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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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265.魔女のオークション

『まずは一品目、青の魔女様が使用したと言われる”ブルーバブルロッド”』


 暗い舞台の上に白バニー姿の女性が現れ、先端が泡立ったような意匠の杖を運んできた。


 ……あんな格好、私なら無理。


『水属性を強化し、世にも珍しき”泡沫魔法”が使えるようになるという一品です!』


「シレイアさん」

「ランクBだし、うちには水属性特化の魔法使いは居ないし……要らないね」


 なら、ジュリーちゃんから教わった通りにしてみよう。


『こちらの貴重な品、300000(三十万)Gからです!』


 司会の女性がそう言うなり、チョイスプレートが表示され、オークションの品の写真と値段が表示される。


330000(三十三万)

360000(三十六万)

390000(三十九万)

500000(五十万)


 NPC達が、どんどん値段を吊り上げていく。


 これって様式美らしいけれど、意味が無い気がするのは私だけ?


『現在660000(六十六万)G。現在660000G。他に、どなたかおりませんか!』


 最後に値段を吊り上げたのは、金髪の紅いドレスの人。


 オークション会場に必ず三人は居るという、大金持ちという設定のNPCの一人。


 私はチョイスプレートを操作し、値段を倍の1320000(百三十二万)Gへ。


『出ました、1320000G!! 1320000Gです!!』


 彼女達、大金持ちNPCには所持金が設定されており、初期に使い切らせないと、後のランクの高いアイテムが出て来た際にどんどん値段を吊り上げてしまうのだそう。


 それを封じるには、早い段階で所持金を使い切らせる必要がある。


 そのための手段の一つが、大金持ちNPCが値段を吊り上げた直後に倍にするというもの。


 ただし、私の所持金より上の額を提示することは出来ない。


「ッ! 2640000(二百六十四万)Gよ!!」


 プライドを傷付けられた、侮辱されたと思い込み、値段を倍にする……という裏設定があるらしい。


『2640000G! さあ、他の方はどうします!』


 大金持ちNPCの所持金は、一人10000000(一千万)G。


 既に所持金の四分の一の額を超えている。ここで私が倍にしても向こうの所持金オーバーとなるため、金持ちNPCは乗ってこない。


 もしここで倍にしたら5280000(五百二十八万)Gで”ブルーバブルロッド”を購入しなければならなくなるため、ここで手を引くことを選択。


『おめでとうございます、カテリーナ様! ”ブルーバブルロッド”、2640000Gで落札です!』


 こうやって、私達が欲しい物を出来るだけ安く手に入れられるように調整するのが、このオークションミニゲームの醍醐味なのだそう。


「まあまあ上手くいったね。四分の一以上を使わせたよ」 

「残額の記憶をお願いします、シレイアさん」


 大金持ちNPCの残額をちゃんと記憶しておかないと、しくじってしまう可能性が上がる。


「任せな」

『次の品はこちら! 炎と情熱の魔女が愛用したとされる、”カナンの腕輪”です!』


 紅い数珠のような輪っかが運ばれてくる。


「Aランクか。火属性特化には悪くはないけれど、煉獄を強化する装備が充実しているユリカには今更かな」

「分かりました」


 なら、出来るだけ高値で大金持ちNPCに買わせる。


『こちらの品、400000(四十万)Gからとなります!』

420000(四十二万)!」

440000(四十四万)!」


 値段が釣り上がっていくも、最初の五回の吊り上げに大金持ちNPCと思われる三人が誰も参加しなかった。


 この場合、どれだけ値段を吊り上げても大金持ちNPCは参加してこないというパターンに入ったということ。


 私は早々に手を引くを選択。


『おめでとうございます! ”カナンの腕輪”は、540000(五十四万)Gでマルガレータ様が落札です!』


 ……だんだん緊張してきた。


『お次の商品はこちら! 黒き森の魔女が作った一品、”シュヴァルツヴァルトブルーム”!』


 黒バニーちゃんによって、サドル付きの真っ黒なほうきが運ばれて来る。


「なんとも微妙なのが出て来たね」

「というと?」

「魔法使いが跨がればMP・TP消費無しで空を飛べるし、飛行速度もかなり速いんだけれど……」


『こちらの商品は、600000(六十万)Gからとなります!』


660000(六十六万)!」

700000(七十万)!」


「とはいえ、これといってうちのレギオンメンバーに合っているかというとね」

「なら、止めておきましょう。大金持ちNPCが食い付いたようですし」


 最後じゃないけれど、大金持ちNPCの一人が値段を吊り上げた。


『現在780000(七十八万)! 780000Gです! どなたか他におりませんか!』


 私が790000(七十九万)Gに吊り上げる。


 一度でも大金持ちNPCが食い付いたなら、どこかで必ずまた値段を吊り上げる。


 その時に値段を倍にすれば……。


『おめでとうございます、カナ様! こちらの商品、”シュヴァルツヴァルトブルーム”は、790000Gでカナ様が落札です!』


「…………うそ」


 なんで誰も食い付かないの!?


『続いての商品は、あの栄光の魔女愛用の杖、”栄光の杖”です! こちらは700000(七十万)Gからになります!』

「私らは複数持ってるから、今回は本当に要らないね」

「ご、ごめんなさい……」

「まあ、ドンマイ」

「こういう事もある」


 ザッカルとユイちゃんが慰めてくれる!


「スー……ハーー」


 とにかく落ち着いて、精神を安定させなきゃ!


830000(八十三万)G」


 最後に値段を吊り上げたのは、異様に太った大金持ちNPCと思われる魔女。


 倍にして値段を吊り上げる!


1660000(百六十六万)! 1660000Gです!」

「生意気ね! 3320000(三百三十二万)よ!」


 これ以上は無理か。


 手を引くを選択。


『こちらの”栄光の杖”、ノバーク様が3220000Gで落札です! おめでとうございます!』


「ナイス」

「冷静な対処、お見事です」


 シレイアさんとノーザンちゃんが褒めてくれる。


「ありがとう、みんな」


 やっぱりこのレギオン……居心地良いな。


『続いての商品はこちら、数多の大魔法使いを葬りし曰く付きの武具、”魔術師殺しの大鎌”! 900000(九十万)Gからです!』


 黒い刃に紅い柄の不気味な鎌!? ……格好いい!!


1800000(百八十万)!!」


 いきなり値段を倍にしたのは、大金持ちNPCの一人と思われる異様に長い赤髪の女性!


 しかも、他のNPCが誰も値段を吊り上げない!?


「これ、値段を倍にすれば確実に落札できるパターンだ!」


「あれって、タマさんの”魔術師殺しの槍”と同種ですか?」

「ああ、大鎌っていう点を除けば、ほぼ同じ性能のSランクだよ」


 ノーザンちゃんに応えたシレイアさんの言葉に、益々欲しくなってしまう!


『どなたか、他にいませんか?』

「ど、どうします?」

「鎌を使うのはカナだけだし、カナ次第って所かね」

「な、なるほど」


 倍にすると3600000(三百六十万)G……3600000GでSランクが一つ手に入ると思えば……良い買い物なのでは?


「よし!」



『他に居ませんね? おめでとうございます! 1800000Gで、”魔術師殺しの大鎌”はラクシャータ様の物です!』



 ――――――は?


「まさか…………時間切れ?」

「……カナ?」


 このオークションミニゲーム……絶対に許さない。


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