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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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380.怒り

「大規模突発クエスト……これは、ご主人様達に情報を提供するチャンスかも」


 ご主人様が三十一ステージに到達していればだけれど、そうでなくてもノーザン達に無事である事を伝えられるはず。


 クエストの内容的にも、十中八九ご主人様達は巻き込まれるだろうし。


「武器まで取り上げられなくて良かった」



○5月31日の突発クエスト、隠れNPC獲得争奪戦に参加しますか?


 私は、軟禁された部屋の中で一人、YESを選択した。



●●●



「ということは、俺も突発クエストに強制参加させられるのは確実か」


 夜の八時頃、メルシュ達と明日の突発クエストについての情報交換を行っていた。


「なら、私達は参加が決まりだな」

「ですね」

「ユウダイは、私達が絶対に守るから」


 リューナ、チトセさん、マリナが、俺のために参加を決めてくれる。


 メルシュが違うステージにいるうえ”シュメルの指輪”を使っているのもあって、強制参加ではない可能性もありえると思っていたけれど……さすがに無理だったか。


「それと、レギオンの参加人数はフィールドごとにカウントされるみたいだから、マスター達が隠れNPC引換券を手にするのは不可能かな」


「そうなるか」


 こっちは四人……上位三つに食い込むには、他の参加者を多く殺さねばならないだろう。


「そう言えば、既に契約している俺が隠れNPCを倒した場合はどうなるんだ?」


「その隠れNPCのスキルカードと装備が手に入るだけだね」


「そうか」


「所で、同じ人間が使用人NPCと隠れNPC両方の所持は可能なのか?」


 リューナが尋ねる。


「可能だよ。ちなみに、使用人NPCは複数でもパーティーを組める」


 レギオン全体の戦力アップを考えたら、チップは一つでも多く欲しいな。


「それよりもコセ、そのステージの隠れNPCの取得条件は?」

「問題なく満たした。明日、マリナと契約して貰おうと思ってる」


 契約した者がクエストで生き残れば“シュメルの指輪”が手に入るし、コッチの戦力アップにも繋がる。


「でも、それだとノーザンにパーティーから外れて貰わないといけないんじゃ?」


「大丈夫だ。今日、偶然にも“カリスマリーダーの指輪”を手に入れたから」


 これで、俺のパーティー人数は最大七人に増える。


「だったら、クエスト前に鳥人の奴隷を買うのも手かな」

「鳥人?」


 メルシュの言葉に、嫌な予感が。


「もしかして……また強制的に奴隷を買わされるのか?」

「次のステージに進むには、パーティーかレギオンに鳥人の奴隷を入れるのが必須になるからね」


 明日の朝一番に買って、明後日の昼までに信頼関係を築く……無理。


「まあ、遅かれ早かれ買わなきゃいけないなら、早めに買って困難を乗り越えた方が良いだろう。さて、私好みの美人は居るかな」


「リューナ。あんた、また悪癖が出てるわよ」


 突っ込みを入れたのは、今回初めて顔を合わせることになったスヴェトラーナさん……この人がリューナのガールフレンドの一人か。


「……なによ、ジロジロ見て」

「いや……エリューナさんには、いつもお世話になってます」

「黙れ」

「……すみません」


 初っぱなからこんなに好感度がマイナスなの、生まれて初めてかもしれない。


「となると、結局はノーザンをパーティーから外すことになるな……トゥスカとノーザンは?」


 さすがに、このタイミングでここに居ないことに疑問を覚える。


「彼女達は疲れたらしくてな。既に休んでいる」


 レリーフェさんの言葉。


「……もう何日も二人の顔を見ていない……本当の事を教えてくれ」


 少なくとも、生きているのは分かっているけれど。


「……」


 誰も、何も言おうとしない。


「二人は一時解放軍に捕まり、その際に迷惑が掛からないようにと魔法の家の鍵を破棄したそうだ」

「ちょ、リューナ!?」


 スヴェトラーナの驚く声が、リューナの言葉に真実性を帯びさせる。


「だが、今は二人の女パーティーに助けられて安全らしい」


「鍵を破棄したからこの場には戻れない……そういう事か」


 自然と言葉に怒気が滲み、俺が空気を重くしたのが分かった。


「……う、うん」

「……隠すように言ったのは私です。責めるなら私だけにしてください、コセ殿」


 レリーフェの言葉の意図、気遣いは理解できるが……俺が感情的になにも思わないかは別。


 心配を掛けまいとしたのは分かるけれど、何日にも渡って嘘をつかれていたのも事実。



「……トゥスカってのは、今日また行方不明になったらしいわよ」



 ――スヴェトラーナの言葉に――――血が沸騰しそうになる!!


「おい、ツェツァ!」


「……少し、頭を冷やしてくる」


 外は危険だと分かっていながら、このままここに居ると無意味な罵声を浴びせてしまいそうで……この場に留まりたくない。


「コセ殿……」

「話は私が聞いておく。追ってくれ、チトセ」

「は、はい!」


 リューナの言葉によりチトセさんが追ってきたが……俺は一瞥もせず、外へと向かうことしか出来なかった。



●●●



「コセ殿……」


 正しい決断をいつもしているつもりなのに……どうしてこうも私は……。


 思わず私はルフィルの顔を窺ってしまい――あの子に、かつての副官に……とても冷たい目で見られていることに気付いてしまった。


 やはり、私の判断ミスで騎士団が壊滅したこと……恨んでいるのだろうな。


「わ、私も追った方が……」

「ああいうとき、親しい人間が居る方が辛いこともある」


 エリューナのマリナに向けられた言葉に、ハッとさせられる!


「コセのことはこちらに任せろ。アイツだって、事を荒立てたくないから出て行ったはずだ」


「そうだね。ところで、エリューナは随分とマスターを理解して居るんだね。もしかして惚れちゃった?」

「メルシュ! リューナに限って、そんなことあるわけないでしょ!」


 スヴェトラーナが激しく慌てている。


「……ツェツァ、それにサンヤ」


 エリューナが、真剣な様子で二人に話し掛けた。


「な、なによ……」

「どうしたん、あらたまって?」



「昨日……コセと寝た」



「「…………」」


 突然の告白に、完全に空気が止まる。


「アイツに惚れた……だから、これからについて、再会したときにちゃんと話し合いたい……すまん、こんな時に言うべきじゃなかったな」


 このタイミングでの独白……隠していた私の結果を見てだったとしたら……エリューナに申し訳ない。


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