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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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279.人形殺しの魔女

 ――壊れた子供達が再び動き出し、僕達に襲い掛かってくる。


 数は、残り十二人。


 大したスキルは使ってこないけれど、ザッカルさんから離れすぎるわけにもいかないし、カナさんはまともに戦えそうにない……僕が、さっさと数を減らさないと。


「「”火魔法”――フレイムバレット!」」

「――”破邪忍耐”!」


 青白い気を斧と身体から噴き上げ、防御能力を劇的に強化した状態でザッカルさんとカナさんを守る壁となる!


「”瞬足”――――”極寒断ち”」


 武器ごと、”極寒忍耐の破邪魂”の力で男の子を両断し、凍結――光になって消えていく。


 ……初めて人を殺したときは、その瞬間は感覚が麻痺してて……次の日から、殺した相手の眼差しや感触がフラッシュバックし続け……暫く、身体に気力が入らず、頭もその事にばかり囚われていた。


 その時にずっと考えていたのは、自分が正しいと証明するための理屈探し。


 でも、そんなのは全て言い訳。自分の心を守ろうとする醜い張りぼての盾にしかならない。


 叔父さんに改めて道理を説かれ、それを時間を掛けて僕の中で昇華していき、なんとか乗り越えたっけ。


 僕には教え導く人が居たから乗り越えることが出来たけれど、コセ様や他の皆は自力で乗り越えた人達が多そう。


 必要に迫られてって感じだけれど、皆、誰かを殺したことに言い訳しないというか……ちゃんと、そこから逃げずに向き合っている人達が多い気がする。


 僕はこのゲームに参加させられる前に覚悟を決めていたけれど、もしコセ様達みたいに突然この世界に放り込まれていた場合……僕は、今みたいにちゃんと戦えたのだろうか。


「”雪玉発射”!」


 左手から雪玉を連射し続け、子供達を牽制!


 正直、今のうちにカナさんに片付けて貰いたい所だけれど……あの様子じゃ無理――



「もう――――ウンザリなのよ」



 目にも止まらぬ早さで振られたカナさんの鎌が――男の子の首を刎ねた。


「こ、この人達……酷い」

「全然、僕達に大人しく倒されてくれない!」

「仲間を殺してんじゃねーぞ、クソババア!!」



「あーー、ウザ」



「ゴブッ!!?」


 下から大鎌を振り上げ、胸を貫くカナさん……この感じ、ナイトモンキーの群れと戦っていた時に似てる。


 ううん。むしろ、もっと深くて暗い……。


「ガッ!!」

「ヤメ――」


 ”宵闇の暗闘を制せよ”の、刃が付いていない方で頭を横殴りにし、その反動で後ろに回り込もうとしていた子供の頭を刎ね、別の男の子のお腹を思いっ切り蹴り上げた!


 その容赦のなさと無駄のない流麗な動きは、達人のそれを思わせる。


「なんで……友達を殺すなよーーーッ!!」

「友達? ――くだらな」


 鎌でお腹を刺し、そのまま空中に持ち上げる……カナさん。


「お前達は私達になにをしようとしたの? その事を考えれば、当然の報いだとは思わない?」


「痛……い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイダイぃぃぃッッ!!!」


「誰かに洗脳されて、狂ってしまったのは解るわ。自分達じゃどうしようもなかったのも理解できる。でも――女をオモチャにして殺してでも生き続けることを選んだのは――――お前らだよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」


「た、助け――」

「――ハイパワーサイズ!!」


 浮かせていた子供を放り投げ……派手に引き裂くカナさん。


挿絵(By みてみん)


 その手の鎌には……紫色に濁りかけた神代文字が三つ……。


 コセ様の時のように暴走しているわけじゃないけれど、あの色は一体……。


 でも、文字を刻めたって事は、強い神性に目覚めたということ……のはず。



●●●



「あ……ぁあ」


「その顔、自分が殺される側になった時の覚悟なんてしてなかったみたいね」


 この子達がもし、私の世界の一般的な家庭に産まれ、義務教育を受けて育ったとしても――()()()()()()()()()()



