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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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395.天魔騎士のガブリエラ

「オウ、同胞じゃないですかぁ」


「は?」


挿絵(By みてみん)


 紫雲天馬に乗って仲間を捜していると、どこの国か分からない黒人に遭遇した。


「私、解りまぁす。貴女と私、運命。結ばれる運命でぇす」


 なんなんだ、コイツ。


「どのステージに行けば、貴女に会えますかぁ?」

「お互いに婚姻の指輪があるのだから、分かるだろう。私は既婚者だ」


 私が最上級であるのに対し、奴は”下級の婚姻の指輪”。


 それだけで、人間性が図れるというもの。


「これは……アレでぇす。メリットある言われて。本気違いまぁす」


「私は相手に本気なんだ。お前との間に運命などない」


 私の心も貞操も人生も、全てアテルと共にある。


「貴女、解らない。でも、私、解る。貴女、私に抱かれる運命。貴女、私の子供産む」



「――ぶっ殺してやる」



 敵意が無いからと、同じ黒人だからと――見逃がそうとした私が間違っていた。


 黒人だろうが白人だろうが、クズはクズなのだと知っていたはずなのに!!


「チ! ジャパン女なら、簡単に騙せるのに」


 いきなり言葉が流暢に!


「女の敵は、世界の敵だ!!」

「オウ、フェミニストですか~? 怖いでーす」


 毒々紫いランス、“毒をもって毒を制せよ”に――九文字を刻む!


「これは正当防衛でーす! “二重魔法”、“光線魔法”――アトミックシャワー!!」


 頭上から襲い来る光線の雨を、天馬を駆って避け切る!


「粉を掛ける相手を間違えたな、黒人の面汚し」


「お、同じ黒人なのに! 私達、同じ被害者! この場所だって、白人の仕業決まってる!」


「言いたいことは理解するが――私は、そうやって被害者面して、同情を誘って生きている奴等が嫌いなんだよ!」


 現に、日本人の大半はアメリカに対して被疑者面しない。


 たとえそれが――洗脳教育の賜物だったとしても!



「“猛毒槍術”――ヴェノムストライク!!」



「うわぁぁぁああああッッ!!」


 降り注ぐ光線の中を天馬で駆け抜け――男の胸を貫き、毒を注入して絶命させた。


「……ゴミが」


 実に不愉快だ。


「お前は、ガブリエラか?」


 私のように有翼の馬を駆る女が、声を掛けてくる。


「隠れNPCのヴァルキリーか」


 デボラが執着していた、強力なNPC。


 神々しい武具を纏う、白い肌の美女。


「話が早くて助かる。一緒に来る気はあるか?」

「ああ、良いだろう」


 人種に囚われるなんて、くだらないことさ。


 そうだろう、ガブリエラ。



●●●



「あら、良さげな物みーっけ♪」


 宝箱から、格好いい黒光りした金属ブーツを発見。



○“苦悩を踏み締めて”を手に入れました。



「なんだか物騒な名前ね~」


 でも、名前からして役立ちそう。


「……誰か来る」


挿絵(By みてみん)


「く!」


 現れた猿獣人? の女の子が、私を見た途端に棍棒を構えた。


「あら、怪我をしてるじゃない」

「ち、近づくな!」


 あらら、警戒されちゃってるみたいね。


「……クソ。ようやく撒けたと思ったのに」



「雑魚共に手こずっちまったじゃないか」



 お猿ちゃんが警戒した方向から現れたのは、いつぞやの緑の鎧と槍を持った男。


「……お、お前は!」


「あら、お久しぶりね~」


挿絵(By みてみん)


 私の顔を見るなり、まるで化け物を見るような目を向けないでくれるかしら~。


「お、俺の腕を潰した……く、クソ!!」


「あら、逃げちゃった」


 次遭遇したら、リベンジしようと思ってたのに。


「た、助かったっす」

「ハヌマー!」

「マリン!?」

 

