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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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374.天空遺跡内部

「パワーニードル! ――ドラゴンスラッシュ!!」


 ヒューマノイドギアの胸を“サムシンググレートソード”で貫き、そこから両断した。


 天空遺跡上層に出て来るモンスターは全て硬く、防御力を無視する“針術”は重宝する。


「あ、大きな階段ですね」


 遺跡内部の奥にあったのは、上と下に繋がる幅の広い巨大階段。


 この幅、車六台がすれ違えそうなくらいある……さすがに無駄が過ぎないか? こういう階段、世界の有名な建造物なんかにはまあまああったりするけれど、これを作ろうと思った人間は頭が悪いのではないかと思ってしまう。



○別れ道

上:完成品展示室

下:研究施設



「どっちに進む、旦那様?」


 リューナが、いきなり旦那様とか言いだした!


「へ、へと……上には、Sランク武具一つとAランク二つが確定で手に入れられて、下はアイテムの素材になる珍しい物が色々手に入るらしい。メルシュには、好きな方を進んで良いって言われてるんだけれど……上の方が難易度は低いそうだ」


 なんでSランクが確定で手に入る方が楽なのかは分からないけれど、下の方が実は恩恵が多かったりするのだろうか?


 まあ、心当たりがまったく無いわけでも無いけれど、それらは後から追加された要素だろうから、やっぱり不可解だ。


「Sランクって言うのは、なにが手に入るか決まってるの?」

「七種類の中からランダムで、“メタモルコピーウェポン”、“超赤竜の裂刃装鎧”、“コンバージェンス・プラズマランチャー”、“二属性マジックシールドリング”、“ストロングオリハルコンキャリバー”、“大出力レーザーソード”、“至高のグリモワール”のいずれかが手に入るらしい」


 一生懸命憶えた。


「Aランクの場合は?」

「コッチは十二種類からランダムで、“多目的ガンブーメラン”、“レーザーソード”、“レーザーツインエッジ”、“バトルパペット・メタルンルン”、“プラズマショットガン”、“テーザープラズマ銃”、“オリハルコンキャリバー”、“ジェットウィングユニット”、“トリニティーセットロッド”、“ギガバスターハンマー”、“倍打突きのザグナル”、“アジャストメント・ギミック・クロスボウ”から二種類」


 超、頑張って憶えた。


「イマイチ、私達に合う武具が無いな。名前を聞いた限りはだが」


 だからこそ、メルシュはどちらでも良いと言ったんだろうな。


「なら、下に行ってみる? 向こうは、上よりなにが手に入るか分からないんでしょう?」


 マリナの提案。


「下は生物系モンスターが出るらしいから、俺達にとってはむしろ有利かもしれない」


 それに、実は下に、次の隠れNPC入手条件を満たすためのアイテムもある。


「よし、さっそく行くか」

「そろそろお昼時ですし、次の安全エリアでご飯を食べたいですねー」


 などと話しながら、四人で階段を下っていくと……四十段くらい下った所で大きなエレベーターが。


 それにしてもやけに暗いな、この辺。


「へと……エレベーターでしたっけ? 久し振りに見ました」

「チトセさんがこの世界に来たのは、三年前でしたね」


 俺は、そろそろ三ヶ月になるのかな?


 カレンダーなんて無いし、ステージごとに気候も変わるし、月日の感覚なんてだいぶ無くなっている。


「バカでかい事を除くと、本当に私達の世界のエレベーターみたい」

「むしろ、どこか近未来的にも見えるな」


「ちゃんと動くみたいだ」


 俺がボタンを押すと、エレベーターのドアが開く。


「“警鐘”に反応は無い。乗り込むぞ」


 エレベーターの中を覗き込んで、わざわざ確認してくれるリューナ。


 四人で乗り込むと、内側から操作するボタンを見付ける前にドアが閉じ――かなりのスピードで下がりだした!


 にも拘わらず、数十秒も落下し続けている!


「……と、止まった?」


 チトセさんの声に反応するように、エレベーターのドアが開く。


「……なんとも不気味な所だ」


 警戒しているリューナ。


 エレベーター前には円形のホールがあり、そのホールから一段下がった先は真っ暗闇が広がっていて見通せない。


「位置的には地下だからか、灯りが見あたらないな」


「取り敢えずこのホール内は安全エリアみたいですから、お昼ご飯にしましょう」


 チトセさんが、重そうなリュックを降ろしてご飯の準備を始めてくれる。


 この中でもっとも装備が重いのはチトセさんだろうから、一番体力を消耗しているのだろう。


 休息を取るか取らないかは、チトセさん基準で判断した方が良さそうだな。



●●●



「……始まったようです」


 先頭のカプアが告げる。


 ”獣の聖地”近郊で待機していた私達レジスタンスの獣人組は、これより聖域へと乗り込み、“獣化”のスキルを手に入れることになっていた。


「まだ行かなくて良いんですか?」


 ノーザンが、リーダーであるカプアに尋ねる。


「まだ、別働隊が聖域に仕掛けていません。私達が乗り込むのは、別働隊が交戦を始めた後です……大丈夫ですか、トゥスカさん?」


「へ? ええ、問題ありません」


 今まで、私達が手を汚す時は被害者側だった。


 競馬村の時だって、相手がこちらに危害を加えると分かりきっていたから、躊躇うことなく命を奪えた。


 でも今回の場合、相手は獣人に対してだけは友好的な者達であり、私達はそんな彼等に奇襲を掛ける立場。


 その構図が見えてしまった事で、私には少なくない躊躇いが生まれてしまっている。


「……聖域でも始まったようです。行きますよ、皆さん!」


 カプアの合図に、レジスタンスの獣人七名と共に私達三人は駆け出す!


「カプアだ! 新手が居るぞぉぉ!!」


 すぐさま男の獣人に発見される!


「――黙れ」


 外套の中から出したカプアの腕に握られていた物は――銀の銃のような弓、“アジャストメント・ギミック・クロスボウ”。


 右手で引き金を引き、”魔力矢”を発射して腕に怪我を負わせた。


 今の矢、容赦なく頭を狙っていた……本気なんですね、カプア。


「裏切り者共が!! ――“獣化”!!」


 負傷した男の身体が膨れ上がり、鎧や衣服の下が毛に覆われていき――虎の人獣となった!!


「――ハイパワーブレイズ!!」


 今度は腰から“拡散の手矢”を掴み、スキルを適用させながら投げ放つと――数十本の矢となって乱れ飛ぶ!


『グゥ!! く、クソ……』


 男が重傷を負い、膝を付いた。


「止まるな! あの程度の傷なら、奴等は数分で動けるようになる!」


 “獣化”の特徴で、手傷を負ってもMPを消費して急速に回復してしまうらしい。


 膂力の強化以上に、“獣化”のスキルが強力とされる一因。


「居たぞ! コッチだ!」

「裏切り者共を、絶対に聖域に近付けるな!」


「自分達に従わない獣人は、裏切り者と言うわけですか。安い倫理観ですね」


 ノーザンは比較的冷静な様子。


 この中で一番覚悟が決まっていないのは……私なのかもしれない。


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