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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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289.魔神・琥珀樹

「かったいなー、コイツ」


 洞窟の中、ラウラさんが拳銃タイプの武器で、高さ一メートル二十センチほどのモンスターであるダイヤモンドドールを攻撃していく。


 砲身の下には、平行状に突起物が付いているけれど……なんなんだろう、アレ?


『ボォォ!』


 弾を弾きながら、接近してくるダイヤモンドドール。


「ソイツは、打撃武器の方が有効だよ」


 メルシュがアドバイスする。


「だったら問題無いね」


 右手の拳銃を……横に振りかぶった?


「”衝撃棒術”――インパクトブレイク!!」


 棒状の突起物をダイヤモンドドールにぶつけ、一撃で倒してしまうラウラさん!


 銃であり、打撃武器にもなるって事か。


 利便性が高いとも言えるし、器用貧乏とも取れそうな武器だな。


 強敵用に別の手札を用意している可能性が高い。


「代わりなさい、ラウラ。打撃が有効なら、やっぱり私の出番でしょう」

「しゃーないか」


 ラウラさんの代わりに出て来たのは、黒髪を左右でお団子ツインテールにしている、赤いチャイナドレスのユイリィ。


 彼女の得物は、金属製のトンファーか。


「――”撃衝”!!」


 向かってきたルビードールに綺麗なカウンターを決め、一撃で倒してしまうユイリィ。


 更には、太股を半ばまで覆う真紅の鋭い脚甲で高速移動――鋭い蹴りで、ドールモンスター達を次々と倒していく。


挿絵(By みてみん)


「アシェリー、ユイリィさんのサポートを」


 アテルが指示を出す。


「あいよ」

「私も加勢させて貰おう」


 タイタンのアシェリーとメグミが、道中のモンスターと戦い始める。


 どちらも打撃による攻撃手段を持っているからな。三人だけで問題なく対処出来ているようだ。


「ここには八種類のドールモンスターしか出て来ないから、このまま任せても良さそうだね」

「だな」


 メルシュの言葉に返事をする。


 大人数だし、モモカも居るこの状況での乱戦は特に避けたい。


「メルシュさん。このままなら、あとどれくらいでボス部屋に着けるのかな?」


「一時間も掛からないと思うよ」


 アテルの問いに、答えるメルシュ。


「そう言えば、次のステージはいきなり二十ステージなんだよな?」


 俺から話題を振る。


「旅行ルートは、メリットがあるぶん全ての島には行けないからね」

「その場合、二十ステージの隠れNPCの条件はどうやって満たすんだ?」


 大抵は、前のステージのダンジョン部分で満たすはず。


「二十ステージの隠れNPCはヴァルキリーなんだけれど、順当ルートで四つの島を巡らないと手に入れられない物が必要なんだよ。だから、私達はヴァルキリーを手に入れられない」

「しかも、レギオンを組んでいる人間には、そのアイテムを手に入れることも出来ない」


 アテルが会話に入ってきた。


「ヴァルキリーは強力らしいけれど、只でさえ狙われている僕等が長くバラバラなのは危険だし、既に他の人間に取られている可能性もあったから、ヴァルキリーはスルーすることにしたんだ」


 向こうの人数的にも、これ以上隠れNPCを増やすと厳しいだろう。


 隠れNPC同士では、本来パーティーを組めないから。


 四つの島の隠れNPCを一斉に手に入れようとした今回のやり方……アテル達は、結構危ない橋を渡っているよな。


 こっちの隠れNPCは六人でアテル達よりも多いけれど、クリスティーナは元々予定外だったし。


 全体の人数では勝っているとはいえ、それはモモカを頭数に入れているからだ。


「……もっと、強くならなきゃならない」


 俺自身だけじゃない。強力な武器も、スキルも、仲間も……もっともっと必要だ。



●●●



「ここのボスは、魔神・琥珀樹。弱点は風属性で、有効武器は斧。危険攻撃は、傷から樹液を噴き出して固めてくること。ステージギミックでは、その樹液がランダムに床から噴き上げてくるから気をつけて」


