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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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318.戦士の試練

「広い場所に出たな」


 森の中に、円状の土の地面がある地点に到達。


「来るよ」


 ワイズマンの隠れNPCが警告を出すと――円の反対側に、ズラリと上半身裸の褐色男達が並ぶ。


「あれ、村にいた奴等と特徴が似てるわね」

「これが、例の強制戦闘って奴か」


「ウフフ、素敵な筋肉美男子がズラリ♡」


 私とサンヤが疑問に思っていると、アヤナという女が一人で気持ちの悪い声を発していた。


「ここを通りたければ、我等の試練を突破せよ!」


 戦士全員が、各々の武器を構える。


「ここに入った人間一人につき、三人の戦士が相手だよ。というわけで、私達は二十六人だから七十八人だね」


「今朝話して置いた通り、戦士だけで相手するよ! 一人で倒しすぎないようにしな!」


 ワイズマンの言葉の後、アマゾネスの女が前に出る。


「じゃ、行ってくっかね」


 私とルフィルは魔法使いのため、こちらからはサンヤのみの参戦。


 向こうはアマゾネス、ルイーサ、兎獣人、アオイ、白猫獣人、獣の浮浪児が出るらしい。


「頑張れ、バニラ!」

「ガルルルウォーーー!!」


 先に、あの獣女が仕掛けた。


「て、速い!!」


 今まで見たことのない速度で急接近し、一人に対し赤い剣の一閃のみで致命傷を負わせていく。


挿絵(By みてみん)


「バニラちゃん、強いです」

「これ、ちょっとまずいんじゃないの?」


 ノルマは、一人十人。


 戦士が一人で守護戦士九人を倒した場合、手に入るサブ職業があるらしい。


 敵は七十八人だから、最大で八つ手に入る計算だけれど……浮浪児があっという間に十一人を倒してしまった。


「止めて、モモカ!」

「戻って、バニラ!」


 モモカの言葉に、十三人目を倒した所で戻って来る浮浪児。


「これは……予想以上の戦闘能力。守護戦士達は、動きがプレーヤーみたいで厄介なはずなのに」


 ワイズマンが、浮浪児の強さに驚いている。


「私達と戦ったときは、ちょっとの怪我ですぐに撤退させられたけれど」


 数ヶ月前、森で襲われた際に手こずらされたのは、今でも記憶に新しい。


「装備やスキルも相まって、以前よりも数段手強そうです」


 このレギオン、ドライアドだけでも厄介そうなのに……リューナと合流しても、コイツら全員を相手取れる気がしない。


「一人九人だからね! 倒しすぎるんじゃないよ、アンタら!」


 アマゾネスの檄が飛んだのち、戦士達が各々の武器をぶつけ始めた。



●●●



「空を取っているのに……厄介だな」


 馬を駆るロードナイトに、なかなか私の攻撃が当たらない。


「“氷柱針”!!」


 突撃ののち、方向転換をする際の隙を見計らって、鋭い氷柱を指輪から連続で撃ち出す!


「ランスで防ぐか……」


 出来れば、あの男の前で手の内はあまり晒したくなかったが……仕方ないか。


「“瞬足”」


 空を蹴り、正面から突っ込む。


「愚か!」


 ロードナイトが、カウンターを狙ってランスを振りかぶった。


「“跳弾”――」


 ユニークスキルである“空遊滑脱”により、私は自由に空中を蹴ったり押したりすることが出来る。


 その能力により、複数の高速移動スキルを宙で使用――立体的な超高速戦闘が可能となる!



「“業王脚”!!」



 馬の胴体を蹴り飛ばし――黒いエネルギーを炸裂させて消し去った!


「後はお前だけだ――ク!!」


 九文字刻んでの戦闘……長引かせすぎたかsj3k。


「俺が相手だ!」


 ロードナイトとコセが、ランスと斧を打ち合う!


 パワーではコセの方が上だが、鈍器のように振るえるランスと刃の向きを気にしなければならない斧とでは、些か相性が悪いか。


「ノスバーク王国、万歳!!」


 ランスに光が灯り――炸裂!? コセを大きく吹き飛ばしてしまった!


「オールセット1」


 以前にも見た両手剣スタイルに。


 と思ったら、竜のような大剣の方は背中に貼り付けた?


