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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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320.ベルセルクもどき


○右:人獣の領域

 左:過酷な岩場



 守護戦士の試練を終えた場所から先に進もうとすると、二つの選択肢が出て来た。


「メルシュ」

「右の人獣の領域に進むと、手強いモンスターと戦うことになるよ。面白いサブ職業が手に入るけれどね。対し、過酷な岩場は足場が悪いけれど、貴重な”岩茸”が手に入る。実質課金アイテムで、特定の場所でなら凄く高く売れるみたい」


 貴重なサブ職業を得るか、お金を取るかという二択……のように思えるが、実は岩場の方はレアドロップ率の高い宝箱が幾つも用意されている。


 ただし武具などはなく、小さなアイテムに限定されてしまう。


「岩場は空を飛べる人間なら比較的安全だから、魔法使いが多いパーティーに行って貰おうと思うの。ルイーサ、ジュリー、サトミのパーティーは過酷な岩場へ。ユリカとユイのパーティーは人獣の領域に進んで」


 あの三人組が居るユイのパーティーが進む方を少なくするのは少し不安だけれど、私の記憶が確かなら、こっちの岩場の宝箱の中からユニークスキルを手に入れられる可能性がある。


 どの宝箱に入っているのか、まだ取られていないのかも判らないけれど、ユニークスキルは一つでも多く手に入れておきたいところ。


 宝箱の中身はランダムだから、面白い物が手に入る可能性もあるし。


「じゃあ、今日中に安全地帯まで行って、無事に合流しよう」

「サクッと終わらせちゃうわよ~」


 メルシュとサトミの言葉を皮切りに、各々の道へ。


 二手に別れて暫くし、緑が消えて岩場が乱立する場所が見えてくる。


「うわ……聞いてはいたけれど、ほとんど足場なんて無いじゃない」

「ろくに歩けなさそう……ここ、モンスターも出るんでしょ?」


 アヤナとアオイがぼやき、メルシュを見る。


「さっきのストーンモンキーに、ゲイルイーグルが出て来るよ。特にストーンモンキーは、岩と同化して見分けるのが大変だから、基本的には岩場から離れて飛行しておいた方が良いよ」

「一つでも多く見付けた方が良いらしいし、さっそく行こう」


 ルイーサの言葉に従い、各々の飛行手段で空へと上がっていく私達。


「バニラ……お空飛ぶの嫌だって」

「「「へ?」」」


 ここに来て不測の事態が!


「仕方ない。私が運ぼう」


 メグミがそう申し出てくれた直後、岩場をピョンピョンと跳ねるようにあっという間に進んで行ってしまうバニラ。


「……必要無さそうだな」

「あの子、獣人よりも獣人みたいかも」


 メグミさんとリンピョンがぼやいているうちに、どんどんバニラから離されていく!


「じゃあ予定通りに、探索組と警戒組に別れて宝探しを始めるよ」


 バニラを追い掛けなくて良いのだろうかと思っていたら、皆が追い掛けてきていないことに気付いたのか、戻って来るバニラ。


 相手は人間の女の子なのに……可愛い可愛いペットに見えてきてしまっている自分が居る。



●●●



「……なにこれ」


 ジュリー達と別れてから草が生い茂る道を進み続けていると、不意に襲い掛かってきたのは……狼や猪、熊の顔を持つ人間のようなモンスター達。


 ただ……その俊敏な動きも、ヨシノの“植物操作”の前では無力。


 あっという間に数体を拘束し、私達でトドメを刺している様子を見て……呆れたように発したスヴェトラーナの声がそれだった。


「動き、本当に俊敏……まともにやってたら手こずったかも」

「実際、コイツらの高い基礎能力とこの林の組み合わせは、マジで厄介だからね」

「ヨシノが居るとはいえ、常に周囲には気を張っておけ」


 ユイの見解にシレイアが補足を入れ、気を引き締めるように促してくれるレリーフェ。


 一昔前までなら、レリーフェの言葉なんてただウザったくしか感じなかったんだろうなー。


「これも、コセの影響なのかな」


「敵は”ベルセルクもどき”で、”半ベルセルク”というサブ職業が手に入るんでしたか」

「どういったサブ職業なのでしょう?」


 タマとスゥーシャが、シレイアに尋ねる。


「“半ベルセルク”ってのは、異世界人だけが装備出来るサブ職業で、獣人専用の装備を付けられるようになるって代物だ」


「じゃあ、ユイが“ホロケウカムイ”とかを使えるようになるってこと?」

「まあ、そうなるね」


 獣人だけが使える、身体強化系能力だっけ。


「アレを使われると……身体能力では完全に勝負にならない」

 

 ユイが、意外にも弱気な事を口にする。


「じゃあ、ユイでも勝てないんだ」

「後は、技術や戦術で埋められるかどうか。

達人同士の戦いは、油断した瞬間に勝敗が決する物だし」


 冷静なのか、負けず嫌いなのか。


「数が増えてきたか」

「異様な数です。対処しきれないかもしれません」


 “ベルセルクもどき”の数が増えていくのを見て、肝が据わっていく感覚を覚える。


 一瞬とはいえ杖に十二文字刻めたからか、あの突発クエストを境に感覚が変わってきている気がするわ。



●●●



「つまり、靄に呑まれた後、気付いたらここに居たって事か」


 岩の上で体育座りしているマリナに、話を理解したということをやんわりと伝える。


「真っ暗だったし、安全エリアみたいだったし、靄の中に居る間ずっと文字を使っていたから……疲れちゃって。二時間くらい前までずっと寝てたの」


「魔法の家は?」

「鍵を使ったけれど、入れなかったから……」

「誰かに呼び掛けたりしなかったのか?」


「一応はしたけれど……誰も出て来ないし、声が向こうに聞こえているのかも判らなかったんだもん」


 これが、マリナと連絡を取れなかった真相か。


「ここは二十八ステージだ」

「……へ?」


 さすがに驚いている様子のマリナ。


「ハァー……通りで、モンスターが強いと思った」

「この辺で戦ってたのか?」

「埒があかないと思って、取り敢えず安全な町か村にでも行こうかって。狼の集団が強くて、早々にこの場所に逃げ帰ってきたんだけれど」


 上から見えていたのは、狼型モンスターだったのか。


「よく安全エリアに戻ってこられたな」


 今までは、一度出ると戻ってこられない仕様だった気がするけれど。


「おそらく、今までのように道順が決まっているわけじゃないからだろう。ここからどっちに進めば良いのか、皆目見当も付かないからな」


 エリューナさんが指摘する。


「で、二人は三十六ステージを目指してるってわけなのよね……私、一緒に付いていっても良い?」


「良いに決まってるだろう」


 マリナは魔法使いだし、人数的にも戦闘の安定性が増すのは確実。


 トゥスカとノーザンともパーティーを組んでいる状態とは言え、マリナを入れても五人だし。


「私、たぶん二人よりもかなりLvが低いよ?」


 十四ステージに居たならそうだろうな。俺達みたいに、頻繁に突発クエストに巻き込まれていたわけでもないだろうし。


「で、Lvは幾つなんだ? ちなみに、私は47だ」


 エリューナさん、砦での戦いでLvが上がったのか。


「47……」


 エリューナさんの尋ねに、顔を逸らすマリナ。


「隠しても仕方ないだろう」

「そうだ、さっさと言え」


「…………31」


 俺より20も低い……。


「これは……ちょっとまずいかもしれない」


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