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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第9章 新たなる門出

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305.浮浪児専用装備

「不気味だな」


 11:11分の重大発表が終わったのち、神秘の館の外を見ると……不気味な黒い靄が空で蠢いていた。


「アップデート中は、ずっとあの靄があるままみたいだよ。触れたらなにが起きるか分からないから、絶対に近付かないようにね」


 メルシュが、全員に警告する。


「外に出るのもまずいってこと?」

「一日中、家の中ってのはな」


 アヤナは不安げで、ザッカルはげんなり気味。


「久しぶりの再会なんだし、一日中コセに可愛がって貰えば良いじゃないか」


 シレイアがとんでもない事を口にする!! モモカだって居るのに!


「なるほど、その手があったか」

「あ、僕もお願いします」

「私も……見学だけでも良い」


 ザッカルとノーザン、ユイまで乗っかってしまう!


「ハイハイ、そういうのは後でね。ちなみに、陸の縁に近付かなければ問題ないと思うよ。まあ、出来れば家から離れない方が良いだろうけれど」


 良かった。メルシュが話を戻してくれた。


「どうせ暇だし、皆が各ステージで手に入れてきてくれたアイテムやスキルカードを、今から分配するから。シレイア、レリーフェを呼んできてくれる?」


「了解。ついでに、靄には近付くなってエルフ共に警告しておくかね」

「念のため、私も付いて行こう」


 シレイアとフェルナンダが出ていく。


「まずは、アヤナとアオイにこれをあげる」


 そう言ってメルシュが二人に差し出したのは、頭に鳥が止まっている二本の銀杖。


「良いの?」

「私、戦士だけれど?」


 アヤナは魔法使いだから良いとして、戦士のアオイに杖を渡してもな。


「“双銀鳥の仕込み杖”、Aランク。同じパーティー内で魔法使いと戦士で装備すると、ほぼ全ての性能が上がるよ。アオイは魔法と色んな武器をバランスよく使うし、二人にピッタリだと思う」


 出来過ぎなくらい、アオイとアヤナに都合の良い武器だな。


「色んな武器をって……どういうこと?」

「それはね」


 メルシュが、アオイに杖の使い方のレクチャーを始める。


「マスター。これ、カナさんが手に入れたスキルカードです」


 ヨシノがユリカに、二枚のスキルカードを渡した。


「私が貰って……て、もしかしなくても煉獄系?」

「さすがにお気づきになられましたか」


 もはや、ユリカと言えば煉獄、煉獄と言えばユリカっていうイメージがあるくらいだからな。


「スゥーシャさんにはこれです」


 ターバンを巻いた黒髪ショートの隠れNPC、テイマーのサキが、スゥーシャにスキルカードと綺麗な……(ひれ)? を渡す。


「これは……?」


 昔見た、鰭がボロボロになったイルカかなにかのために作った物みたいだ。


 水で出来ているような感じが、魔の海域を脱出せよで手に入れたあの剣に似ている。


「その他の装備欄で使ってください」

「わ、分かりました」


「マスター、この“携行のベルト”を使ってみない?」

「へ? 良いけれど……その他が埋まってしまっているな」

「代わりに、“武器隠しのマント”をアオイに譲って欲しいと思ってて」


 アオイは、色んな種類の武器を使うもんな。


 武器変更のシステムでは、同じ種類の武具としか交換出来ないし。


「分かった」


 “武器隠しのマント”を渡して、“携行のベルト”を装備。


「そのベルトには、自分が装備した武具を磁石みたいに吸着させられる効果があるから」


「本当だ」


 背中に、“サムシンググレートソード”をくっ付けられた。


 ザッカルの鎧に備わっている効果と同じ物か。


「コッチの方が、しっくり来るかもしれない」


 マントは、稀に邪魔に感じることもあったし。


「アオイ、これを使って」

「あいよ」


 さっそく装備し、身じろぎして黒いマントをヒラヒラさせるアオイ。


 そう言えばあのマント、連続殺人鬼の槍男が使っていた物だったな。


「男の人のお下がり……ちょっと照れる」


 本当に照れているのかどうか判らない感じで発した言葉に、ちょっとドキッとしてしまった。


「……そうだ」


 俺も、人に渡す物があったんだ。


「ルイーサ」

「うん?」


 青い水が入ったような透き通る剣を実体化させ、同じ大剣使いである彼女に渡す。


「“ザ・ディープシー・カリバーン”、Aランク。水属性の聖剣らしい。詳細は、後でメルシュにでも聞いてくれ」

「あ、ありがとう……コセからのプレゼント」


 ルイーサの頬が赤い気が……そう言えば、あれからまだ告白の返事を聞いていない。


 離れている間に、新たに五人に手を出してしまったこと……ルイーサは知っているのか?


