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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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266.競りのあとに見出した物

「オークションに出るのは、全部で十個でしたよね?」

「なら、残り半分か」


 ノーザンちゃんとザッカルが、なにか言っている。


『続いての商品は、”双頭の竜杖”。あの伝説の双子の魔女が用いていたとされる杖です!』


 いや、さっきから思ってたけれど誰の事よ!


「Sランクか。これも悪くはないんだけれど、竜属性メインの魔法使いがいないから――」


『額は1000000(百万)Gからです!』



2000000(二百万)!!」



「「「「……へ?」」」」


 誰かが値段を吊り上げる前に、いきなり値段を倍にしたったわ!


「に、2100000(二百十万)

2150000(二百十五万)


 心なしか、NPCがビビっているように見える。


 値段は順調に吊り上がり、さっきのラクシャータとかいう魔女が最後に値段を吊り上げて2870000(二百八十七万)Gへ。


3500000(三百五十万)

「お、おい、サキ?」

「チ! 4000000(四百万)G」


 舌打ちしてくるとは良い度胸じゃない!


6000000(六百万)!!」


「さ、さすがにまずいのでは?」

「おい、やり過ぎだぞ、カナ」


「仕方ありませんね……7000000(七百万)!」

7500000(七百五十万)!!」


「「「「ちょ!?」」」」

「…………8000000(八百万)


 ここでようやく手を引く!


『おめでとうございます! ”双頭の竜杖”、ラクシャータ様が8000000Gで購入です!』


 これで、先の1800000(百八十万)Gの出費と合わせてほぼ所持金を使い切らせた……あと二人。


「お前……よくやるな」

「さすがにビビった……格好いい」


 ザッカルとユイちゃんが褒めてくれる。


「アイツら、絶対に破産させてやる」


「……アンタ、オークションの主旨が変わっちまってないかい?」


 もう絶対に許さない、このミニゲーム!


『お次は”魔女の軟膏(なんこう)”×5、10000Gからです!』

「急に値段が落ちたな」

「レア度が大して高くもない消耗品だからね」


「じゃあ、十倍の100000(十万)Gで」

「「「「いきなりの桁上げ!?」」」」


110000(十一万)

120000(十二万)

130000(十三万)


 140000(十四万)と宣言したのは、金髪の大金持ちNPC。


280000(二十八万)

560000(五十六万)

1120000(百十二万)


 倍々合戦に突入。あとは上手く調整するだけ。


2240000(二百二十四万)


「これ以上は無理か」


 手を引くを選択。


『”魔女の軟膏”×5、カテリーナ様が2240000Gで落札!』


 まだ半分以上資金を残しているはずだけれど、大勝負になったさいには敵じゃない。


 なにせ、こっちの軍資金はまだ20000000(二千万)G近くもある。


 あとは、残り三品にどんな物が用意されているのか。


『次の商品はこちら、超限定商品の”宵闇の暗闘を制せよ”!』


 また黒い鎌が! しかも、さっきの”魔術師殺しの大鎌”よりも私好み!


『こちらの商品、300000(三十万)Gからです!』


600000(六十万)!」


 あのデブ魔女、またいきなり値段を倍に――でも、ここで倍の額を提示すれば確定で手に入る!


1200000(百二十万)!!」


『おめでとうございます! ”宵闇の暗闘を制せよ”、カナ様が1200000Gで落札です!』


 よし、かなり安く買えたわ!


「Bランクだけれど、神代文字対応だろうから良いかね」


 あ、ついシレイアさんの意見を聞かずに購入してしまった!


『続いての商品は、滅びと夜の魔女が用いたという伝説の武具、”殲滅のノクターン”!!』


 会場内から大きなどよめきが!


 銀の装飾が特に先端部分に施された、黒い綺麗な大杖。


「攻撃魔法の威力を一点五倍、夜なら二倍に上昇させるSランクの強力な杖……カナ、あれは競り落とすよ!」


 シレイアさんがマジだ。


『こちらは目玉商品となりますので、1000000(百万)Gからのスタートです!』


 そこから順当に吊り上がり、1700000(百七十万)に。


 しかも、最後吊り上げたのは金髪の紅いドレスの大金持ちNPC。


「なら、ここはちょっとずつ」


 1800000(百八十万)Gで申請。


3600000(三百六十万)

「く!?」


 小刻みに上げようとしたのに、値段を倍に吊り上げられた!!


