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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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323.魔神・土人形

「第二十一ステージのボスは、魔神・土人形だよ」


 いつものメルシュの講義が始まる。


「弱点属性は風。ただし、水を食らうと打撃に強くなって、火を食らうと斬撃に強くなる。しかも、雷は効かないから」


「今までと比べて、随分特殊なのね」


 サトミさんが指摘する。


「その分、特殊な攻撃手段とかは無いんだよね。有効武器も無い代わりに、魔法全般に弱いから。ステージギミックは、土の人形を無限に召喚し続ける事かな」


「前のボスの時も思ったけれど、情報がバカ丁寧じゃん。羨ましい~」


「これで負けたら、良い笑い物ね」


 サンヤとスヴェトラーナが話している。


 仲間と合流するまではこちらを裏切る可能性は低いけれど……少し焦っているように見えるのは気のせいかな?


「魔神・土人形か……」


 このボス戦、一番手こずるのはおそらく私のパーティー。


 パーティーメンバーであるモモカとバニラは戦士だし、私は雷属性特化。


 まあ、こういう時のための金星球を使った戦術だ。


「じゃ、お先に行くわよ~」


 サトミさん率いるパーティーが、ボス部屋の中へ。


「さてとー、軽くウォーミングアップしとくかー。ツェツァ、ルフィル、どっちか付き合ってよ」


「私は遠慮しておくわ」

「では、私が」


 エルフの女と山猫の獣人が、戦意を募らせていく。


「ねー」

「ん? なんだ?」


 モモカが、サンヤに話し掛けた?


「お耳、触らせて」

「……嫌だ」


「……触らせて」

「嫌だ」


「触らせて」

「やだ」


「触りたい……」

「嫌だっつってんだろうが!」



「――ウワァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



「お、おい……な、泣く事は無いだろう!」


「ガルルルルルルルルルルル!!」


 まずい、バニラが戦闘態勢に!


「サンヤ、ちょっとくらい触らせてあげなさいよ」

「……ちょっとまずいですよ、コレ」


 モモカが泣いてしまった事で、バニラがサンヤ達を敵と見なし始めている!


「……こ、こうなったら」


 私は、急いで“半ベルセルク”のサブ職業を装備!


「も、モモカ……け、獣耳だよ~」


挿絵(By みてみん)


 身を屈めて、頭を差し出す。


 私は獅子の獣人に設定したから、ライオンの耳が生えている状態。


 ……なんで私がこんなこと……しかも、私を殺そうとしたスヴェトラーナの仲間を守るためだなんて。


「ぅう……気持ちいい」


 モモカが、私の獅子耳をモニュモニュしている……なにこれ、気持ち良い。


 獣耳を触られるのって、こんなに良い物だったのか。


 あのザッカルが、モモカに触られるのを嫌がらなかった理由が分かった。


「……幸せな子ね、その子は」


 スヴェトラーナのやけに沈んだような……冷たいような声が耳にこびり付く。


「サトミ達、クリアしたみたいだよ」


 ボス部屋の扉から、光が消えていっていた。


「行くよ! 次はアタシらの番だ!」


 シレイアが、上手く三人をこの場から連れ出してくれる。


「グス……」


 モモカ、まだ泣いているのか。


「ぅぅ……私はテイマーだから、“半ベルセルク”を装備出来ないのに……そこ代わってくださいよ、マスター!」


 サキが暴走している。


 隠れNPCは、種族を変更できないルールがあるらしい。


 私のパーティーのボス戦、もうメルシュに丸投げしちゃうか。



●●●



「“宝石魔法”――ダイヤモンドバレット」


 ジュリー達を下がらせたまま、私だけが前に出てステージギミックの土人形達を潰していく。


 守護戦士のモンスターに酷似した土人形達は次々と地面から這いだしてくるため、倒しても倒してもきりがない。


 代わりに、“土魔法のスキルカード”をドロップしてくれるけれど。


「さすがの威力だね、“宝石魔法”」


 ユニークスキルと考えると威力は微妙だけれど、これをMPの消費無しで発動出来るんだから、魔法特化の私には有り難い。


「ダイヤモンド系なら、実質消費無しで放てるし」


 “エターナルダイヤモンドリング”……マスターに強請るような形になっちゃったけれど、心置きなくダイヤモンド系の魔法を放てるよ。


「“宝石魔法”――ダイヤモンドソード!!」


 金剛石の大剣を飛ばし、魔神・土人形の土の剣を破壊!


 土の鎧纏う、薄茶色のライン流れる白っぽい石の巨人、魔神・土人形。


 見た目は、隠れNPCであるガーディアンを巨大化させたような感じ。


 土で出来た部分は時間が経つと復活してしまうけれど、その分脆い。


「生憎、風属性の”宝石魔法”は、触媒が無いからまだ使えないんだよね」


 触媒に左右されるのが、“宝石魔法”唯一の欠点かな。


『ォォォォォォ!!』


 “土魔法”で散弾を放ってきた。


「“宝石魔法”――ダイヤモンドシェルター」


 パーティーメンバー全員を、半透明な六角形を連ねたドームで守る。


 ダイヤモンドの魔法は、防御に優れた物が多い。



「“二重魔法”、“混沌魔法”――カオスレイ!!」



 黒白の光線を二つ放ち、その土の鎧ごと石の身体を貫き消した。



○おめでとうございます。魔神・土人形の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★土人形の石鎧 ★土属性強化のスキルカード

★サブ職業:初級武術使い ★土爆弾の指輪



「じゃあ、モモカ。バニラに、“土属性強化のスキルカード”を選んで貰って」


「分かった!」


 予定通り、大抵の人には“土属性強化のスキルカード”か“初級武術使い”のサブ職業を選んで貰った。


 今後、土属性関係の要素が増えてくるから、只でさえ貴重な“土属性強化”は一つでも多く手に入れておきたい所。


 まあ、この先のプレーヤーを殺せば幾らでも手に入るし、()()()()()()()なんの問題も無くなるけれど。


「早く、あのバカマスターに追い付かないと」


 砦を穏便に進ませるつもりだったから、敢えて戦う場合の情報を教えなかったのに……勝手なことして。


 まあ、その状況でも生き残っているのが、さすが私のマスターって感じだけれど。


 簡易アセンションを成功させられる人間なら、これくらい当然か。


 おかげで二十九ステージの隠れNPCの入手条件を満たせたわけだし、結果オーライなんだよねー。



○これより、第二十二ステージの名も無き王国の廃墟に転移します。



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