表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

416/956

396.バロンのミレオ

「――”暴風矢”」


 白と青の弓から撃たれた風の一矢が、奴の持つ”スターズスプレッド”、Sランクの効果によって五つに増える!!


「“絶対守護障壁”!!」


挿絵(By みてみん)


 どんな攻撃も無効化する私の固有スキルを行使し、凶悪な風の矢を防ぎきる!


「凄いスキルだね。最初は獅子の獣人かとも思ったのだけれど、懸賞金がゼロ……ひょっとして、隠れNPCなのかな?」


 私達隠れNPCには、懸賞金は適用されていない。


「だったらどうしたってのさ、賞金稼ぎのエルフ」

「金が手に入らないのは残念だけれど、従順な隠れNPCが手に入るなら悪くない。元々、使用人NPCを手に入れるのが目的だったしね」


 コイツは、十中八九バウンティーハンター。


 見逃してくれるかもって考えは、さすがに浅はかだったか。


「それにしても君、さっきから攻撃してこないね。どういうつもりだい?」


「さあね」


 私は武器を装備できないうえ、攻撃スキルなどでもダメージを与えられない特殊な縛りがあるバロンの隠れNPC。


 その代わりに、絶対防御と”復活”なんていうデタラメなスキルがあるわけだけれどさ。


 でも、倒されたら敵に契約を奪われる今の状況じゃ、”復活”のスキルはなんの意味もない。


「”分身”」


挿絵(By みてみん)


 シノビの隠れNPC、サザンカが三人になってエルフに斬り掛かる!


「”跳躍”」


 エルフ男が、華麗に別のプレートの上へ。


「なんらかの能力なのだろうけれど、実質四対一。ここは退かせて貰うよ」


 アイツの勘は正しい。


 サザンカの”分身”は、パーティーの空き人数分、自身をそのまま複製するというもの。


 人数が増えても同じ能力では対応力は低くなるし、TP・MP・OPも共通だからデメリットも大きい。


 だけれど、人数が少ない私達には重宝するのも事実。


「退き際を弁えていた輩のようですね。助かったのは我々の方かもしれません」

「かもね。レギオンメンバーは見付けた?」

「ユウコ達も含め、まだ誰も」


 ステージ二十番台序盤に居る私達は、参加メンバーの中では弱者だろう。かなり不利な立場にあるのは間違いない。


「ユウコとは一時的に組んだとはいえ、武器を融通しあえる程の関係じゃないからな~」


 パーティーを二つに分けなければならず、それでいて仲間に出来たエルフは一人だけ。


 エルフがパーティーかレギオンに居ないと二十ステージのボス戦には挑めないから、私達は一時的にユウコ・エルフ・ビッチと手を組んだのだ。


 でも……このままだと、いずれ頭打ちになるだろうな。


 マスター達の言うとおり、勢力を拡大する事を考えないと。


「とにかく、合流を急ごっか」

「ええ、参りましょう」



●●●



「”幻影の銛群”!!」


挿絵(By みてみん)


 ”フャンタズムハープン”を六つに増やし、指輪で呼び出したモンスター三体を処理する。


「う、嘘でしょ!? 全部Sランクの指輪モンスターだったのに!」


「仕掛けてきたのはそちら。覚悟してください」



「”氾濫魔法”――リバーバイパー!!」



 水の大蛇が、宙を泳ぐ私に襲いかかってきた!


「――”渦の障壁”!!」


 突っ込んできた大蛇を、渦の中に取り込むように消し去る!


 ”渦の障壁”には、水属性の攻撃を無効化、または減衰させる効果があります。


「お、遅いじゃない、アンタ!」

「これでも急いで捜してたのに、酷いマスターだな~」


 魔法使い風の女性の傍へとやって来たのは、水の塊――が裸の青い女の子の姿に!?


挿絵(By みてみん)


「水の女の子……もしかして、隠れNPCのスライム?」


 元々は、クマムさんが契約するはずだった子。


「マスター。あの人、私のこと知ってるみたいだよ? 只者じゃないかも」

「良いから、アンタはあの白人魚を殺しなさい!」


 なんなの、あの人? パートナーを置いて逃げて行っちゃうなんて。


「ハァー、本当に仕方のないマスターだなー」


「大人しく殺されてくれるなら、私達の仲間に迎えますよ?」


「それも悪くないけれど、私達ってマスターの意向には基本的に逆らえないからさ」


「難儀ですね」


 まるで、私とキジナ姉さんみたい。



●●●




「”焱竜技”――サラマンドルブレス!!」



 ”焱王竜”のサブ職業に含まれるスキルを用い、女魔法使いが張った”魔法障壁”を破る!