「――――世界の負け犬が」



 最後の一人の脳天に”宵闇の暗闘を制せよ”を振り下ろし、終わらせてあげる。



「”爆裂魔法”――エクスプロージョン!!」



 小さな火球が目の前に突如生まれ――瞬時に膨張していく。


「――”魔斬り”」


 炸裂するよりも早く、火球を切り裂き消した。


「チ! ダメか」

「あーあ。全滅させてくれやがったよ、コイツら。ガキ共に幾ら使ってやったと思っていやがる!」

「まあ、良いじゃないか。そろそろウザったくなってきてた所だし」

「稼がせて貰ったし、女も出来るだけ傷付けずに捕まえてくれてたんだ。ちょっとは感謝しようぜ、お前ら」


 四人の男達が、私達の前に現れる。


「あの子達に、一体どんな教育をしたのかしら」


「お、聞いてくれる?」

「十六ステージにガキが売られている商館があってさ、試しに一人買って、他のパーティーの女を誘導させたわけよ」

「そうしたら、思いのほか上手くいってな!」

「ガキだってだけでどいつもこいつも油断してくれるから、攫うのも殺すのも楽だったぜ」


 意匠の凝り具合から、高ランクと思われる武具を手にする男達。


「見ろよ! この装備のほとんどが、あのガキ共のおかげで手に入った物だ!」

「最初の奴は、人を殺すのはもう嫌だ!! とか言ってウルセーから、つい殴り殺しちまったんだよな」

「アイツ、顔ブッ潰れてたよな。あれ、マジでグロすに。次の日、たった三食しか喉を通らなかったよ!」

「普通に食ってんじゃねぇか!」


「「「「ハハハハハハハハハハハハハ!!」」」」


「気持ち悪い!」

「ここまで胸糞悪い人間が……本当に存在するなんてね」


 いや、潜在的には、誰だってこういう側面を持っている。


 ただ、現実が己に干渉してきたときの自分に自分が勝つか、耐えるか、負けるか。


 人間は、ただそれだけの差でしかないんだ。


 ――鎌に文字が……いつの間に。


 それに……文字が紫から青になっていく?


「まあ、その時の反省を踏まえて、俺達はアイツらにご褒美をやることにしたわけだ」

「まずセックスを見せ付けるだろう? 自慰を覚えた所で、俺達でも難易度がたけー醜女とヤらせてやるわけよ」

「そしたらさ、またヤりたさにビックリするくらい従順になってくれんだよなー! いや、ほんとビックリ」

「セックスは麻薬みたいな物って言葉の意味が、なんとなく分かった気がするぜ!」

「なに格好つけて頭良さそうなフリしてんだよ、お前! 気持ちわりーんだよ!」

「うるせー、たまには良いだろうが!」


「「「「ハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」」」」


 本当に……頭がどうにかなってしまいそうだ!!


「んじゃ、大人しく捕まってくれよ、お嬢ちゃん達」

「腕とか脚が無かったりするとさ、さすがに萎えちゃうからさ」

「屍姦はあんま気持ち良くないしよ」


 屍姦……てことはコイツら、この世界に来る前から……。


「四対二だ。そこの寝てる女を守りながらじゃ、俺達に勝てっこねーぜ」


 どうやら、私達に声を掛けてきたチャラ男がコイツらのリーダーだったみたい。


「アンタは、私が殺してやる」



「だったら、我々も加勢してやろう」

「話は聞かせて貰ったからなぁ!」



「貴女たちは……《日高見のケンシ》の……」


 確か、フランス人のアデールに水牛獣人のバッファ。


「ゲ! コイツらは……」

「前に、問答無用でガキをぶった切った女の仲間!!」


「ああ、やっぱりお前らだったのかよ、あれ」

「ならば、遠慮は要らないな」


 バッファが大きな鎚を。アデールが細剣を抜いた!


 でもこれで――一対一で、あの男をぶちのめせる。


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