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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第11章 虹色の奇蹟

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386.パズルゲーム

「これが、入り口のパズルか」


 要塞入り口のパズルは、複数のパーツを窪みに嵌め込んで完成させる台座タイプ


 重要な要塞への出入りをこれで決めて良いのかと思ってしまうけれど、まあ、ゲームならよくある事か。



○パズルを始めますか?



 YESを押すと、六つのピースが台座の周りに現れ浮かぶ。


「……出来た」


 全てのピースを窪みに嵌めて六芒星の絵を完成させると――台座が輝いて扉が開く。


「最初だからか、さすがに簡単ね」

「これくらいなら、私でもなんとかなりそうです」


 マリナとチトセさんのそんな会話を聞きながら、さっさと中へと進む俺達。


「今度は二つか」


 入り口の先すぐに同じ台座が二つ。扉も二つ。



○右:パーティー四人以上でなければ開きません。

 左:パーティー三人以下でなければ開きません。


「これって、どっちの方が得なの?」


「右の方が、パーティー全体には明らかに得だろうな。一人なら確実に左だけれど」


 マリナの尋ねに、エルザが律義に答える。


「フーン」


「というわけで、俺は左に行くから」

「へ?」


 驚いているマリナ。


「パーティーを二つに分けて、両方を手に入れることにしたんだ」

「でも、一人は危ないんじゃ?」

「モンスターは出ないから大丈夫。このために、俺とリューナで分担してパズルの解き方を憶えたんだしな」

「それに、コセのルートは一人でも問題ないが、こっちは四人以上居ないと進めない」


 目が見えないクオリアには、絵を頼りにするパズルは解けないだろう。


「では、私がコセ様のお供をしましょう」

「へ? ちょ……それは」


 クオリアの言葉に動揺するマリナを余所に、頷き合った俺とリューナはすぐにパーティーを別け、さっさとパズルを解いていく。


 すると、俺の前からクオリア以外の四人が消えた。


「ここは……いきなり別の場所に?」

「さすがだな」


 何も知らない人間なら、リューナ達が消えたように感じるだろうに。


「あ、本当に私をこちらに加えたのですね、コセ様。如何わしい事が目的で?」

「朝からずっと誘うみたいに……本気にしたらどうするんだよ」

「私は構いませんけれど?」

「……へ?」


 唇をなぞりながら、こっちに近付いてくるクオリア。



「もちろん、冗談です」



 ……心臓に悪い。


「今はまだ」

「まだって……」


 この人、サトミとは違うタイプの魔性の女だ……。


「養って貰う身ですから、お望みとあらば子を成すのもやむなしかと。あ、一応、このダンジョン・ザ・チョイスを終わらせたあとでお願いします」


 淡々と、思わせ振りな事を。


「……また冗談か」


「さて、どうでしょうか」


 真面目に考えるだけ無駄だな。


 煩悩を振り払うように先へと進み、さっさと新しいパズルを解くことにした。



●●●



「ここも、パズルが二つ?」


「こっちのルートは、複数人でパズルを解かなければならないんだ。マリナ、片方を頼む」


「う、うん」


 リューナに言われた通り、台座の前へ。


 すると、それぞれの台座ごと光に包まれて動けなくなった!?


 しかも、台座に嵌められていたパズルが弾け、ピース一つ一つが宙に浮く!


「このパズルは、それぞれが交互にピースを嵌めていく。ただし、三回連続で嵌めるピースを間違えると最初からやり直しになる」


「でも、これくらいなら問題ないよ」


 ピース一つ一つが全然違うし、数も十二と多くない。


 元の絵は一瞬しか見えなかったけれど、二匹の魚が泳いでいるような絵だったことは分かっている。


「まあ、まだ序盤だからな。ここで手こずっていては、今日中にボスまで辿り着けなくなるかもしれないぞ」


 エルザに忠告された。


「大丈夫だ。この絵のモチーフは魚座。中心に書かれた魚座のシンボルマークを完成させるように置いていけば良い」


「あの……」


 星座とか、十二星座くらいしか知らないんだけれど?


