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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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346.魔神・毒針蠍

「魔神・毒針(さそり)の弱点属性は水。有効武器は槍で、猛毒の液体を飛ばしてくるヴェノムカノンが危険攻撃だ」


 妖艶な氷の魔女を倒したのち、俺達三人はボス部屋前まで辿り着いていた。


「ステージギミックは、徐々に床に砂が溜まっていくこと。時間が経つと、砂の中に隠れたりもするらしい」


「よし、さっさと終わらせて、今日はゆっくり休むぞ!」


 エリューナさん、眠すぎてハイになってないか?


「マリナは、準備オーケーか?」

「ええ、任せて!」


 意気込むマリナの手には、先程手に入れた“氷河の魔槍杖”が。


「よし、行くぞ!」


 いつものボス部屋に入ると、奥に赤紫色のライン光が走り、赤黒い巨石のボスが動き出す。


 見た目は巨大な蠍だけれど、頭の辺りに、蠍の意匠の甲冑を着たような人間の上半身がくっ付いている。


 すぐに魔神の左右上部の天井から大量の砂が落ちてきて、床を覆って……結構多いな、砂。


「“空遊滑脱”!」


 空を駆けるエリューナさんを追い、俺も前へ!


「“吹雪魔法”――ブリザードトルネード!!」

「“大地讃頌”!!」


 上と下からの同時攻撃により、動きを止める魔神!


「“飛王剣”!」


「“神代の剣影”――ハイパワースラッシュ!!」


 俺の斬撃とエリューナさんの青白い鞭剣が、魔神の身体を削っていく!


 手脚を狙い、とにかく機動力を削ぐことに重点を置く攻めを繰り返す。


「“氷河魔法”――グレイシャーランス!!」


 氷と水の二属性である魔法で、マリナに弱点を突いてもらう!


 飛んでいった氷水の巨槍が左胸に深々と突き刺さるも、魔神の動きが激しくなるだけ。


『ギジュギジュジュウ!!』


 魔法陣を展開して――毒液の球を放ち始めた!


 しかも、マリナを狙っている!


「“硝子魔法”――グラスシェルター!!」


 半球状の透明な障壁で、毒液を防ぐマリナ。


「私を無視するとは良い度胸だ! ――“業王脚”!!」


 エリューナさんが魔神の頭を蹴り上げ、僅かに浮いた蠍の――腹部分に潜り込む!


「――“拒絶領域”!!」


 下から円柱状の衝撃波を食らわせ、その巨体を僅かに弾き上げる!


「”氷河騎槍”――“氷河槍術”、グレイシャーストライク!!」


 大きな衝撃と冷気――マリナの一撃が、魔神の正面に炸裂したらしい!


「“神代の剣”――ハイパワーブレイド!!」


 刀身を伸ばし、蠍の腹を幾重にも切り裂く!


「砂が!」


 もうこんな所にまで。


 あっという間に足を包まれそうになったため、急いで空へと逃れる。



「“氷河魔法”――グレイシャーバレット!!」



 神代文字の力を流しこんだマリナの魔法が炸裂……魔神・毒針蠍は、光へと変わっていく。


「魔神のタフさ、明らかに上がっているな」


 Sランク武具で弱点を突きでもしない限り、楽に倒せそうにない。



○おめでとうございます。魔神・毒針蠍の討伐に成功しました。



「やったな、マリナ」


「初めて使う武器って緊張するけれど、上手くいって良かった」


 エリューナさんとハイタッチをするマリナ。



○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★毒針蠍の針 ★猛毒魔法のスキルカード

★砂隠れのスキルカード ★毒針蠍の尻尾



「イマイチ、パッとしたのが無いな」


 何かと利用率が高い、魔法のスキルカードを選んでおくか。


「“砂隠れ”と言うのは、砂が無ければ意味が無いんだったな……これにするか」


 エリューナさんはなにを選んだのだろう?