 ボス部屋前にて、いつものメルシュちゃんの、要点を掻い摘まんだ分かりやすい説明が始まる。


「樹液は水で固まるのを遅く出来るから、一応憶えておいて。それと、琥珀樹はその場から動かないから」


 今までは動物だったのに、今回は植物なのね。


「じゃあ、お先に~」


 私率いるリンピョンちゃん、メグミちゃん、クリスちゃん、モモカちゃんの五人でボス部屋の中へ。


「私達が一番最初で、本当に良かったのでしょうか?」


 リンピョンちゃんが、今更になって心配そうに。


「誰が最初でも、裏切られれば危険なことに変わりはないだろう。メンバーが多いパーティーが先にボス戦をクリアした方が、向こうでいきなり突発クエストに巻き込まれても生き残れる確立が上がるしな」


 メグミちゃんが、リンピョンちゃんを説得する。


「まあ……判ってはいるんだけれど」

「リンピョンちゃんは、コセさんが心配なだけだもんね~」

「わ、私はサトミ様一筋です!」


 とか言っちゃって、昨日はコセさんにスッゴく甘えちゃってたくせに♡


「コセ、危ないの?」

「大丈夫よ、すぐにまた会えるわ」


 不安そうになったモモカちゃんを、慰めてあげる。


「今はぁ、目の前の事に、集中しましょぉ」


 クリスちゃんが銃剣を構えたその先、奥で石の大樹が鳴動を始めた!


 緑の葉脈のような光のラインが流れ灯り、石の枝と葉を揺らしだす。


「行くわよ! ”魔法玉”、”颶風魔法”――ストームダウンブラスト!!」


 高威力の”颶風魔法”を玉状にし、動けない魔神へと発射!!


「”二重魔法”! ”颶風魔法”――ストームダウンバースト!!」


 枝で迎撃される前に頭上から嵐の重圧を叩きつけて、そこに”魔法玉”が直撃し――炸裂した!


「あら、本当に樹液を放ってきたはね」


 全身ズタズタにされて虫の息だからか、その傷口から樹液をドバドバだわ。


 昨日のコセさんみたい♡


「サトミ様!!」


 リンピョンちゃんが横合いからもの凄い勢いで抱き付いてきた直後――足元から黄色い液体が柱のごとく噴き出してきた!!


「危なーい。ありがとう、リンピョンちゃん」

「それ程でも」

「そのまま、私を抱えて動き回ってちょうだい」

「……へ、宜しいんですかぁ!?」

「宜しい、許可してしんぜよう♪」

「ありがたき幸せ!」


 なんだか、コントみたいになっちゃったわね。


「クリス!!」

「判ってまぁす!!」


 メグミちゃんが左右の盾から、クリスちゃんは指輪で呼び出した暗黒の盾で飛んでくる樹液を防ぎながら、あのエッチな名前の銃剣で銃撃を始める。


 でも、染み出す樹液に防がれて、ほとんどダメージが入ってなさそう。


 そうこうしているうちに、足元からの樹液噴水によって攻勢に出られなくなっていく二人。


「モモカちゃんは……」


「なにこれ、スッゴーい!」


 樹液の柱を避けながら……楽しんでる。


 前から思ってたけれど、あの子は大物になりそう。


「デカいのでトドメを刺す必要があるわね。リンピョンちゃん!!」

「お任せを!」


 特に説明していないのに、壁を駆けながら魔神に接近してくれるリンピョンちゃん!


 床からの樹液を避けながら、メグミちゃん達に狙いを定める琥珀樹へと急接近!!


 ――盾杖である”紺碧の空は憂いて”から、青白い燐光が漏れ出している!?



「行くわよ――――”魔力砲”!!」



 咄嗟に、神代の燐光をピンクの光芒に込めて強化!!


『グジュゥィゥゥゥゥィィィィッッ!!!』


 樹液の防御を貫いて、魔神・琥珀樹の身体に風穴を開け……光に変えた。


「凄いです、サトミ様! とうとう神代文字を物にしましたね!」


「ええ、そうみたいね~」


 これも、コセさんと合体したおかげかしら。ウフフフフフフ♡


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