「ノーザンにはコレを」

「両刃の長斧ですか」


 船上で、モンスターにされた男が使っていた斧を渡すヨシノ。


「”ザ・ディープシー・ラビュリス”、Aランク。見たとおりの水属性です。それとこちら、”ブレイクラッシュアックス”、Aランク」


 くすんだ緑色の大斧で、柄が一メートル程。


「斧と鎚どちらとしても使え、鎚側に鎚を叩き込む事で、斧の刀身側にて、増幅したエネルギーを炸裂させることも可能です」


「それは……面白い使い方が出来そうですね」


 ノーザンの不適な笑みが怖い。


「タマさん、こちらをどうぞ。“蒼穹王の指輪”です」


 名前からして、蒼穹系の攻撃を強化する装備か。


「ありがとうございます、ヨシノさん!」


「これ、本当に貰って良いのかしら~♪ カナちゃん」


 タマの隣で喜んでいたのは、黄金の装飾の付いた黒いトンガリ帽子を被ったサトミ……見たことない帽子だな。


「わ、私が突発クエストで殺し……手に入れた”宮廷魔導師の帽子”、Aランクだ、だそうです!」


 地味モードのカナさんが、自分から積極的に話し掛けたのか……珍しい。


「そ、そう言えば、モモカちゃんに渡す物があったんでした」


 カナさんが、黄金色の卵? を実体化させた。


「これ、モモカにくれるの?」

「うん。そのために競り落としたんだもの」

「ありがとう、カナ!」


 とても無邪気に笑うモモカ。


 その様子を見ていたノーザンは、少し申し訳なさそうにしていた。


「オオー! 格好いい!!」


 ヨシノの説明を聞きながらさっそく装備したモモカ……の背から飛び出ていたのは、六枚の竜翼。


挿絵(By みてみん)


「モモカ……ますます可愛くない装備ばかりに」

「あのトゲトゲの首輪もどうにか出来ませんかね……ハァー」


 相変わらず、モモカを着せ替え人形かなにかだと思いたいらしいな、ジュリーとサキは。


「モモカ、バニラに渡したい物があるから、意思疎通を図ってくれる?」

「良いよー」


 言葉を話せないバニラに、なにを渡すつもり……と思ったら、アテル達と交換した“超赤竜の裂孔脚”に、アルファ・ドラコニアンが使用した“愚劣な無我の境剣”を実体化させた!?


 下半身を覆うような鋭いつま先と尻尾が付いた脚甲に、先端が丸味を帯びた鮮やかな赤い大刀。


「そうか、あの剣を装備するとスキルを発動できないけれど……」


 言葉を発することが出来ないバニラには、そんなデメリットなんて最初からあって無いような物。


「もしかして、脚甲の方にもその剣と似たようなデメリットが?」


「うん。コッチは身体能力強化に特化している分、攻撃的な武具効果を発動できないんだよね」


 強力だけれど、バニラにしか使いこなせそうにないな。


「アウー!! アウアウアウー!!」


「これは……喜んでるのか?」


 装備すると同時に、はしゃぎだしたように見える。


「バニラ、危ないから振り回しちゃメ! お手!」

「アウ!」


 モモカが手を差し出すと、瞬時に左手を乗っけるバニラ。


 ……一発で大人しくさせちゃったよ。


「マスター。もしかしてモモカちゃんは、私に憧れてバニラを飼いだしたのでは?」

「へ?」


 ジュリーが、自身の隠れNPCの発言に対して怪訝な表情を浮かべている。


 ……サキ。それはバニラに対して、いくらなんでも失礼すぎるだろう。


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