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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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348.レリーフェの決断

「“死神”のサブ職業と“ワイルドデスサイズ”は、カナが使って」


 夜、メルシュのアイテム分配が始まる。


「こ、この“死神”って、どういう物なの?」


 カナが尋ねる。


「“闇隠れ”っていう、影のようになって地面を移動する事が出来るよ。潜ってる間はほぼ全ての攻撃が効かないけれど、この前の男の“大地讃頌”みたいな、地面に直接作用するタイプは例外だから気を付けて」


「な、なるほど……こちらの“ワイルドデスサイズ”と言うのは?」


 黒いけれど、禍々しいというより格好良さがあるゴツイ大鎌。


 なんというか……雰囲気がサングラスやハードボイルドなバイクに似ている。


「障壁系やオーラを切り裂く能力が備わった、Sランク武器だよ」


「こ、攻撃能力がイマイチだったので、た、助かります」


 魔法使いのはずなのに、カナはますます戦士よりになっていくな。


「次はメグミ、この盾を。“泰然なる高潔の息吹”、Bランクだよ」

「私の盾に似た名前……神代文字対応か」


「ご名答。“可変”によって砲身が展開。“泰然なる息吹”っていう風属性の砲撃が放てる」


「風属性か」


 属性が竜ばかりだったのを考えると、悪くない。


「マスターと同じように、同系統の装備と一緒に使用すると性能が少し上がるから、その辺意識して使ってみて」


 コセの偉大シリーズみたいにか。


「ねー、あの武器って……」

「うん。アイツが使ってた武器だね」


「うん? どうしたんだ、アヤナにアオイまで?」


 まるで、気持ち悪い物を見るような目で?


「な、なんでもないわよ?」

「う、うん、なんでもない」


 アオイまであんなに歯切れが悪いのは、なんだか珍しいな。


「“魔術師殺しの鞭”はサキに、“ゴルドヴィーナス”はクリスだね」


「専用装備以外では、初めてのSランク武器です!」

「サンキューでーす、メルシュぅ」


「“処刑人”のサブ職業と“処刑人のカタール”は、取り敢えずリンピョンに預けておこうかな」

「私に?」

「“処刑人”は、処刑、執行、殺人とか、人を殺す意味のある名前の武器やスキル攻撃を強化してくれるから、リンピョンが一番生かす機会が多いかなって」


「な、なるほど」


 リンピョン、どんどん不気味な名前の装備が増えてくな。


「”ガイアレオンのスキルカード”は……どうしよっかな」


「どういうスキルなんだ、メルシュ?」

「拳を打ち出すときにオーラをぶつける“獅子王撃”っていうスキルなんだけれど、その腕に装備しているアイテムの属性が反映されるんだよね」


「だとすると、属性強化スキルが多い魔法使い向けか?」


 近接戦に持ち込まれたときの、切り札になるかもしれないな。


「だったら、ナオはどうだ?」

「私? ……うーん、なんとなくだけれど要らないかな。イマイチ相性が悪い気がして」

「なら、私に使わせて欲しい」


 同じく魔法使いで、ガントレットを使用しているジュリーが申し出る。


「良いよ」

「また、かつての最強スタイルに近付いたな」


 なんだろう……今のジュリーのセリフに、凄い厨二病風を感じてしまった。


「“ミストオーブのスキルカード”は、サトミが良いかな。サトミは運動が苦手だけれど、マルチタスクが得意みたいだし」


 確かに、サトミはいつも複数の料理を同時進行で作っている……アレは真似が出来る気がしないな。


 二十人分以上の料理を、一食分くらいはほぼ一人で、毎日のように作ったりしているし……何気に、私達の中で一番ママをやっている。


「あらそう? じゃあ、遠慮無く貰うわね」


 今回の戦利品は、私を含めてサトミのパーティーメンバーに恩恵が多いな。


「“ディザストスビッグフットのスキルカード”は、私が使わせて貰うね。“災禍の霧の宝珠”は……取り敢えず、レリーフェに使って貰おうかな」


「ふむ……イマイチ使い方が解らんな」


「それは、皆も含めて早朝にでも教えるよ。それより……」


「……帰ってきませんね、トゥスカさんとノーザンさん」


 タマの言葉に、沈黙が流れる。


「いつもなら、とっくに戻ってこられているはずなのに……」


 スゥーシャも心配そうだ。


「滞在ペナルティーで、毎日累計一時間は“獣の聖地”に居ないとLvが一ずつ下がっちゃうとはいえ……ちょっとマズいかな」


「……この事、コセさんには……」


 クマムが、私が気にしていた事を突く。



「――言うな」



 鋭い声を発した主は……レリーフェ。


「絶対に言うな。これからコセ殿が三十六ステージに到達する直前まで、絶対に」


「……そうだね。焦らせて、マスター達を危険に晒させるのはマズい」


「そうしてくれると、私としても助かるわ。そっちには、私達のリーダーだって同行しているのだし」


 スヴェトラーナ……余計な事を。


「ちょっと、アンタね!」


「よせ、アヤナ」


 レリーフェが止めてくれる。


「これから、コセ殿とはメルシュと私以外の接触を極力禁止する。スヴェトラーナ、エリューナとやらと話すときは……解っているな?」


「ああ言った以上、当然ね」


「メルシュ、ザッカル達にも勘付かれぬように」


「直接来られるとさすがに無理だろうけれど、まあ、なんとかするわ」


 ザッカル達は現在、四つの島を順当コースで回っている最中。その間は魔法の家が使用できないため、あと数日は接触して来ないだろう。


「いいか、よく聞け。これはこの私、レリーフェの一存で皆に強制している事だ。コセ殿を思うなら、口裏を合わせるように」


「……ええ」

「……はい」


 不穏な空気……レリーフェは、嫌われ役を買って出ているわけか。


 確かに、誰かが言わなければならなかった事だ。


「まあまあ。まだ帰って来ないと決まったわけじゃないんだし、そんなに深刻にならないの」


 サトミが、空気を和らげてくれる。


「もしトゥスカが死んだりしたら、パーティーを組んでいるコセがいち早く気付く。だから……私達が気にしても仕方ないわよ」


 ユリカのその意見は、命は無事だった場合の話。


 たとえ生きてても、死を迎えるよりも残酷な事なんて幾らでもある。


「絶対に無事でいろよ、トゥスカ、ノーザン……」


 結局その日、二人が戻ってくる事は無かった。


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