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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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330.十文字槍の戦姫ヒビキ

「ほ、本気かよ……」


 廃墟と化した王城にて、男が剣と尖った盾を構え、髪をポニーテールにしたヒビキと相対する。


挿絵(By みてみん)


 二人とも、本来のフル装備状態。


 向こうは重厚な騎士と言った感じで、ヒビキはピンクや赤、橙で固めた和のお姫様のような格好。


 ヒビキの着物の背には、真っ赤な流麗の鳳の刺繍が。


「そちらが私に勝てれば、奴隷から解放して貰えるのです。もう少しやる気を出しても良いのでは?」


「お、俺よりもLvが高いくせに、偉そうな事を言うな!」


「確かに、このままでは対等とは言い難いですね……ならば、私はスキルを使いません。サブ職業も全て外しましょう」


 チョイスプレートを操作し、本当にサブ職業を外している様子のヒビキ。


「ば、バカにしやがって!」

「そちらとの戦力差を考えれば、これでもまだ不十分かもしれませんが」


 どちらも私の奴隷だから、互いに互いの装備やLvは確認できる。


「それじゃあ二人とも、このコインが落ちたら開始だよ」

「勝敗は、互いの死を持って決します。生き残れるのは、どちらか一人だけ」


 サンヤとルフィルが説明を終えると、空気が殺伐としていく。


 ――コインがサンヤの親指に弾き上げられ――床に金属音を響かせた。


「“強化骰子”!」


 男がいきなりスキルを使用し、虚空から頭くらいの大きなサイコロが出現……転がっていく。


「よし、ついてる!」


 出目は六。数字が大きければ大きい方が良いってわけね。


「俺は“ギャンブラー”のサブ職業持ち。良い出目が出やすいのさ!」


 男が薄らと青緑のオーラを纏い、ヒビキに斬り掛かる。


 対しヒビキは、黒と見紛うようなダークブラウンの柄の十文字槍を振るって応戦。全て去なしていく。


「見た目以上に重いですね、その剣。よく片手で振るえる物です」

「“万力の腕輪”のおかげで、どんな物も俺には振るう事が出来る!」


 確かに、凄まじい迫力。


 さすがに、文字の力無しでここまで来るだけはあると。


「悪いが死んでくれよ! “泥土剣術”――ベリアルスラッシュ!!」


「“熱砲線”」


 背から片手で扱えるくらいの単発式銃を左手で抜き、横合いから迫る剣の腹に熱線を浴びせ――剣の軌道を下げながら跳躍。


 これは迎撃ではなく、次の行動を制限するための攻撃。


 だけれど、頭を狙ったヒビキの蹴りが盾で防がれてしまう。


「“破邪十字”!!」


 地面から植物が生えるみたいに、光で出来た十字架が生えてきた!


 しかも、その十字架が周りにエネルギー波を放っている。


「“魔力砲”!!」


 十字架を目眩ましに、巨大な光を放った!?


「あの男、思っていた以上に戦い慣れてる」



「――――“熱砲線”」



 “馬上で振るうは十字の煌めき”に神代文字を六文字刻み、銃から発射された熱線を強化!?


「嘘だろう!!? “颶風盾術”――ストームバッシュ!!」


 ピンクの光線を弾き飛ばすも、盾で防がれたか。


 六文字……私と同程度には文字の力を引き出せるってわけ。


「鋼鉄の鎚!!」


 男が鋼の巨鎚を、右腕に連動する形で生み出す。


「女に負けるかぁぁぁッ!! “攻撃骰子”!!」


 再び虚空から現れるサイコロの出目は――五。


 するとサイコロが炎に変わり、ヒビキに襲い掛かる。


「――ハッ!!」


 文字を刻んだ十文字槍を振るい、炎を切り裂いた。


「死ねぇぇぇぇ!!」


 炎の向こうから現れた巨鎚を、銃と槍で受けきるヒビキ。


「もう、全力は尽くしましたか?」

「は?」


 ――ヒビキの動きがいきなり鋭くなり――銀の甲冑の胸を、十文字槍が貫いた。


「グぅ……クカッ!!」


「スキルが使えないので、無駄に苦しめることになってしまいましたね」


 銃から魔力の弾丸を撃ち、眉間を貫いてユタカにトドメを刺すヒビキ。


「思っていたよりも強かったですね、あの男」

「ええ」


 本当に、縛り状態のまま勝利してしまうなんてね。


 これが、この先に待ち受けている奴らの実力だとしたら……。


「フー……私は合格ですか?」

「ええ、充分すぎるくらいに」


 良心の呵責も無さそうだし、本当に慣れているみたい。


「ところで、貴女方のリーダーは女ですか?」

「そうよ?」

「安心しました。男女間のイザコザは、もうウンザリなので」

「もしかして、恋人でもいた?」

「私ではありません。パーティーメンバーに、そういう方が居ましたので」


 そう言えば、彼女のレギオンは無くなったんだっけ。


「んじゃ、そろそろ帰ろっか」

「私は、夜は人攫いに狙われてしまいます。城から出たら、すぐに来るかと」

「ソイツらって、そんなに強いの?」


 私達よりも格上かもしれない彼女が、一人では太刀打ちできないほどに。


「強くはありません。ただ、時間と共に増えていきます。しかも、数日前の私は消耗していたため、ろくに抵抗も出来ませんでした」


 てことは、以前ここに来たときに三日以上滞在していたのが、そのまま適用されたってわけか。


「ところで、貴方はなんのようですか――アルカナ」


 ヒビキが十文字槍を向けた先、壊れた柱の影から、ショーの司会をしていた仮面の男が出て来る。


 ――即座に戦闘態勢に移行する私達。


『いえー、少々アフターサービスをと思いましてねー――ぁぁぁぁぁああああッッ!!!』


 仮面はそのままに、男の身体が巨大なゴリラのように膨れ上がっていく!!


「アイツの身体……まるで」

「アップデートとやらの間に見た……靄で出来ている?」

「ええ、この感じはまさしく」

「コイツも、靄に落ちた人間!?」


『落ちたのは、最初のアップデートのときだけれどな~!』


 奴が言葉を発すると、軽い衝撃波のような物が!


「どうして、そんな奴が奴隷ショーの司会なんて!」

『どうやら、その司会担当のNPCと混じっちまったみたいでなー。気付いたらこんなになっちまってたんだ。普段はともかく、さっきの奴隷ショーになると強制的に司会をさせられちまうんだよ』


「それで、いったいなんのために私達の前に? アフターサービスとおっしゃっていたようですが」


 ヒビキが、バカ丁寧な口調で尋ねる。


『なに――そこの女がムカついたからー、お礼しに来てやっただけのことさぁぁsj4vk!!』


 狙いは私か!!


「チ、面倒な!」


 “栄華の裏の真実”を握り締め、文字を六つ刻む!!


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