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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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373.頼りになる人

「“タシロカムイ”!!」


 昨日の賞金稼ぎの女から手に入れたサブ職業、“半ベルセルク”を付けることで狐耳を生やした私は、本来は獣人専用のサブ職業であるカムイ系の力を行使できる!


挿絵(By みてみん)


「“硝子剣術”――グラススラッシュ!!」


 遺跡内部に出現したゴージャスゴーレムを、“日蝕狼の山刀”で切り裂いて光に変えた。


「昨日手に入れたサブ職業二つにその剣、見事に使いこなせているようだな」


 リューナが褒めてくれる。


「ありがとう、リューナ」


「魔神・日蝕狼から手に入るはずだった”タシロカムイ”が、身体能力と武器による攻撃能力を強化してくれる物だったとは。しかも、“半ベルセルク”のサブ職業と組み合わせることで、異世界人でも使えるとは思わなかったな」


 ユウダイの言うとおり、私もチトセさんに教えて貰うまで知らなかった。


 つまり、昨日の女は獣人ではなかったということ。


「ちょうど“半ベルセルク”が手に入るステージをすっ飛ばしていたなら、致し方ないですよ」


 昨日の襲撃者は、たぶん獣人ではなく異世界人。


 どうやって集めたのか、あの人は日蝕狼の討伐報酬を二つも持っていたから、私から頼んで使わせて貰うことに。


 ”日蝕狼の山刀”の形状は私の硝子と石の剣、“キヤイウメアイ”に近いため、ほとんど同じ感覚で振れる。


 強いて言うなら、コッチの方が幅が広くて少し重い。


「暗いな」

「崩れた部分から日は差し込んでいるが、極端に暗くて見えない部分がある。私が先頭になろう」


 “警鐘”持ちのリューナを先頭に、私達は先へと進む。


「後ろから! “古生代ギア”です!」


 一番後ろにいたチトセさんがいち早く気付き、薬液銃で二体をあっという間に倒してくれる。


「そう言えば古生代モンスターって、古生代ギア以外は一体ずつしか出て来ないね。時間差で挟み撃ちはしてくるけれど」


「一体一体が極端に頑丈だから、そういう風に調整されているんだろう」


 ユウダイが答えてくれた。


 てことは、同じ方向から複数現れたら、今の私達でも危ないのか。


「なにか来る」


 リューナがそう言うと、目の前から金属の足音が!


『シュコー』


「たぶん、”ヒューマノイドギア”だ」


 全身銀の人型ロボットで、その左腕は大砲のような銃になっている。


『侵入者を発見。排除を開始――』


 なにか喋り出したと思ったら、チトセさんのスナイプモードによる腐食液が直撃して……錆びるように溶けていった。


「スナイプモードはあまり威力が高くないはずなんですけれど、一発で倒せてしまいましたね」


「「「凄い」」」


 ”調合師”メインだと器用貧乏になっちゃいそうとか思ってたけれど……使う薬液と相手次第でここまで無双出来ちゃうんだ。


「どうしたんですか、皆さん? 早く進みましょうよ」


「「「はい」」」


 チトセさんはこの中で一番小柄なのに、一番頼りになるかもしれない。



○“古生代の欠片”を手に入れました。

○“プラズマ装置”を手に入れました。




●●●



「く!!」


挿絵(By みてみん)


 《龍意のケンシ》に戦闘訓練の相手をお願いしたところ、何人かは快く引き受けてくれた。


 くれたわけですが……。


「文字無しでは、私の方が有利のようですね! ルフィルさん!」


 私の相手をしてくれているのは、テイマーの隠れNPCであるサキ。


 激しい二本の鞭による応酬に、槍が得物の私はまともに近付くことが出来ない!


「鞭の二刀流なんて、人間技じゃない!」


 あんなに綺麗な軌道と鋭さを、両手で交互に振りながら維持するなんて……これが隠れNPCの強みの一つですか。


 各々が固有の能力を複数持ち、高ランクの専用装備が充実していて、不眠不休でも能力が落ちず、人間離れした戦闘技術まで持つ……私が想定していたよりも遥かに厄介!


