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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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284.思わぬ出費

「宝石の数は……ダイヤモンドが20、トパーズが13、ルビーが28、アクアマリンが11、ペリドットが9、ガーネットが7、テルルが12、タイガーアイが13」


 メルシュが、砂場で手に入れた宝石の数を確認している。


「思ったよりは手に入ったけれど……ちょっと心許ないかな」

「”宝石魔法”は、対応する宝石を消費して放つんだったか」

「うん。触媒系はMP、TP消費無しで使用できる物が多くて、この魔法もその一つ。ただしその分、この”宝石魔法”はユニークスキルの中では弱い方なんだよね」


 魔法特化で、指輪武器以外の武器が使用できないメルシュにとって、MPの消費無しで使用できる魔法は相性が良い。


「じゃあ、この店で宝石を購入した方が良さそうですね」


 俺とメルシュ、トゥスカの三人だけでやって来たのは、このステージの冒険者ギルド向かいにある宝石店。先程拾った宝石と同じ物が売られているというお店だ。


 ”宝石魔法”を持っていない人間からすれば、まったく意味の無い店と言える……ように思えるけれど、ちょっとした隠し要素があるらしい。


 知らない人間からすれば、武具の素材になるわけでもない、ただ少し高く売れるだけのアイテムがある店にしか思えないだろう。


「さてと。全種類、二百個ずつ頂戴」


 一つ8000Gする宝石を全種類、二百個ずつ注文すると言い出すメルシュ。


 全部で1600……12800000(千二百八十万)G。


 不要な分は後で売れば良いとはいえ……別のステージでは一つ10000Gで売れるとはいえ、無駄遣いしている気が……これが、女に宝石やマンションを買ってあげる男の感覚なのだろうか……。


「大変多くの宝石を購入してくださり、ありがとうございます! お客様、コセ様を当店のVIP会員とさせて頂きます!」


 店員の丸々太ったスタイリッシュ髭の男が、ごまをすりながらなにか言ってきた。


「俺? メルシュじゃなく?」

「私は奴隷って扱いだから、その主人であるマスターが支払ったって認識されてるんだよ」

「……なるほど」


 モンスターを倒したりしたとき、俺は奴隷であるトゥスカとメルシュにもお金を分配するように設定していたから、すっかり忘れていた。


 本来なら、奴隷の分も主人が総取り出来る仕組みだからな。


「VIP会員の方には、特別な商品を日替わりで購入して頂けます!」


 いきなり、チョイスプレートが出現する。



○以下の商品を購入出来ます。


★燃え盛るガーネットリング 2600000(二百六十万)

★エターナルダイヤモンドリング 10000000(一千万)

★野獣王の指輪 55000G



「たっか……」


 真ん中のだけ、ずば抜けて高い。


 まあ、宝石なら数億するのもあるから、円で考えるとそこまでではないんだろうけれど……いや、詳しくないからよく判らない!


「……さっそく、エターナルシリーズが手に入ったか」

「メルシュ?」


「これ、全部購入で」


「メルシュさんッ!!?」


 幾ら購入可能とはいえ、ちょっと相談していただけませんかね!


「この”エターナルダイヤモンドリング”って言うのはね、ダイヤモンドを触媒にする能力を消費無しで使用できるの」


挿絵(By みてみん)


「それは……」


 つまり、元を取ろうと思ったら……千二百五十回使わないとって事ですが?


「あの……さすがに勿体な……」

「指輪自体にも効果があるし、使用回数分以上の価値はあるよ」


「へー……」


 トゥスカに、視線で助けを求める。


「まあ、今回くらいは宜しいのでは?」


 そっちの味方ですか、トゥスカさん!


「安心してよ。出来るだけダイヤモンドの魔法しか使わないようにするから。ダイヤモンド系は利便性が高いし」


 メルシュがなにも考えずに購入を決めたとは思っていないけれど……エターナルシリーズって事は、他の宝石に対応した指輪もあるんだよな?


「……今回だけだからな」

「ありがとう、マスター!」


 貢がされる男の気持ちが判ったかもしれない……被害者的な意味で。


「ご購入、ありがとうございます!」


 まあ、今回だけだからな。


 などと思っていた俺を殴りたくなったのは、そう遠くない未来の話。



●●●



「一回1000Gで豪華賞品が当たるクジ、引いてはみませんかー!」


 宝石島のお店が建ち並んでいる一角にて、NPCが呼び込みをしている。


「もう一回……もう一回よ」

「おい、さすがにもう止めておけって」


 十回もクジを引き、そのうち八回ハズレだったサトミがムキになっている。


「大丈夫よ、メグミちゃん。宝石一個が10000Gで売れるんだもの。元は取れてるわ!」

「取れているうちにやめろと言っているんだ!」


 二回の当たりは、いずれも宝石だから良いような物の、他のは大して意味の無い粗雑シリーズや初期装備の鉄製武器。


 メルシュからは、Aランクアイテムがごく稀に出て来る事はあるけれど、基本的に損すると思った方が良いと言われている。


 その証拠に、十回全部ハズレを引いたリンピョンとクマム、クリスは隅っこで落ち込んだまま。


「やだやだやだやだ!」

「ごねるな!」


 子供っぽい所を見せてくれる事に関しては、ちょっと安心出来るけれど。


「モモカもやりたい!」


 ああ……言い出しちゃったよ。


「……そうね。モモカちゃんに十回引いて貰って、終わりにしましょう」

「フー」


 モモカのおかげで、冷静を取り戻してくれたか。


「十回お願いします」


 手が届かなそうだったため、私がモモカを抱えてやる。


「あいよ! 好きなのを引きな!」


 店員が差し出してきた箱の上から伸びる無数の紐の中から、モモカが最初の一本を引く。



○”高周波岩の欠片刃”×2を手に入れました。



「これは……」

「《日高見のケンシ》が欲しがっていた武器ね」


 これは、地味に良い物が手に入ったんじゃないか?


「でかした、モモカ!」

「モモカ、良いの当てたの?」

「ええ。やるわね、モモカちゃん!」

「へへへ」


 本当に、この子は愛らしいな。


 それからモモカが当てたのは、順に”粗雑なナイフ”、”鉄の短剣”、”トパーズ”、”賢者”のサブ職業、”粗雑な槍”、”反骨戦士のスキルカ-ド”、”古びたサーベル”、”光魔の指輪”。


 ここまで手に入った物だけでも、売れば元は充分過ぎるほど取れるだろう。


 良くも悪くもないが、マイナスじゃないだけマシだな。


 さすがに、Aランクの武具やスキルは手に入って居ない。


「これで最後よ、モモカちゃん!」

「うん、頑張る!」


 いや、クジ引きに頑張るもなにも無いだろう。


「――ハイヨー!!」


 なに、その気合いの入れ方?



○”意思疎通の首輪”×2を手に入れました。



「「……なにこれ?」」


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