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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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308.エルフの思想

「おい、コセ!」


 シレイアの訓練に付き合っていたら、レリーフェさんが喧嘩腰で声を掛けてきた。


 というか、背後には十人以上のエルフ達が。


 ジュリーの砦城を使っている奴等か。


 ていうか、いつの間にか見学者が増えてるな。カナさんが居るのはちょっと意外……ザッカルにでも誘われたのかな?


「私を無視するとは良い度胸だな」

「いや、そんなつもりは」


「今から、貴様に決闘を申し込む!」

「いや、いきなりが過ぎ――」


 とても細い刀身の剣で、高速の突きを放ってきた!!


「……不意打ちか」


 しかも、眉間を狙ってきたぞ。


 躱さなければ、確実に死んでいたであろう場所を。


「私を屈伏させてみろ、レギオンリーダー」


 いったい、なにを考えているのやら。


「“魔炎”」


 紫炎の蛇を空中に生み出し、レリーフェを後退させる。


「“暴風魔法”――サイクロンバレット!!」


 レリーフェの魔法を、“魔炎”に食わせて消し去った。


「面白い」


 剣を腰に差し、緑色の弓、“森は木漏れ日に包まれて”を構えるレリーフェ。


「なにが面白いんだ?」

「お前が、一気に戦う者の目になったからだ。戦士の目にな」


 まさか、そんな事を面と向かって言われる日が来るとは。


「死んでも文句は言うなよ」

「当然だ!」


 弓に、文字が三文字刻まれた!


「“風光弓術”――シーニックアロー!!」


「“超竜撃”」


 ”偉大なる英雄竜の猛撃剣”の効果で、正面から光と風の矢を打ち消す。


「――行くぞ」


 “地天衝のブーツ”で右斜めに駆け上がり、レリーフェに狙いを付けさせないよう接近。


「ベクトルコントロール!」


 普通に射ったはずの矢が、俺を追い掛けてくる。


 ”弓術“にも、”転剣術“と同じコントロール系の攻撃法があったのか。


 迎撃のため、方向転換して切り払う!


「この私に対して、文字の力を使わないつもりか!」


 弓に文字を刻んだまま剣を抜き、”魔炎”を切り裂きながら近接戦を仕掛けてくるレリーフェ!


「く!」


 軽い細剣から繰り出される連続攻撃に、防戦一方となってしまう。


「ユリカの言うとおりだというのなら、貴様の本気を見せてみろ!」


 下手にスキルで攻撃したら、無用な怪我をさせかねないってのに。


「仕方ない――“可変”」


 三文字刻むと同時に顎を開き――レリーフェの細剣を噛み切――れない!?


「文字の力を……」


 弓から、剣に流しこんでいる!


「これくらい出来なくては、騎士団長は務まらんのでな!」


 文字が六文字に増え、攻撃は更に苛烈に!


「ハァッ!!」


 剣を大剣形態に戻し――六文字刻んで、剣ごとレリーフェを弾き飛ばす!


「どうした、そんな物か!」

「わざわざ、使う必要の無い力を使うつもりは無い」


 頼りすぎれば、戦い方が稚拙になってしまうと知っているから。


「そんなに見たいなら、そっちが引き出して見せろ」


「言ったな――装備セット2」


 レリーフェの手に、黒い大仰な弓が出現した!?


 しかも、背の“森は木漏れ日に包まれて”から神代の力を流しこんでいる!


「決闘に借り物を使わせて貰うのは忍びないが――要望通り、私の全力をぶつけてやろう!!」


 Sランクの、“アルテミスの魔弓”を使った一撃が来る!!


「”風光弓術“――シーニックブレイズッ!!」


 ――”偉大なる英雄竜の猛撃剣”に、文字を十二文字刻む。



「”竜剣術“――――ドラゴンスラッシュ!!」



 光と風の奔流を、竜の一撃で……切り裂いた。


「……本当に……十二文字刻むとわ」


「まだ続けるか?」


 こっちは剣一本にしか文字を刻んでいないから、まだまだ精神力には余裕がある。


「その状態で、かなり余裕があるようだな……まったく、畏れ入る」


 レリーフェが空気を弛緩させて文字を消したため、戦闘の意思は無くなったと判断。


「これで満足しただろう、お前達!」


「はい「「申し訳ありませんでした!!」」」


 エルフ達が、一斉に頭を下げた?


