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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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309.引き寄せられる因果

『ハァー。まったく、今回もか。前回のアップデートの時もそうだったが。このルッキンググラスの乱れようは……なんらかの理由で、靄に入り込んだ輩がかなり居るようだな』


 巨大な砂時計のような物が組み込まれた、自由の女神よりも超大なスーパーコンピューター。


 基本的に、このゲームの統括者たる私しか入る事が許されない場所。


 未来を予測する事も可能なルッキンググラスは、このダンジョン・ザ・チョイスを維持するために必要な物の一つ。


『世界を再構築するための情報が行き交う中に異物が混入すれば、どのようなバグが発生する事か』


 入り込んだ人間の方には、身体が分解されると同時に世界を構成する様々なデータが異物として混入するという現象が起きている。


『まあそのおかげで、一度死んだ者の意識をモンスターの中に組み込むという芸当が可能になったわけだが』


 あれは、私にとってもなかなか有意義なデータだった。


『そう言えばどのステージだったかな、前回のアップデート後に発生するようになったバグ現象は』


 そのうちの一つは、二十番台のどこかだと記憶していたが。



●●●



「ねー、リューナ。なにか変よ。あそこの靄が膨れ上がってる」


「なに?」


 ――ツェツァの視線の先の異様さに、思わず窓を跳び越えて駆ける!


 すぐにツェツァ、ルフィル、サンヤが追い掛けてきた。


「全員、最大限に警戒しろ!」


 予測不能というのが、一番おっかないものだ。


 だが、そういうときこそ変に身構えず、柔軟に対処する。


 私が母から習った合気道と、父から習ったシステマのように。



『――ボァァぁぁああああkwjg3h!!!」



「なんだ、この男は?」


 身体の大半が、歪で醜い化け物と化している。


「18禁の、グロテスクなゲームとかに出て来そうな見た目ね」


 ツェツァも、私と似たような感想を抱いたらしい。


『ぅぃあぁ――“大地讃頌”ぉッッ!!」


「――“衝脚”!!」


 地面を伝う光の衝撃波を、神代文字の力を乗せた脚で踏み付けて相殺!


「私が前に出る。三人は援護。出し惜しみは無しだ! ――“空遊滑脱”」


 ユニークスキルとやらを使用すると同時に、我がシャシュカ――“終わらぬ苦悩を噛み締めて”に、神代文字を九文字刻む!


「フッ!!」


 空中を自在に踏み駆け、曲刀を幾度も斬り付けていく!


「硬い!」


 九文字で、皮膚を裂いた程度とは。


「“吹雪剣術”――ブリザードブレイク!!」


 骨かなにか分からん物ごと皮膚をズタズタにし、その傷口を凍らせて塞いでしまう。


「今だ!!」


「“爆裂魔法”――エクスプロージョン!!」

「“颶風弓術”――ストームブレイズ!!」


 ”跳躍“で空高く昇った瞬間、ツェツァの魔法とルフィルの矢が異形の男に炸裂した。


「うげ……コイツ、まじ?」


 サンヤが妙な反応をした瞬間、男の傷口から魚のようなモンスターが――次々と飛び出して来ただと!?


 しかも、そのモンスター共も異形の塊。


「いったいなんなんだ、この化け物は」


 さっさと始末しないと、面倒なのがどんどん増えてしまう!


「キャアアアアアアアッッ!!」


「今度はなんだ!」


 鎌を持った女が、空の靄から落ちてきた!?


 しかも、ツェツァ達の背後に!!


「次から次へと――しま」


 私の頭上で黒の靄が膨らんでいることに、ようやく気付いた!!


「ああぁぁぁッ!!」

「な!?」


 男が落ちてくるだと!!?


 ――躱し切れずに正面から衝突し――このままじゃ、地面に激突!!


 ……予想していたような衝撃は……襲ってこなかった。


「…………ふぇ?」

「…………ごめん」


 見ず知らずの人間に……――唇を奪われたぁぁぁ!!?

 


○○○



「く!!」


 メルシュのアドバイスに従い、全身に神代の力を纏いながら靄の中を流されていく!


 これ……どうなってしまうんだ?


 一緒に飛び込んでしまったであろうカナさんとザッカルは無事なのだろうか。


「この靄は……」


 文字を引き出した時と、似て非なる物を感じる。


 身体が流されて……これ、どこかに引っ張られているみたいだ。


 ――薄れてきていた感覚が、急に鮮明になっていく!!


「ああぁぁぁッ!!」


 このままじゃ地面に激突――綺麗な女の人が落下先に!!


 ――ぶつかった次の瞬間、巻き込んだこの人を死なせるわけにはいかないと咄嗟に女性の腰に手を回し――“地天衝のブーツ”で空を踏み締める!!


