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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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313.魔神・射手妖精

「この先に進みたい? だったら、許可証を買うが良い。一パーティーにつき300000(三十万)Gだ。一時間を過ぎると期限切れで無効になるから、気を付けるが良い」


 ”腐敗の王都”の王城に続く橋の反対側、北にあるボス部屋の扉前にある、王国兵の詰め所を尋ねる私達。


「パーティーリーダーは全員、許可証を購入して」


 早朝に王都を回って、必要な物は既に購入済み。


 その間にユイ達がモンスター狩りをして素材も集めたし、短い時間ながらできる限りの準備は終えた。


 ここって、強力なモンスターが多いのとエルフの奴隷を購入出来る以外、大して旨味が無いステージなんだよね。


 売り物のアイテムは種類が揃っているけれど、他の場所に比べると物価が高く、ほぼ倍の値段がするし。


「メルシュ、この許可証があればボス戦が出来るのか?」


 ルイーサに尋ねられる。


「うん。購入した人から、さっそくボス戦を開始して」

「分かった」


 現在、ルイーサのパーティーにはフェルナンダ、アヤナ、アオイ、ナオ、クマムの六人。


 サトミのパーティーはクリスティーナ、リンピョン、メグミ。


 ジュリーのパーティーはサキ、モモカ、バニラ、私。


 ユリカのパーティーはヨシノ、レリーフェ、タマ、スゥーシャ。


 ユイのパーティーはシレイアにカナ……黒尽くめの殺し屋集団と思われる三人。


 カナの話しではもう一人居るらしいけれど、彼女は十二ステージからずっと魔法の家に軟禁状態らしい。


 本人も、ゲームを怖がって攻略に参加する気は無いそうな。


 オリジナルプレイヤーの知識だけを利用する……このレギオンにユニークスキルの入手方法を知っているのはジュリーしかいないし、彼女達を懐柔するメリットは大きい。


 事実、今マスターと一緒に居る女は、ユニークスキルを持っているみたいだし。


「パーティーを五つより減らせないのに、人数が二十三人になってしまった時はどうなるかと思ったけれど」


 一時的にとはいえ、神代文字を扱える人間三人が組んでくれた。


 アップデート中に男が現れ、レギオンメンバーが別ステージへと移動……なるべくしてなったという気がしてしまうのは、私だけかな?


「ルフィル……なんだよな?」

「……」


 レリーフェが、フードで半ば顔を隠したエルフに話し掛ける。


「良かった、無事で。出来ればお前には、私の代わりにエルフのレギオンを率いて欲しかったが……」

「知らないわ、そんな名前の女も……貴女も」

「……そうか……すまない、人違いだったようだ」


 これまでの情報で、ある程度あの二人の関係には察しが付いているけれど。


「アンタ、私の顔を忘れたとは言わせないわよ」


 そこに、リンピョンが乱入してしまう。


「あの時の死に損ないですか。まあ、暫くは生かしておいて差し上げますよ」

「ルフィル……お前」

「次は、絶対に私が勝つから!」

「その時は今度こそ、完膚なきまでに叩きのめして差し上げますよ。代償は死ですが」


 ……前途多難だよ、マスター。



●●●




○許可証を使用しますか?



 YESを選択すると、粘土を焼いて固めたような札、許可証が目の前に出現し――砕けると同時にボス部屋前の扉が開いていく。


「第三ステージを思い出すわね」


 アヤナが呟く。


「だな」


 あの頃は少し、リリルの件で私達三人はギスギスしていたっけ。


「コイツが二十ステージのボス、魔神・射手妖精か」


 ボス部屋の奥で黄緑色のラインが灯り、緑と白の石のボディーが現に。


「綺麗ですね」

「どことなく女っぽいわ」


 クマムとナオが、暢気な雰囲気で話している。


 あの二人、初めの頃はどことなく頼りなかったが、なんだかんだでどちらも大物になりそうだな。


「そいじゃ、いっちょやったるか」

「ルイーサ、守りはよろしく」


 アオイとアヤナが、新装備を試すために前に出る。


 コセのお下がりである“武器隠しのマント”を靡かせるアオイ……そこはかとなく羨ましい!


