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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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402.銃職人のラウラ

「“魔法障壁”」


 私の愛銃、“ガン・クラブ”の“魔力弾丸”を防ぐファイヤーカウガール。


 いや、あの健康的でメリハリのある身体……良いわ。


「そんなの効かないよ、外人さん」


 でも、そろそろ仕込みは良いかな。


「“銃弾装填”」


 “銃弾職人”のサブ職業により、“ガン・クラブ”の“魔力弾丸”を“銃弾”に上書きし、TPを消費することで鉄の弾丸を撃ち出せるように。


「バカの一つ覚――“火炎放射”! パイロキネシス!!」


 “魔力弾丸”じゃないのを察知して、即座に炎による迎撃に切り替えてきたか。


「殺す気かよ」


「やるじゃん。今ので仕留められると思ってたのにさー」


「そりゃ、同じサブ職業持ちだからね」


「なに?」


「装備セット1」


 ゴツい二丁拳銃だと?


「“銃弾装填”!!」


 右手の銃で、私と同じように鉄の弾丸を放ってきたか!


「オイオイ……マジか」


 “鷹の目”による俯瞰と“立体知覚”により、正確に銃弾を銃弾で迎撃して見せた。


「こんな物?」


「ざけんな!!」


 今度は二丁拳銃で撃ってきたか。


 腰の青緑の打撃拳銃、“消えゆく森林に馳せる想い”を抜き、“魔力弾丸”を交えて迎撃。


「化け物かよ――“燃焼炸裂弾”!!」


 左手のゴツい赤の銃から放たれた弾が、分裂しながら周囲に拡散していく!


「――“消失線”」


 “消えゆく森林に馳せる想い”の効果で放った灰色の光線を浴びせて、弾丸が広範囲に飛び散る前に大半を消し去る!


「やっぱ好みじゃないわ、アンタ」

「私は、自分より強い男は大好きだけれどね~」


 ま、アテル以外の男とはヤりたいと思わないけど。


 ブラジルに居る頃は、周りが不特定多数と関係を持つ奴ばっかりだったから、自分の貞操観念の方が異常なのかと思ってた。


 ま、ハーレムの一員を許容しているんだから、私も充分異常かな?


「どこまでも相容れない女だな――“閻魔大王”!!」


 炎の大王が女の背後から顕現し、炎の腕で襲いかかってく――ドライアドのヨシノごと、私達を消し炭にするつもりか!


「――装備セット2」


 拳銃は両腰にしまわれ、四角い砲身持つ黒熱線砲――“クラッシュデリーター”を逆手で持つ!


挿絵(By みてみん)



「――ぶちぬけ!!」



 総MPの四分の一を消費し、蒼白い砲線で炎の魔人を消し飛ばす!


「……あの女、逃げたか」


 姿はなく、念のためチョイスプレートを確認するも何も手に入っていない。


「こっちが文字を使わなかったとはいえ、こうまで厄介な奴が居るとは」


 《ザ・フェミニスターズ》だったか……マークしておいた方が良さそうだ。



●●●



「ミドリさんとは、”名も無き王国の廃墟”で出会ったの。出会ったときは、今よりも酷く怯えてて」

「んにゅ~♪」


 さっきのヒステリック悪魔召喚女が、年下であるはずのレイナの膝であやされている。


「そんな奴を、どうしてクエストに参加させたんだよ」

「私とキクルさんが強制参加だと知って、皆が出るなら自分も出るって。ミドリさんは、とっても良い子なんです」

「えへへ~」


 バニラとは別の方向でぶっ飛んだ奴みたいだな、コイツ。


「実は、キクルさんとも話し合ってたんですけれど……一度、《龍意のケンシ》とコンタクトを取ろうかって意見が出てて」


「うちと?」


「シレイアさん、シホさんとユイさんです!」

「なに?」


 キューリに言われて確認すると、リョウの女魔法使いとうちのマスターが、下側から近付いてくるのが見えた。


「シャドーのシェーレも合流したし、これだけの戦力ならどうとでもなりそうだね」


 シェーレと一緒に来たエルフは、ザッカル達ですら名前を聞いていない謎の女。


挿絵(By みてみん)