「まあ、分からないときは私が指示するさ」


 それだと、もの凄く時間が経っちゃいそうなんだけれど……。


「最初は私が」


 リューナが操作すると、私の目の前のピースまで勝手に動き出して、角に嵌め込まれる。


「次はマリナだ。私が嵌めたのに合う絵柄を探してみてくれ」

「オッケー」


 どうなるかと思ったけれど、最初だからか物の十分ほどでパズルをクリア出来た。



○パズル報償として、以下から一つを選択して手に入れられます。


★自害のミセリコルデ ★尽きぬ大吟醸



「なにこれ?」



●●●



「よし」


 二手に別れてから四つ目のパズル、射手座を解き終える。



○パズル報償として、以下から一つを選択して手に入れられます。


★サブ職業:酔拳士  ★サブ職業:巨人殺し

★Lvアップの実×2 ★万能プランター



「”万能プランター”?」


 ダメ元で調べてみると、ライブラリに記載されている!?


「木の実を種にして……丸一日経つと二つ収獲出来る物なのか」


 Lvアップの実を手に入れられれば、実質無限に増やせるってわけだ。


「ここは、未来を見据えておくか」


 俺は“万能プランター”を選択した。


「次が最後でしたか」


 クオリアが声を掛けてくれる。


「ああ……気が重い」

「そんなに難しいのですか?」


 最後の台座は、今までの三倍くらいの横幅が。


 その上に置かれたパズルは、真っ黒な一枚の板。


 それが弾け、全てのピースが宙に浮く。


「似た形のピースが六百ピースだからな……何時間掛かる事か」


 ピースの形が全然違ったりカラフルな絵だったら、同じピース数でも難易度がかなり下がってくれるんだけれど。


「ピースを嵌めて間違っていなければ、光で教えてくれるのが救いか」


 取り敢えず、角から縁を埋めるようにピースを嵌めていく。


「……フー」


 頭が回らなくなってきている気がする。


「少し休まれては?」

「でも時間が……」

「今のコセ様では効率が悪いかと。微力ながら、私が少しでも進めておきましょう」


 ……まあ、確かに休んだ方が良いか。


「じゃあ、頼んだ」


 部屋の隅に移動し、壁に背を預けて座り込む。


「……フム、なるほど」


 宙に浮くピースを動かし、パズルを解いている様子のクオリア。


 まあ、あんまり期待は……しないで……おこ…………スー、スー。



●●●



「次で最後だ」


 残りピース四つとなった時点で、エリューナさんの最後の激励。


 エリューナさん、マリナさん、私、エルザの順で一ピースずつ嵌めていき、黄道十二星座のパズルを完成させた!



○パズル報償として、以下から二つを選択して手に入れられます。


★ロイヤルロードシールド

★フェニックスブレード

★雷鳥の天罰槍

★ブレイズスナイパーライフル

★絶滅の大斧

★魔術師殺しの大鎌



「完全ランダムのSランク……さて、どうした物か」


 エリューナさんが迷っている。


 下二つはこのパーティーに使い手が居ないから、除外しても良いだろうけれど。


「下三つは、当然除外するとして」

「へ!?」


 エリューナさんの言葉に、つい動揺してしまう!


「なにか意見があるのか、チトセ?」

「い、いえ……」


 そうよ……私はもう、重火器は使わないって決めてるんだから。


「私としては、ロイヤルシリーズと“雷鳥の天罰槍”が良いと思う。槍は私が使わせて貰いたい」


「ロイヤルの方は?」


「お前達は既に“ロイヤルロードランス”と“ロイヤルゴルドアーマー”を持っている。ロイヤルシリーズはシンプル故に強く、同時に装備することで性能も上がる。他の武具よりは使い道があると私は考える」


 確かに、合理的かもしれません。


「それに、ロイヤルシリーズは手に入りやすい。この先で種類を増やせれば、ロイヤルシリーズのSランクで固めた戦闘スタイルというのもありだろう」


「異論がある者は?」


 エリューナさんの尋ねに、意見する者は居なかった。


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