「ああ、任せろ」


 もうずっと”凝血のマント”のままだし、そろそろ新しいのにしたいな。


 このマントが、低ランクの割に便利なのは知っているが。


「来るよ、姉ちゃん!」

「任せて! “二重魔法”」


 アヤナが”双銀鳥の仕込み杖”を翳し、二つの魔法陣を展開する。



「“冥雷魔法”――ヘルスプランター!!」



 紫爪の黒雷が二筋、動き始めた直後の射手妖精を襲う!


 奴の弱点属性は雷。有効武器は斧。


「ステージギミックが来るぞ!」


 フェルナンダの言葉が響いた瞬間、緑色が滲んだ突風が――前方から吹き荒れてくる!!


「“抜剣”」


 凄まじい横風が消えた瞬間――跳躍した魔神が大弓を構えた。



「“聖水剣術”――セイントブレイク!!」



 “ヴリルの聖骸盾”から抜き、“聖剣万象”を纏わせた”ザ・ディープシー・カリバーン”を横合いから斬り付け――風を纏う矢の迎撃に成功!!


「“斧化”」


 アオイが、”双銀鳥の仕込み杖”の頭の方を片刃の斧に変える。


「“竜脚”」


 脚を肉食恐竜のように変え、着地した魔神に高速で駆けるアオイ。


「“万雷斧術”――サンダラススラッシュ!!」


 すれ違いざまに右脚首を切断し、魔神の体勢を崩した!


「あとよろしく」



「“二重魔法”、”冥雷魔法“――ヘルサンダラスレイン!!」



 黒い雷の雨が降り注ぎ、魔神・射手妖精の巨体を穿ち続ける。


「また来るぞ!!」


 フェルナンダの叫びの直後、再び風が吹き荒れる!


『ァァァーーーーッ!!』


 暴風の中で、弓を構えた!?


「“鞭化”――“暴風鞭術”、サイクロンヒット!!」


 風が止んだ直後に弓が銀の鞭に打たれ、矢が大きく逸れる!


「ナイスだ、アオイ」


 さすが、私達のチームのタイトエンド。



「“光線魔法”――アトミックレイ!!」



 アヤナの魔法が射手妖精の頭を吹き飛ばし……沈黙させた。


「フー! 久し振りに、ボスにトドメを刺せたわ」

「ナイス、姉ちゃん」

「アンタもナイス、アオイ」


 手を叩き合う二人。


「双子か……」


 もし私に双子が居たら、どういう感覚だったのだろう。



○おめでとうございます。魔神・射手妖精の討伐に成功しました。


○ボス撃破特典。以下から一つをお選びください。


★射手妖精の大弓 ★暴風魔法のスキルカード

★大弓術のスキルカード ★妖精の矢筒

★暴風矢のスキルカード



「エルフのために用意されていたボスって感じね」

「そう言えば、人魚みたいな魔神も居たっけ」


「後が(つか)えている。さっさと選ぶぞ、二人とも」


 正直、私達には今更過ぎる物ばかりだな。



○これより、第二十一ステージの戦士の集落に転移します。



「すぐに追い付くからな、コセ」


 お前がトゥスカ達を追い掛けて先に進もうとも、それ以上の早さで追い付いてやるさ!



●●●



「“颶風槍術”――ストームストライク!!」

「“爆裂棒術”――バーストブレイク!!」

「“泥土斧術”――ベリアルスラッシュ!!」


 エルフのルフィル、異世界人のスヴェトラーナ、山猫獣人のサンヤが六文字ずつ刻んだ武具を振るって、あっという間に魔神・射手妖精を破壊した。


「やるね~、アイツら」

「……うん」


 神代文字で強化した魔法を三人で連続して放ったあと、即座に武術スキルを叩き込んで終わらせる。


 まるで訓練を受けた軍隊のような、無駄と容赦の無さ。


「もし、今ここで裏切られたら勝てるかい、マスター?」


 シレイアさんが訊いてくる。


「個人ならまだしも、連携を取られたら難しいかな」


 カナさんも強くなってるけれど、私達の連携能力はイマイチだし。


「……マスターに良い刺激になるかもね、あの三人は」

「うん?」


 どういう意味だろう?


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