 フードで顔を隠したままだし、いったいどんな事情があるのやら。


「ここに居る全員、シレイアの仲間?」

「同じレギオンだけじゃなくて、同盟レギオンのメンバーも居るけれどね」


 また、レイナ達と肩を並べられる日が来るのかね。



●●●



『こ、コイツ!』


 紫ローブに白面を付けた巨漢がレプティリアンを、蠢く巨斧のみで追い詰めていく。


『弱いな。これなら、オートで戦わせた方が良いんじゃないのか?』


『だ、黙れ!!』


 右腕の砲身が向けられるよりも早く斧を振るい、射線を逸らして反撃の隙を与えないキクル殿。


「大した男だ」


 己の意志で技量を磨き上げた者特有の、地力の強さを感じる。


『そろそろ飽きてきたな』

『ノルディック風情が、レプティリアンたるこの俺を見下すなッ!!』



『”魔蠍技(まかつぎ)”――スコーピアステイル』



 キクル殿の背後から現れた蠍の巨尾が、デルタの手先を頭上から貫いた!?


『“重力斧術”――グラビティーブレイク』


 蠢く刃を戻し、腰の入った横振りからの一撃により……機械の人形はバラバラに砕け散った。


『どうやら、中には何も入っていなかったらしいな。遠隔操作という設定なのか?』


「ありがとう、助かった」


 まさか、文字無しでアレを圧倒するとは。


『俺に礼は不要だ。頼まれただけだしな』


 キクル殿が見詰める先、平行線上の別プレートの上に居たのは――ラフォル!?


「あの子に……頼まれたと?」

『勝手にレギオンを抜けた詫びらしい。俺としても、勧誘した借りがあったからな。今回の件でチャラにして貰おう』

「あの子はどうして……」

『さあな。ただ……俺が彼女を見付けたとき……泣いてたぞ』


 それだけ言い、あっという間に去っていくキクル殿。


「ラフォル……」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 少しだけ頭を下げたのち、キクル殿と共に去って行くラフォル。


 彼氏とよりを戻したはずのあの子が……どうして……。



●●●




「“撃衝”」


 両腕の“撃衝のダブルトンファー”から繰り出した衝撃で、ロボットの体勢を崩す。


「攻撃力が足りないか」


 武術も魔法もダメージ半減となると、有効打になるのは強力な武具効果か。


「バッファ、アイツを仕留めてよ!」


「警戒されて近付けねーんだよ。たく、こっちはさっさとアイツを捜しに行きたいって言うのに」


 明らかにバッファの方が攻撃力がデカそうだからか。


 それにしても、例のエルフにベッタリだな、この水牛獣人。


 まあ、私から見ても惚れ惚れするような美貌の持ち主だけれどさ。


 あの弱々しい雰囲気と相まって、庇護欲をそそられるのは否めない。


「仕方ない、私がやるか――オールセット1」


 “撃衝のダブルトンファー”から、右手に“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”、左手に“五色竜の咆牙”へと持ち替える!


挿絵(By みてみん)


「久し振りに、全力で闘ってあげるわ――このユイリィ様がね!!」


 ヒビキって言うのに切り札を見せることになるけれど、別にいっか!


『な、なんだコイツ!?』


 紅の脚甲、“血を以て血を洗え”に六文字刻み、右手の“ヴィシュヌのチャクラムトンファー”に力を流し込む!


「行け――“射出”!!」


 チャクラムトンファーの効果で、黄金の大型トンファーの肘側部分から四つのチャクラムを飛ばす!


「“狂血回転術”――ブラッドスラッシュ!!」


『ガァァァァッッ!!』


 全てのチャクラムに血の凶刃を纏わせるも、“白銀障壁”のせいで装甲を引き裂く程度に留まったか。


「生意気なんだよ、爬虫類野郎!!」


 私の故郷で人身売買、臓器売買が横行していた大元の原因が!!


『ふざけるな、隷属され慣れた猿共が! お前の血肉を喰わせろッ!!』


 両腕の機械爪と尻尾の応酬を、“血を以て血を洗え”で避け続け――背後を取った。



「――“色竜咆牙”!!」



 五色の大型ブレードトンファーより、玄、白、碧、朱、黄の龍を顕現させ――ロボットの身体に食らい付かせる!


『クソ! バカなチャイナ女なんかにッッ!!』


 五色の龍に喰われ、光へと変わっていく鉄屑。


「いつか必ず、その言葉の代償を払わせてやるから」


 アテルと一緒に最深部に到達して、お前達が支配した世界ごと――あの救いようのないバカな人類ごと、綺麗さっぱり消し去ってやるよ!


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