「”紅蓮剣術”――クリムゾンスラッシュ」

「イヤァァぁぁぁあッッ!!!」


 ランスと刀剣が合体したような武器、”昇竜天穿(しょうりゅうてんせん)”を用いて女を両断――燃やし尽くした。


挿絵(By みてみん)


「口ほどにも無い」


 身の程知らずは嫌いです。


「ミユキさん!」


 どこかより槍で私のように飛んできたのは、白猫の獣人、タマ。


 私と違い華奢で、大変愛らしい子。


「前に一度顔を合わせただけなのに、よく憶えていましたね」


 彼女と会ったのは第十三ステージの時のみで、ろくに会話すらしていないのに。


「武器がどこか似ていたので、印象的で」

「確かに」


 私も、彼女のことはよく憶えている。


「お互い、仲間を見付けられて居ないようですね。暫く一緒に――」


 私が提案しようとしたその瞬間、重い気配が頭上から迫ってきた!


「不意打ちとは」


 身体を転がしながら回避し、正体を確認する。


『燃やしてやるぞ、ノルディック!!』


挿絵(By みてみん)


 左腕が盾、右腕が火炎放射器になったロボットか。


「ミユキさんをノルディックって……もしかして、レプティリアン?」

「なに?」


『よく知っているな、獣風情が』


「どうしてレプティリアンが……」


『オッペンハイマーが、我々に遊びの機会をくれたのよ。お前達が互いに潰し合う姿を眺めるのも悪くないが、アバターを使って直接狩るのも一興だ!』


「デルタ、観測者、DS、裏天皇、ローマ教皇、カバール、イギリス女王、イルミナティー。その他にも色々……やはり貴様らに繋がるのか、腐れ爬虫類共」


『口を慎めよ、ノルディック。貴様らなど、()()()()我々に支配されるために存在するのだからな!』


「言ってくれる!」


『貴様らとて、マウスを使って生物実験を行い、家畜を喰っているだろうが。我等にとって、貴様らなどその程度の存在に過ぎぬのだ。歯向かう事そのものが許されない!』


「貴様――ふざけるなッ!!」


 ”昇竜天穿”に神代文字を六つ刻み、激情と共にゴミ爬虫類に仕掛ける!!



●●●



「”抜剣”――“神代の剣”」


 ”ヴリルの聖骸盾”から”ヴリルの祈りの聖剣”を抜き――どちらにも九文字刻んで、青白い刃を纏わせる!


『コイツ!』


「私に喧嘩を売ったこと、後悔するがいい、レプティリアン!!」


『黙れ、人殺しのドイツ人が!!』


「ナチスのユダヤ人への非道を大々的に語り、他の国々、宗教が起こした罪を隠すための矢面に立たせてきたこと――私は知らないわけじゃないぞ!!」


 従軍慰安婦を大々的に非難しているが、そいつら自身が村や町を焼いて虐殺、男を労働力に、女は慰み者に、子供は奴隷として売り払う。


 そんなことが何千、何万年も世界中で繰り返されてきたという事実を隠すために、自分達に都合の良い物だけを矢面に立たせる。


 それが、薄汚い人間達の常套手段。


「……ヒビキのあの話に、触発されたのかもしれないな」


 私は今まで、現実に目を向ける勇気が無かったのかもしれない。


「――”闘気剣”!!」


 ”神代の剣”の上からオーラを纏わせ、レプティリアンが操る――車から手脚が生えたようなロボットの左腕を、盾ごと切り裂く!!


『じゅ、十二文字だと!?』


「へ?」


 いつの間にか、剣と盾に刻まれた文字が、どちらも十二文字に。


 コセの三つ同時には及ばないだろうが、背中は捉えたか。


 今なら、さして苦もなく十二文字を両方維持できそうだ。


『手こずっているようじゃないか』


「新手……だと」


 もう一体のロボットが現れ――私の背後に降り立った!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