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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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400.反逆の雷神パドマ

「“迅雷瞬足”!」


 雷を脚から迸らせながら、動きやすくて脚がはだけやすい“反逆のサリー”靡かせてロボットに接近――背後を取る。



「“青雷剣術”――ブルーサンダースラッシュ!!」



 雷と水を纏わせたカンダ、”運命への反逆心を滾らせよ”を背後から振り下ろす!


『バカが!』


 ――機械から雷が迸り、私の身体が弾かれる!


「“樹液弾”!」


 コトリの攻撃が、ロボットの左脚関節に直撃。すぐに固まって動きを鈍らせてくれた!


「“殴打撃”!!」

『ハ! 神代文字無しの攻撃なら!』


 凶悪な見た目の金棒みたいな武器でコトリが右脚を殴り付けると――ロボットの体勢が崩れる!


『なに!?』

「右脚が半壊している?」


挿絵(By みてみん)


 思い出した。”鋼鳥の狂群”は、武具破壊Lvの高い特殊な低ランク武器。


 サキが欲しがっていたけれど、材料を集め切れなかったから作れなかったとか言っていた代物。


「“青雷魔法”――ブルースプランター!!」


 雷をぶつけるも、“黄金障壁”で威力を半減されてしまう。


「“光輝棒術”――シャイニングブレイク!!」


 今度は“白銀障壁”によって、コトリの攻撃が半減されてしまった。


 なら、武術でも魔法でもない攻撃手段で。


「“爆発瓶”」


 “爆発瓶の指輪”の効果で中身が燃えている瓶を生成――文字の力を流しこんで、ロボットに向かって投げ付ける!


『……く、クソッタレが!!』


「“樹液弾”!」


 爆発によってボディーに亀裂が入った途端に、コトリの攻撃で腕や肩の関節も封じられた。


『う、動けない!』


「戦い方次第で、こうも楽になるのですね」


 私も、幼い頃からゲームに触れられれば、もう少し柔軟に考えられたのかもしれない。


「――コトリ、後ろです!」


「クソ――」


 炎の魔法が派手な爆発を引き起こし、コトリの身体が……転がって来た。


「……ぅぅ」

「……良かった」


 まだ生きている。


「……頑丈な奴」

「見たことない武器だ。とっととぶっ殺して、奪っちまおうぜ」


 二人の男が、こちらを狙っていた。



「――ぅッッ!!」



 こんな時に、靄に触れた両肩が激痛に!!


 ……マサコみたいに、大人しくクエスト未参加にしておけば良かったかッ。


「なんか、いきなり膝を付いたぞ?」

「油断するな。遠距離から攻めろ」


 “魔武の指輪”を使って、切り替えている?


「“爆炎魔法”――バーニングカノン!!」


 武器交換で、“神鳴のザファー・タキエ”に持ち替える!


「――“神鳴”!!」


 強力な青紫の雷を刀身の切っ先から放ち、爆炎を貫いて霧散させた!


「……あっぶねー」


 もう少しという所で、術者には避けられてしまった。


「犯してみたかったけれど、やめておくか」

「俺は抵抗あるな、黒人は」

「お前、獣人やエルフだって嫌がるもんな」

「るせー、ゲテモノ好きが」


 ――――クズ共が!!


「――ぅぅぅぅッッッ!!!」


 痛みが……いつもより激しい……ッッ!!


「な、なんなんだ、コイツ?」

「気味が悪いぜ」



「――ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」



 肩が……肩甲骨が丸ごと蠢いて――――私の肩から出て来た蛇みたいななにかが、ロボットを喰らったッッ!!?


『な、なにが――――』



       《ようやく足りた》



 両肩の大蛇の姿が急激に変わっていき――左肩から白銀の腕が二本、右肩からも黄金の腕が二本生えてきたッ!!


「ハアハア、ハアハア……ユニークスキル?」


 この四本の腕の使い方が、“雷神の四本腕”の使い方が――頭に流れ込んでくる!


挿絵(By みてみん)


「おい、コイツ……やべーんじゃねぇか?」

「ば、化け物だ……逃げろ!!」


「貴方達に、化け物呼ばわりされるなんてね」


 自分達の精神性の方がよっぽど化け物だろうに――普通って言葉を使うことが、いかに異常かを自覚していない化け物共がッッ!!



「――“雷神の裁き”!!」



 黄金と白銀の四本腕から青紫の槍を四つ発射し、背中を向けていた男達の身体を貫いて……絶命させた。


「……く、ククククク!! ハハハハハハハハハッッ!!」


 まるで、幼い私の前で母を犯し、解体し、腸を引きずり出し、燃やし――殺したクシャトリヤの男達に、復讐を果たした気分だッッッッ!!!



●●●



「――”飛王剣“!!」


 “アマテルの太陽剣”より、神代文字の力を乗せた強力な斬撃を放つ。


『な……んだと』


 左腕と共に、レプティリアンが操る機体の胴体を半ばまで切断。



「――――“爆裂祭り”ッ!!」



 彼女、スヴェトラーナのスキルにより、連続した爆発が機械のモンスターを中心に巻き起こる。


「“颶風乱気槍”!!」


挿絵(By みてみん)


 神代文字を九つ刻んだ槍を嵐のランスとしたエルフの女性が、突っ込んでいく。


「ハァぁぁぁッ!!」


 彼女の一撃は機械モンスターの装甲を貫き……仕留めきったようだ。


「どちらも、神代文字とスキルを使いこなしているんだね」


 是が非でも《日高見のケンシ》に勧誘したいところだけれど……まあ、出会いは巡り合わせか。


「ねえ、さっきの話なんだけれど……」

「アテル!」


挿絵(By みてみん)


 スヴェトラーナさんがなにか尋ねようとしたときに現れたのは、エリさん。


 長い青い髪を持つ、ちょっと野性味のある格好いい僕の恋人。


「無事?」

「ええ、僕は。エリさんは一人ですか?」

「うん。ここまでに仲間には出くわさなかったわ。クマムって言う元アイドルが、誰かと一緒に居たのは遠くから見えたけれど。所で、そっちの二人は?」

「《龍意のケンシ》の協力者だよ。ただ、同盟は結んでいないそうだ」

「ああ、例の」


 “パンデモニウムの盾”、Sランクを僅かに下げ、エリさんの警戒レベルが下がった事を察する。


 いざとなれば、その絶叫の顔が刻まれた六角盾ガントレットで、彼女達を攻撃するつもりだったんだろうな。


 指輪欄にも武器欄にも装備できる、特殊で強力なガントレットシールドで。


「他の仲間を捜しに行きましょう、アテル」

「そうだね」

「ちょっと、その前にさっきの話を聞かせなさいよ!」

「ツェツァ、今はそんな場合では……」


 コセ達はどうやら、観測者達の正体を彼女達に教えていなかったらしい。


 まあ、信用できなければ明かしづらい内容ではあるか。


「君達は、今は二十五ステージに居るんだろう? 僕等は二十四ステージに居るんだ。だから、詳しい事はクエスト終了後に向こうで話すというのはどうだろう?」


「……分かったわ」

「その時は、私も是非に」


「でも、少しくらいなら良いんじゃないの? 移動しながらならさ」


 エリさんに提案されてしまう。


「……そうだね」


 コセ達には悪いけれど、少しくらい情報を開示してもバチは当たらないか。


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