レプティリアンのマシーンが二体……さすがに荷が重いかdk3gj。


 盾と剣に同時に刻んだ十二文字はすぐに九文字に戻したが……そろそろ私の精神力も限界。


「だったら……」


 “ヴリルの祈りの聖剣”を、“ヴリルの聖骸盾”に収め――“抜剣”。


『外した瞬間に終わりだぞ、女』

『さて、一撃で二体同時に始末できるかな?』


「関係ない――死んでも、一体は確実に仕留めるつもりだからな」


『これだから高周波の人間は!』



「“二重魔法”――“光線魔法”、アトミックシャワー!!」



 光線の雨が、二体のマシーンに直撃する!


「今よ、ルイーサ!!」

「ナイスだ、アヤナ!」


 まさか、この土壇場でアヤナに助けられるとは!



「“聖水剣術”――セイントスラッシュ!!」



 瞬間的に十二文字引き出し、銀色の障壁ごと――無傷な方のマシーンを両断して見せた!


『この――くたばれぇぇ!!』


 光に変わり始めながら――背部からミサイルを撃ち出しただと!?


 しかも、そのミサイルの向かう先は――アヤナ!!


「“鞭化”――“水銀鞭術”、マーキュリーウィップ!」


 銀の鞭がミサイルを瞬時に叩き落とし、アヤナの窮地を救う!


「さすがアオイ」


「ありがとう、アオ――」

「――姉ちゃんッ!!」


 アオイがアヤナを突き飛ばした次の瞬間、私が片腕をぶった切っていたマシーンの剣が――アオイの胸から下腹部までを……貫いた。


挿絵(By みてみん)


「アオ……イ?」

「姉ちゃ……逃げ」


 私が両断したマシーンが消えるよりも早く――アオイが……光になって…………消えた。


『……ク、フハハハハハハ!! 《龍意のケンシ》メンバーを、この俺が一人、始末したぞぉぉぉ!! ハハハハハハハハハッッ!!』


「アオイ……お前……本当に……」


 本当に……死んだ? こんな……アッサリと?



「――ぁぁぁぁぁぁあああああああああッッッッッッ!!!」



 アヤナの絶叫が、アオイの死が現実なのだと……麻痺していた私の頭に、嫌でも理解させてくれた。


挿絵(By みてみん)


 身体から……力が抜けて……。


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