「我等エルフ族には、神代文字を扱える者を敬う風習がある。私が若くして騎士団長になれたのも、それが理由だ」


 さっきまでの棘がなくなり、親しみすら向けられている気がしてくる程に……穏やかな様子のレリーフェさん。


「彼等を納得させるために、わざと?」

「私自身がこの目で確かめたかったというのもあったが、レギオンの同盟の話をしたらごねる者が多くてな。すまない」


 人騒がせな。


「エルフ族はずっと、世界中からデルタに消されていく文化を守ってきた。神代文字や世界の在り方についての教えを。故に、選民思想のような考えへと至り、視野狭窄となっている者も少なくないのだ。許して欲しい」

「は、はあ……」


 世界の在り方? 神話かなにかのことか?


「これで私も、心置きなくお前達に……コセ殿に力を貸せそうだ」


「コセ殿?」


 急に敬称で。


「……あ、アレなにかしら?」


 カナさんが近付いていく先――黒い靄の一部が、膨張しているだと!?


「全員警戒!! なにか来る!!」


 メルシュの切羽詰まった声に、ザッカルと共に急いで戦闘モードへと移行したカナさんに駆け寄る!


「いったい、なにが来やがる」



「――ぁぁぁぁああああああうgいkdkgでッッッッ!!!』



「なんだよ……コイツ」

「人間……なの?」


 ブラウンの鎧を身に付けた大柄な男のようだけれど……左半身を中心に、様々な生物の特徴が見受けられる滅茶苦茶な見た目を!!


『ああッッ!! ああッッ!! ああああぁぁぁskvげッッッッ!!!」


「正気を失っている」


 右手の巨大な斧を振り回し、攻撃してきた!!


「“超竜撃”!!」


 振り下ろしてきた斧を弾き上げる!


「完全に錯乱してやがる! ぶっ殺すぞ!」

「判ったわ!」


「俺が――ッ!」


 十二文字引き出したからか、身体が少しばかり重い。


 そろそろ慣れたと思っていたけれど、一回気を抜いたのが悪かったか。


「オラよ!!」


 ザッカルが三文字刻んだ剣槍で斬り掛かるも、銅色の大斧に防がれる。


「気を付けて! ソイツの装備、Sランクが多い!」


 メルシュの警告が飛ぶ。


「なんだと?」

「すぐに終わらせるわよ!」


 カナさんが、鎌に三文字刻んだと同時に左腕の甲手から蜘蛛の糸を発射――即座に首を刈りに!


「おぉぉ――“大地讃頌”ッッ!!』


 奴が地面を踏み付けた瞬間、扇状に黄土色の光りが地面を流れ――ザッカルとカナを吹き飛ばしてしまった!!


「“飛王剣”!!」


『“大地斧術”、グランドスラッシュぅぅrjんf!!」


 奴が俺の斬撃を迎撃しているうちに、頭上を“跳躍”で跳び越え――空中を踏んで首を薙ぎに行く!


「――硬い!」


 文字無しの状態とはいえ、首への一撃をほんの少しの切り傷で止められてしまうなんて!


 あの化け物化した部分は、恐ろしく頑丈らしい。


「“風光弓術”――シーニックブレイズ!!」

「“古代弓術”――オールドブレイズ!!」


 レリーフェとシレイアが援護してくれるも、あまりの硬さに大したダメージになっていない!?


「――“超竜撃”!!」


 瞬時に十二文字を刻み、竜の一撃を食らわせる!!


「“闘気斧”gjwhッ!!』

「ク!!」


 ルイーサと同系統の能力で強化した斧に、ギリギリで受けきられてしまう!!


『ゥォぉぉぉぉぉッッッッ!!!」


 地面からの攻撃を警戒するあまり、突進を受けるまま――浮かせていた身体が押される!!


 なんとか空中を踏んで留まろうとするも――このままじゃ、コイツと一緒に俺まで靄の中に!!


「コセくん!!」

「野郎!!」


 カナさんの蜘蛛糸が男にくっ付いて引っ張ろうとするも、膂力が違いすぎて意味を成さない!


 ザッカルが糸を引こうとしてくれるも、止められない!


 コイツのこの力……いったい何者なんだよ!!


「――まずい」


「――――三人とも、文字の力を纏ってッ!!」


 メルシュの悲痛な叫びを最後に、俺達四人は……靄の中へと落ちていった。


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