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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第10章 混迷の争奪

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343.霧の中から現れし異形達

『クフフフフ、クフフフフフフ!』


 子供に見せてはいけなさそうな黒ボンテージの女型モンスターが霧の中から出て来たと思ったら、女王様プレイのごとく赤黒い鞭を振るってくる!


「速い」


 攻撃力自体は低いから、問題なく”ヴリルの聖骸盾”で防げてはいるが……鞭の連撃が早過ぎて動けない。


「盾術系のサブ職業を外したのは失敗だったな」


 しかも、私はサブ職業セット機能を利用していないため、変えることが出来ない。


 混乱を避けるため、オールセットの方はサブ職業設定を同じにしてあるし。


「システムと向き合うのを怠った、私の失敗か」



「“二重魔法”、“冥雷魔法”――ヘルスプランター!!」



 “冥雷の呪法剣”を杖代わりに、黒い雷の爪を放つフェルナンダ!


 だが、女王の鞭によって雷が切り裂かれた!?


「そう来ると思った――金剛の騎槍!」


 メルシュから貰った指輪を使用し、ダイヤモンドの巨大ランスを左腕側に顕現させるフェルナンダ!



「“紅蓮槍術”――クリムゾンストライク!!」



『ギャアアアアアアアアッッッ!!!』


 フェルナンダのランスに貫かれ、内側から焼かれ死ぬ女王様モンスター。


「やるな」


 フェルナンダが前に出る事なんてまず無いから、とても頼もしく感じる。


「おっと、それよりも!」


 私達の背後では、アヤナとアオイが、未来式っぽい盾を持った半裸のオッサンモンスターと戦っていた。



●●●



『ブヒィィィィ!!』


 妙な奇声を上げながら、緑の盾を付けた変態が、その盾で叩きつけるように攻撃して来る!


「“大鬼の手”!」


 アオイが作り出した灰色の巨手が、変態オヤジの首を締め上げるていく!


『グピププブブヒィィィィッッ!!!』


「気持ち悪いのよ!!」


 “レッドストーンのテクニカルロッド”で握った超重量の無骨な剣、“ヘビーバスターソード”を振り下ろし――胴体を切り裂く!


「浅いか!」


 剣なんて振り慣れてないから、イマイチ扱いが!


『ブヒィィィィッ!!』


 盾が変形して、デカい銃口のような物が先端に!!


『――ブヒィィィィィッッ!!!』


「“鞭化”!」


 間一髪の所で、鞭と化したアオイの“双銀鳥の仕込み杖”が、私から攻撃を逸らしてくれた!


「……あっぶなー」


 強力な風の砲線により、枯れ葉が派手に舞う。


「“剣化”、“水銀武術”――マーキュリースラッシュ!!」


『ブ……ヒィィィィ……』


 杖の頭が柄頭になる形で剣に変わった“双銀鳥の仕込み杖”によってアオイに斬られ……光に変わっていく変態。


「霧から二体同時に出て来た時はどうなるかと思ったが、なんとかなったな」


 ルイーサとフェルナンダも、無事に倒せたみたいね。


「さっきのは、本当に死ぬかと思ったわ……」


 死ぬなら、せめて()()4()8()になってから死にたいからね。


「さっきので五度目の襲撃。あと二回か一回で霧を抜けられるはずだ」


 フェルナンダが教えてくれる。


「なんだ、アオイ?」


「ううん、なんでもなーい」


 この前の突発クエストで、フェルナンダは私を庇って傷付いた。


 隠れNPCじゃなかったら、即死しててもおかしくないくらいの大怪我を負ってしまって……。


 リリルの事といい……やっぱり私は、この世界では長く生きられないお荷物。


 だから、これ以上誰かに迷惑を掛ける前に…………死にたいな。



○”Sの女王”のサブ職業を手に入れました。

○“魔術師殺しの鞭”を手に入れました。


○”Mの奴豚(どぶた)”のサブ職業を手に入れました。

○“泰然なる高潔の息吹”を手に入れました。




●●●



「“煉獄卒の大悪魔”!!」


 総MPの半分を消費し、紫炎の上半身だけの巨大悪魔を――私の背後に召喚!