 ドライアドのヨシノ……初めて接触した時、まともにやり合わなくて良かった。


「ほーい、五分経ったよー」


 アオイが知らせてきたため、私達は攻撃の手を止めた。

 

「フー……実質、私の負けですか」

「スキルや武具効果、神代文字も無しというルールでは、仕方ありませんよ」


 今まさに絶技を見せ付け、私の心を折った相手に慰められる。


「同等の条件なのですから、下手な慰めは不要です」

「私達隠れNPCには神代文字を使用する事は出来ませんから、一方的にそちらの強みを一つ潰す形になっているんですよ。なので、なんでもありの実戦なら、私の方が完全に不利だったでしょう」

「それこそ、貴女ならモンスターを呼び出し、数の有利を生かしたと思いますが?」


 その能力故に、隠れNPC内でも基本能力が低く設定されているというテイマーに負けたのは、中々の屈辱。


「逆効果だよ、サキ」

「みたいですね……モモカちゃんにも裏目に出ているみたいだし、私ってどうしてこうなんでしょう?」


 そういう悩みを吐露する姿を見ていると、本物の人間のように思えてくる。


「それよりもアオイ、次は貴女が相手をしてください」

「オッケー! あ、その前に向こうの試合が見たいかな」


 アオイの視線の先に居るのは、ヒビキとユイの二人だった。



●●●



「そいじゃ、試合――始め!」


 隠れNPC、アマゾネスのシレイアの合図により、五分間の真剣勝負が始まる!


挿絵(By みてみん)


「ハッ!!」


 私の得物である“馬上で振るうは十字の煌めき”を振り、太刀使いのユイに仕掛けた!


「……容赦ないね」

「貴女程の腕なら、この程度なんの問題も無いでしょう!」


 十文字槍を突き出した次の瞬間には、左右の刃を鎌のように振るって首を刈りに行くも、太刀一本で軽く上に去なされる!


「さすがですね」


 彼女の腕前は、明らかに私よりも上。


 ならば勝機は、リーチの差を私がどれだけ生かせるか!


「最近……スキルに頼りすぎてたかな」


 難なく去なされるも、向こうは防戦一方のまま。


 このままでは、勝敗が付かずに時間切れになってしまう。


「あんまり好きじゃないけれど――仕方ないか」


 剣を槍に押し付けるようにしながら接近して来るユイ――の左手は、腰の脇差しへ!


 ――脇差しが逆手居合いの要領で胴に迫るなか、私は十文字槍を手放して前へと出て――鞘から抜かれる前に脇差しの柄頭を押さえる!


「――ハッ!!」


 胴の部分に掌底を叩き込むも横に跳ばれ、肩に太刀の切っ先が突き刺さり……私は自身の敗北を悟った。


「そこまで!」


「ハイヒール」


 試合終了と共に、肩の傷を癒す。


「……もしかして、古武術の心得が?」


 ユイに尋ねられる。


「師から、槍を中心に色々手解きを」


 師はまさしく達人であり、一度十三歳の私に言い寄ってきた点を除けば、尊敬に値する人物です。


 まあ、さすがに冗談だったでしょうが。


「もしや貴女も、鬼喰ら源点流の門下生ですか?」

「…………そこの現当主の……次女だよ」


「で、では、風間 重慶(じゅうけい)先生のご息女であらせられますか!?」


「……先生? 貴女の顔に、見覚え無いけれど」


「当家に招いた折、何度かご指南頂いただけですので当然かと! 一度そちらに伺い、お目に掛かった事もございますが! ……まさか異世界で先生のご息女と共に戦えるとは、恐悦至極に存じます!」


「へと……もしかしてヒビキさん……極道の元締めかなにか?」


「似たような物です!」


 組を率いていたわけではありませんが、父はその手の奴等を百人ほど面倒見てましたし!


「父親が定期的に、その手の人達や警察に指導しに出張してたのは知ってたけど……」


「何卒、これからも宜しく願います、先生!」

「……へ、私の事……先生って言った?」


 これもなにかの縁! ユイ先生の元で、更なる研鑽を積ませて頂きます!


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