 今度は赤い人魚が現れて……彼女、両腕にそれぞれ甲手を装着している。


「怪我を――お前の仕業か!」

「違うっす! その人は……自分を襲った男を追い払ってくれたんす」


「まあ、向こうが勝手に逃げていっただけだけれどね~」


 うーん、この子達なら信用できそうかな。


「ねー、このクエストが終わるまで一緒に行動しない?」

「……そうっすね。自分達じゃ力不足みたいっす」

「レイナとキクルが強制だから、助けようと思って参加したけれど……確かに、このままじゃまずい」


「レイナとキクル? 貴女達って、もしかして……」



●●●



「ハアハア、ハアハア」


挿絵(By みてみん)


『頑張るじゃないか、クリスティーナ』


「シャラーップでぇす」


 強力なモンスターというのが、レプティリアンが駆るマシーンの事だったなんて。


「”薔薇魔法”――ローズフラッシュ!!」


 薔薇の花弁を吹き荒らし、牽制に用いる!


『そんなもの、この”アイアンバリエーションズ”に通用するはずがない!』


 ”黄金障壁”を展開しつつ、両腕の剣で斬り掛かってくる――ここ!!


『なに?』


 六文字刻んだ”甘い蕾の中の逢瀬”で、すれ違い様にマシーンの脇の装甲を切り裂き――そこに”ゴルドヴィーナス”の銃口を翳す!


 この距離なら、障壁系スキルは意味を成さない!



「”金星砲術”――ヴィーナスキャノン!!」



 至近距離で撃った反動で吹き飛び、緑光を放つ半透明な床を転がる!


「ハアハア、ハアハア」


 文字から別の物に力を注ぐ強化はまだ出来ませんが、大きなダメージは叩き出せたはずでぇす。


『裏切りの雑種が、やってくれたな!』


「……ダメージは、思ったほどではありませんか」


 脇の装甲はひしゃげて内部がスパークしているようですが……問題なく動けるようです。


『黄色い猿の血が混じっているせいか、諦めの悪いことだ』


「そんなことまで……やはり、私がこのゲームに送り込まれたのは偶然ではないのですね」


『お前の叔母、オルフェのせいらしいぞ? あの雑種の末裔が、ジュリーとかいうのと組んで我等を裏切ろうとしたとさ。その罰として、姪であるお前が強制参加させられたのだそうだ。愚かな事よ』


「オルフェ姉さんが……? ――姉さんはどこに!!」


『ククククク! さあな。今頃どのような目に合っている事やら……ヒキキキキキキ!!』


「――このクソファック野郎がッッkd3p!!」

 

 ”甘い蕾の中の逢瀬”に、九文字が刻まれる!!



「”薔薇剣術”――――ローズスラッシュ!!」



 マシーンの顔部分を、大きく切り裂いた!


『か、神代文字を九文字だと!!? ば、バカな……お前には、レプティリアンの遺伝子が!!』


「私はもう、そんなものには囚われな――gkx3jけgjk!!!」


 意識が……持っていかれそうに……。


『は……ハハ……な、なんだ――只の紛れかよ!!』


「――装備セット2」


 左腕の”ゴルドヴィーナス”を”薔薇騎士の盾”に持ち替え、巨剣の横振りを受けて――吹き飛ばされるッ!!


「か……ぁ」


 姉さん……私は……無力です。


『ビビらせやがって。レプティリアンの末裔が、雑種如きが――高周波の力など使うな!!』



「金星球――“磁力”回転”!!」



 黄金の球体が、回転しながらマシーンに直撃した!?


挿絵(By みてみん)


『こ、こんなものッッ!!』

「”二重魔法”、”天雷魔法”――ヘブンスプランター!!」


 球体に雷を浴びせ、神代文字と共に黄金球体の回転速度を上げている!?



「くたばれ――レプティリアンッ!!」



 ジュリーの言葉に気圧されるように、火花を散らしていたマシーンのボディーが崩壊を始め……バラバラに砕け散った。


『雑種如き……に…………』


「ハアハア、ハアハア。クリスが弱らせていなかったら、危なかったな」

「……ハハハ、助かりまぁした」


 さっきのジュリーの言葉に……強い恐怖を抱いてしまっている自分がいた。


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