「…………ふぇ?」

「…………ごめん」


 無我夢中で庇っただけなのに、唇を無理矢理奪ってしまう形に……。


「……――死ねッ!!」

「うわ!?」


 いきなり、顔面に剣を突き刺そうとしてきた!?


「わ、悪かった! 頼む、落ち着いてくれ! グフッ!!」


 お腹を蹴られ、無理矢理引き離されてしまった。


「ゴシゴシゴシ……く、クソが」


 射殺すような目で、こっちを睨みつけてくるパールグレイの髪の綺麗な女性。


「いや、本当に悪いと……あれは」


 姿がより不気味になっているけれど、俺を靄に突き落とした怪物男で間違いない!


 それに、カナさんが誰かと一緒にモンスターの群れと戦っている?


「お前、《龍意のケンシ》の……アイツを知っているのか!」

「魔法の家の領域にいきなり現れて、俺達はアイツに靄の中に落とされたんだ!」


 カナが戦っている以上、野放しにするわけにもいかないか。


 なにより、この黒い靄が晴れないうちは、彼女達の魔法の家の領域から出られない。


 もし家の所有者が死んだ場合、下手すればこの空間が消失し、全員が死んでしまう可能性も!


「アイツを倒すのに協力させてくれ、頼む!」

「……良いだろう。奴を始末するまでは共闘してやる!!」


 空を蹴って、急降下していくパールグレイの美人。


「助かる」


 俺も彼女に習い、空から奴を強襲する!


「“衝脚”ッ!!」

 

 神代文字を刻んだ剣から脚にエネルギーを纏わせて、威力を強化した?


「文字を九文字も……」


 彼女達の正体に関して、嫌な予感がしてきたな。


「オールセット1」


 サブ職業や武具、装飾品の類いやスキルまで全て、あらかじめセットしておいた物に瞬時に変える!


「――行くぞ」


 “サムシンググレートソード”、”偉大なる英雄竜の猛撃剣”、“偉大なる英雄の鎧”に――十二文字ずつ刻む。


「三つ同時にだと!?」


 パールグレイの美人の驚愕を置き去りに、異形の男に斬り掛かる!


『ぐぁぁうfkh!!」


「“拒絶領域”!!」


 懐に潜り込んでから、円柱状の衝撃波を叩き込む!


「“二重武術”――“竜剣術”、ドラゴンブレイク!!」


 隙を晒した瞬間に、二つの竜閃を上から両肩へと同時にぶつける!!


「“吹雪魔法”――ブリザードカノン!!」


 スキルを使用した俺の隙を補うように、パールグレイの人の魔法が男に直撃!


「“二刀流剣術”――クロススラッシュ!!」


 特に異形と化していた左腕を――斬り潰す!!


『――“大地讃頌”ッッ!!」


 大技を放った直後で、モロに食らってしまう!!


 鎧の文字の力を発散させて軽減したけれど、小さくないダメージが蓄積される!


「“神代の剣影”――“吹雪剣術”、ブリザードブレイド!!」


 青白い刃を吹雪と共に曲刀に纏わせ、振るうと同時に残像のような物が伸びながら――異形の男を空中から切り刻んでいく!


 けれど、決定打にはなりそうにない。


「これで……決める――“神代の剣”!!」


 二振りの大剣に、青白い刀身を生成!


「クソ!!」

「“二重武術”」


 青の残像の剣が斧で大きく弾かれた瞬間――一気に距離を詰める!!



「――ハイパワースラッシュ!!」



 剣を交差させ――首と肩を刎ね落とした。


「まだ動いているぞ!!」


『ガァぁぁぁぁぁッッッ!!!」



「“激情の一撃”」



 TP十分の一以下の時に放てる激烈の一撃を”サムシンググレートソード”で決め……奴の胸を、鎧ごと爆ぜさせた。


「ハァー、ハァー」


 反動で、数メートルは吹き飛ばされたか……。


「イツつ」


 TPの消費と神代文字の十二文字同時使用……あの美人の人に命を狙われたら、確実に死ぬな。


「では、次は貴様の番だ」

「見事な手の平返しだな」

「始末するまでという約束だったはずだが?」


 向こうの方が一枚上手だったか。


「助けられたのは事実。楽に殺してやる」

「いや、殺すなよ――後ろだ!!」

「な!?」


 光に変わりだしていた奴の身体から無数の触手が伸び――パールグレイの女性を拘束してしまう!


 しかも、二本は彼女の腹部を貫いてしまっている!


「まずい」


 奴の身体が、靄へとゆっくり落ちていく!!


「ち、力が……」


 このままじゃ、彼女が靄の中に――


 俺は、咄嗟に駆け寄りながら触手を切り裂いて――落ちる瞬間、彼女を抱き締めながら神代の力を全身に纏わせた。


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