「……3800000(三百八十万)

5000000(五百万)


 あの女、所持金ギリギリまで吊り上げるつもりか!


 まさかとは思うけれど、デルタって奴等が直接指示しているわけじゃないでしょうね!


「シレイアさん」

「彼女の残りは5120000(五百十二万)だよ」


 すぐに5120000と入力。


『おめでとうございます! ”殲滅のノクターン”は、5120000Gでカナ様が売却です!』


 あの大金持ちNPCが持っているはずの所持金と同じ額を提示することで、ロスを出来る限り抑えた。


「結構使ってしまった」

「いや、魔法使い専用の利便性の高いSランク装備だ。五百万ならむしろ安い方さ」


 シレイアさんが労ってくれる。


 ここまでで七百万の出費……相場とかよく分からないけれど、安く済ませられてるのかな?


 幾ら二千万も預かってるからって、今後のためにも、出費は抑えられるときに抑えておいた方が良いだろうし。


 こんな大金、前のレギオンなら貯める事なんて不可能だったろうな。


「次が最後か。”殲滅のノクターン”ってのよりも凄いのがでんのかね」


 ザッカルの言葉により、気持ちを切り替えて次の競りに意識を集中させる。


『本日最期を飾るのは――”光輝竜の六翼”です!』


「おん?」


 シレイアさんが妙な反応を。


 ステージに運ばれてきたのは、金色の厳かな光を放つ六枚の翼?


 ジュリーちゃんが使う翼にちょっと似ているけれど、コッチの方がデザインがワイルドで頑丈そう。


「最後だから当然だけれど、やたらSランクが多いね」


 シレイアさんがなにかを訝しんでいる?


「あの翼、竜に関係ありそうだし、モモカに似合いそうだな」


 ザッカルって、結構モモカちゃんを気に入っていそう。


「防御能力が高いし、確かにモモカにピッタリだね」

「なら、競り落としますね」


 モモカちゃんを守るための物なら、私だってお金を惜しみたくない。


 大丈夫……大金持ちNPCの限界所持金を超える額を持っている私達なら、なんの問題も無く競り落とせるのだから!


「魔女ならずとも手に入れたくなるこの至高の一品! 3000000(三百万)Gからスタートです!」



「――6630000(六百六十三万)!!」



 太った大金持ちNPC、ノバークが、またいきなり値段を吊り上げた!


「所持金を全額振り込んできたか」

「これ、倍の額にすれば確実に競り勝つってパターンだよな!」

「なら!」

 

 ザッカルさんの言葉に、倍の額にしようとした所で――指を止める!


「所持金……全部を掛けた?」


 てことは、わざわざ倍の額にしなくても競り落とせるはず!


 これはおそらく、少しでも所持金を失わせようというデルタ側の罠!



6640000(六六十四万)で」



『おめでとうございます! なんと、6640000Gで競り落としたのは、カナ様だーーー!!』


「……あっぶねー。ワリー、カナ」

「ううん。むしろ、ザッカルのおかげで気付けたかも」


 私は相手の考えに疑問を持つ癖があるから、シレイアさんの言葉もあったおかげで気付けたようなもの!


「シレイアさんも、ありがとうございます」

「ナイスだったよ、カナ」


『今宵の魔女オークションはこれにてお開き。よき競りを、ありがとうございました!』



○”シュヴァルツヴァルトブルーム”を競り落としました。

○”宵闇の暗闘を制せよ”を競り落としました。

○”殲滅のノクターン”を競り落としました。

○”光輝竜の六翼”を競り落としました。



 来た通路を上りながら思う。


 大金を掛けて物を競り落とす……この行為に悦を見出し、それ故に嫌悪感を感じる私は……どこかおかしいのだろうかと。


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