「私は、無難に魔法かな」


 マリナは俺と同じらしい……まあ、魔法使いだしな。



○これより、第三十ステージの大樹村に転移します。




●●●



「楽にしてください」


 タヌキ獣人のカプアに案内されたのは……崖?


 崖のような丘の上には建物が見えているけれど……崖には複数の滝が流れており、玄関扉と思われる物は正面の滝の裏……崖下にあった。


「どうぞ」


「狭いですね。というか、凄く入り組んでます」


 ノーザンが正直すぎる意見を!


「ハハ、レギオン戦を意識して購入しましたから。まあ、購入者の趣味でもあるんですけれど」


 ということは、他に家の持ち主が居るということ。


「“崖の中の隠れ家”と言います。一階は好きに使って構いません。寝室は三階からになります。ただ、すみませんが四階から上には立ち入らないでください」


「分かりました」

「匿って貰えるだけでも有り難いですから」


 私だって、ご主人様との居住空間に部外者が入ってくるのは耐え難い。


「カプア、そちらの方達って……」


 やたら幼そうな、淑やかそうな女の子が現れる……異世界人か。


「昨日話した人達です。奴等に捕まってしまったため、勝手に連れて来てしまいました。申し訳ありません、ウララ様」


 彼女が傍に寄ってくると、恭しく(かしず)くカプア。


 この二人の関係は……まさしく主従のよう。


「そう、別に構わないわ……私はウララ。カプアのパーティーリーダーよ」

「私はトゥスカです」

「ノーザンと言います」


 こうして見ると、ノーザンよりも小さい……バニラと同じくらいの背丈。


「今日はもう暗いですし、ゆっくりしていってね~」


 天真爛漫な笑顔に、こちらの心が洗われるよう……サトミとは違うタイプの魔性の女かも。


「三階までの設備を、一通り案内します」

「その前に……只で助けたわけではありませんよね? そちらが私達に望んでいるのはなんなのです?」


 戦力として期待されているのは分かるけれど、この辺りをハッキリさせないと安心して眠れる気がしない。


「我々レジスタンスの目的は、《獣人解放軍》の壊滅です。あのように、奴等は獣人以外の人間の命をなんとも思っていません」

「レジスタンスには色んな考えの人達が集まっているけれど、レジスタンスの中枢メンバーは過激派なの」

「半数は、自分達の身を守るために参加しているという感じですね」


 じゃあ、本当に寄せ集めの集団なんだ。


「それで、貴女方の目的は?」


 さっきのは、あくまでレジスタンスとしての意見。彼女達じゃない。


「それは……」

「私から話すわ、カプア」


 ウララが、悲しそうな顔を浮かべる。


「私達は、このゲームをクリアしてある願いを叶えたいの」


「ある願い?」


「そのためには、この町の城を占領している《獣人解放軍》をどうにかしなければならない」


「つまり、私達に戦力になって欲しいと?」

「私とカプアだけじゃ、仮にここを突破できてもいずれ詰んでしまう。だから、滞在ペナルティーの軽いこの場所で、信用できそうな人たちを探して貰っていたの。同時に、ゲーム攻略に積極的な人達を」


 ブラフなのか、アッサリと二人だけのパーティーであることを打ち明けましたね。


「……確かに私達には、ゲーム攻略への強い意思はあります。その点では協力出来るかと。ですが……」


「ウララ様、彼女達は先日のアップデートの影響で、突然このステージにやって来たそうです」


 カプアが説明してくれる。


「そうだったの……それは、さぞ不安だったでしょう」


「ええ、まあ」

「僕達のリーダーは、今このステージにはいません。なので、僕達だけでは決めかねます」


 ノーザンの言うとおりだった。


「そう……ですか」

「今日はもう遅いわ、カプア。続きは明日にしましょう」

「そうですね、ウララ様」


 この二人、果たしてどこまで信用して良いのか。


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