「――“神代の剣”」


 九文字刻んでから青白い刃を剣に纏わせ、正面から斬り合うコセ。


「“神代の盾”」


 数度の剣戟ののち――刃を盾に変え、逆手持ちでランスによる殴打を受けきった!?


「――“剛力竜衝”!!」


 左腕の甲手、その手の平をランスの横合いに押し付け――衝撃波を叩きつけて大きく弾いてしまう!



「終わりだ、“神代の剣”――ハイパワープリック!!」



「ノスバーク……万……歳……」


 煌びやかな鎧を貫き、ロードナイトが光へと変わっていく。


「ハアハア、ハアハア」


 剣を支えに、膝を着くコセ。



○砦の兵士が全て倒されました。


○今から三十分、砦内は無人となり、好きに探索が可能です。



「……無事か?」

「ああ……ぅ!」

「少し休め」


 昨日程ではないとはいえ、私以上に文字の力を引き出し続けていた。


「いや、三十分しか時間が無い。調子なら、歩いているうちに戻せる」

「なかなか、根性があるじゃないか」


 敵は居ないと言っていたし、気配もない。


 周囲を囲う光も消えていないし、町で見かけたプレーヤーに襲われる可能性も無いだろう。


「肩を貸してやる。武器は外しておけ。重いからな」


「ありがとう」


 仲間以外の人間に優しさを向けるのは……いったいいつぶりだろうか。



○“王国兵士”のサブ職業×3を手に入れました。

○“重装兵のスキルカード”×6を手に入れました。

○“聖騎士のスキルカード”×4を手に入れました。

○“ロイヤルロードランス”を手に入れました。

○“ロイヤルゴルドアーマー”を手に入れました。

○“騎士の高級軍馬の指輪”を手に入れました。



●●●



「どう、メルシュ?」

「うん、なんとか八つ手に入ったみたいだね」


 守護戦士達との試しを終え、ノルマのサブ職業、“初級武術使い”が予定の個数手に入った事をジュリーに伝える。


「じゃあ、さっそく作ってみようか。アオイ、どの属性が良い?」


「私のパーティーの不足分を、補えるようなのが良いかな」


 アオイにしては、至極まっとうな意見。


「うーん……フェルナンダを含めて考えると、この面子で欠けてるのって氷属性なんだよね」


 とはいえ、レギオン内に氷系の使い手は少なくないからなー。


「メルシュ、これなんてどうだろう?」

「うん?」


 ジュリーが渡してきたのは、“水銀魔法のスキルカード”。


「なにそれ?」


 アオイが尋ねる。


「“水銀魔法”。水属性と毒属性の二属性魔法って奴だね」


 毒が効かないタイプの敵には、有効性が低くなっちゃうけれど。


「毒属性なんてあるんだ……うん、それが良い!」


 確かに、アオイのパーティーは高火力の戦士と魔法使いが揃っているし、多くの属性を含んだ“精霊魔法”を操るフェルナンダも居る。


 このバランスの取れたパーティーを追い詰めるとしたら、能力で完全に上回るか搦め手を使ってくるタイプか。


「良いよ。ただ、無機物系や毒持ちには有用性が半減するから、注意してね」


 さっそく、Lv23で使用可能になるサブ職業分解機能を使用し、“初級武術使い”を“初級武術のスキルカード”に変える。


 その“初級武術のスキルカード”と“水銀魔法のスキルカード”を、サブ職業作製機能で合成――“水銀武術使い”のサブ職業へ。


「色んな武器に対応する分、威力は特定の武具に依存する”剣術”や”鞭術”とかより少し下がるから」


「あいよー」


 青のメダルを、アオイに渡した。


「メルシュ、試練が終わったら安全エリアになったと騒いでいる者達が居るが、ここは安全と言うことか?」


 レリーフェに尋ねられる。


 そう言えばこの人、ダンジョン攻略初心者だっけ。


「うん。時間も時間だし、お昼休憩にしよっか」


 なんか、私がこの集団のリーダーみたいになっちゃってる?


 それはちょっと困っちゃうんだけれど……マスターと再会したときに私が従順に振る舞えば、むしろコセの威厳を高めることになるか。


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