「掴まえなさい!」


 派手に動き回るモンスター、ガイアレオンを殴り落としてから掴ませる!



「“煉獄の業火炎”!!」



『グルオオオオオオオオッッッ!!!』

 

 石っぽい鎧ごと、紫炎の大火球で大獅子を燃やし尽くす!


「“風光弓術”――シーニックブレイズ!!」

「“幻影の銛群”!」


 レリーフェが別の獅子の左前脚を穿ち、その隙を逃さずスゥーシャの分裂した銛、“ファンタズムハープン”が穴だらけにしてしまった。


「やるな、スゥーシャ」

「えへへ、それ程でも!」


 私のパーティーの固定メンバーになりつつあるレリーフェが、スゥーシャと上手くやれている姿が見える。


「“木の葉尖舞”!」

「“蒼穹槍術”――アジュアチャージ!!」


 向こうも、ドライアドのヨシノによって動きが鈍った所に、猫獣人のタマがトドメを刺すという形に。


「強そうなのが三体出て来た時はどうなるかと思ったけれど、問題無かったわね」

「私の率いていた騎士団なら、一人か二人くらい死んでもおかしくないくらいの強敵だったが……大した物だ」


 レリーフェ的には、私達は優秀らしい。


「でも、騎士団ってことは、そっちは厳しい訓練をしてたんじゃないの?」


「そうだな。細かな技量で言えば、ひいき目無しでエルフの騎士団員の平均レベルの方が上だろう。だが、お前達のようにここぞという時の高度な連携、覚悟の決め方が出来る人間はほとんど居なかった。それこそ、文字の力を引き出せる私とルフィルくらいしか……」


 ルフィルの名前を出した瞬間、辛そうになるレリーフェ。


「ルフィルと、なにかあったの?」

「いや……あまり他者に言い触らす類いの話ではない。私とあの子の問題だからな」


 気高く、常に気丈に振る舞おうとするレリーフェでも、なにかを抱えて生きているものなんだ。


「……レリーフェさんて……36歳なんですか?」


 チョイスプレートを見て驚いている


「スゥーシャ……今気付いたのか?」


 レリーフェが、なんか嫌そうな顔に。


 まあ、私もパーティーを組むときまで気付かなかったけれど。


「じゃあもしかして、旦那さんやお子さんを故郷に残してこちらへ?」

「それは……とても心配ですね」


 スゥーシャとタマが、本気で心配そうにしている。


「いや……その……だな」


 レリーフェが、目に見えて動揺し始めた。


 私に、どこか助けを求めている気すらする。


「レリーフェって、ちょっとママ味があるわよね」


 ここ数日、私達の気が緩んでいたりすると、引き締めるような事ばかり口にしていたし。


「じゃあ、私はレリーフェさんの事をママって呼んじゃおうかな!」

「あ、私も良いですか?」


 意外にも、タマとスゥーシャが乗ってきた。


「いや……さすがにそれは……」


「レリーフェママ!」


 ヨシノまで……私も言っちゃえ。


「よ、レリーフェママ!」

「レリーフェママ!」

「レリーフェママさん!」


 なんか、どんどんカオスな空気になってきちゃったな。



「わ、私は……――私はまだ処女だッ!!」




挿絵(By みてみん)


「「「……ごめんなさい」」」


「謝るな!! 余計に惨めになるだろうがッ!!」


 ここに居る面子、ヨシノ以外とっくに処女喪失してるからな……コセで。


 私達三人とも、レリーフェの半分も生きていないのに。


「おい、私をそんな目で見るな! そもそも、エルフは長寿なんだ! 騎士団長としての役目もあったし、決して、私がモテなかったとかそういうわけではだな!」


「「「ハイハイ」」」


「お、お前ら……絶対に許さん! 許さないからなー!!」


 目の前の年増エルフが、スッゴく可愛らしく見えてきちゃった。


 この日、私とタマとスゥーシャで、レリーフェをコセと結婚させてあげよう大作戦が始動した事は言うまでもない。



○“ガイアレオンのスキルカード”×2を手に入れました。



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