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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第8章 邂逅のケンシ達

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261.宿泊場所の確認

「良いところですね~」


 南国風のホテルで宿泊することになったのは、プールに囲まれた風通しの良いコテージのような場所。


 空気もカラッとしていて、流れる水の音が心地良い!


「エロくない格好なのに、珍しく元気いっぱいだな、カナ」


 ザッカルが、イヤラシイ目で私を見てくる!


「ま、まあ……たまには」


 ちょっとだけれど、これでもこのレギオンに所属するようになってから良くなって来ている……はず。


 そう言えば、コセくんに対しては軽蔑的な感情があるからか、変に緊張したり畏まったりしていない。


 むしろ、楽ですらある。


 今までの男子と違って、押しつけがましくないって言うか……それでいてナヨナヨしているわけでもなく、自分の考えを持ちながら相手の意見も尊重してくれるコセくん。


 自分の意見を通すときは相手を押さえ付けるのではなく、しっかりと納得して貰おうと心掛けているようにも見えたし……。


 これで、女癖さえ悪くなければ…………イヤイヤいや、年下なんて好みじゃないし!


「いきなり顔を真っ赤にして、どうした?」

「な、なんでもないから!」


 なんでコセくんなんかの事で、私が一喜一憂しなきゃいけないのよ!


「どうする? 今日一日はゆっくりして、明日から行動を開始するかい?」


 シレイアさんが尋ねてきた。


「ユイちゃん次第で良いですよ」


 このパーティーのリーダーはユイちゃんなので、彼女の判断に従うつもりだった。


 ちょーっとだけ、早く攻略してしまいたいとも思ってるけれども。


「皆は……どうしたい?」

「一刻も早く二十ステージに進んで、コセ様達と合流出来るようにしておくべきかと」

「俺はどっちでも良いな。あんま急いで、俺達しか居ない状況で突発クエストに巻き込まれんのも嫌だし」

「それを言うなら、今も充分危険だけれどね。カオリ達以外のプレーヤーを見ていないから、突発クエストが起きたときに私らだけで対処しないといけないかもしれない。まあ、他のパーティーが居ない方がマシかもしれないが」


 ノーザンちゃんとザッカル、シレイアさんの意見を聞けば聞くほど、なにを選ぶべきか分からなくなってくる。


「魔法の家の空間じゃないから、このコテージに直接プレーヤーが仕掛けて来る可能性もあるしねぇ」


 シレイアさんの指摘。


 一部壁がなくて、四六時中外から中が見える部分もあるし……そう考えると私達、今凄く危険な状況なのかも。


「どうする、マスター?」

「全員、常に余力を残すように心掛けながら、二十ステージに進む準備を早めに進めよう。二十ステージにはカオリお姉ちゃん達が居るだろうから、突発クエストが起きてもここに居るより安全なはず」


 ユイちゃんが……もの凄く頭良さそうに見える!


「アイツらが襲ってくる心配もあるだろう。古城での突発クエストみたいに、プレーヤー同士の殺し合いをさせられる可能性だってある」

「その時は……腹を括るしかないよ」


 適当な気もしますけど、実際それしかないですね。


「なら念のため、睡眠は交代制にした方が良いのかな?」


 私から、思い付いた事を口にしてみる。


「確かに、就寝中にクエストが始まっても、誰も気付かないなんて事がありそうですもんね」

「ああ、なら二人ずつで交代しな。私は眠らなくても問題ないから」


 シレイアさんが、そんなことを口にする。


「シレイアさんも……普通に寝るよね?」

「一応眠気はあるけれど、普通の人間と違って思考能力が低下したり身体が不調をきたしたりすることはないから安心しな。合流してから眠れば良いだけの話しだしね」


 疲れとかも無いみたいだし、確かに一パーティーに一人は隠れNPCが居る方が助かるみたい。


「それじゃあ……地下の魔女オークションが始まる夜まで、島の森の方に行こうか」


 メルシュちゃん達に頼まれていた物を、採取しに行くんですね。


 グギュルルルルルルー!!


 誰かの、お腹の音が盛大に鳴り響く。


「ハハ……その前に、どっかで飯食おうぜ」

「フフ、そうだね」


 恥ずかしがりながら提案するザッカルが、思いのほか可愛く見えてしまった。



●●●



「……変なホテルね」

「まあね」


 土っぽい材質で出来た白い家を見たユリカの意見に、同意する。


 なにせ、一階部分に当たる場所が五つの細い金属の柱のみで、住居は二階部分にしか無いのだから。


「世界には崖から部屋が生えた物や、ほとんど外にベッドがあるだけだったり、硝子張りで外から丸見えのホテルもあるから……」


 海の中のホテル、なんていうのもあったっけ。


「良い眺めですよ、皆さん!」

「「もう登ってるし」」


 ロビーで鍵を借りて来たタマが、梯子も使わずに”蒼穹を穿て”で上がり、二階の玄関前ではしゃいでいた。


「私達も参りましょう」

「これ、パンツが見えないように注意しないといけませんね」


 などというヨシノとサキだが、二人とも蔦と鞭を使って一瞬で登ってしまう。


「そう言えば、この服だと飛行しているときにパンツ見えちゃうのか」

「まあ……仕方ないよ」


 魔法使い向けの衣服は、どれも下からの防御が甘いし。


 幸い、私達のレギオンにはコセ以外の男は居ないから、大して問題にならない。


 外套とかも装備しているから、そうそう見られることも無いと思うけれど。


 そんなこんなで、背から翼を生やしてさっさと二階に行く私達。


 今の段階で”飛行魔法”以外の、高い機動力のある飛行手段が手に入っているのは運が良い。


 まだ大分先だけれど、優れた飛行手段が無いと詰んでしまうステージが幾つかあるからね。


「へー、内装は木製なんだ。なんだかあべこべな感じの家ね」


 お父さん達……どういうつもりでこの家をデザインしたんだろう。


「それじゃあ、少し休憩してからおまもりを探しに行こうか」


 おまもりの入手には、結構な時間が掛かるから。


「あ、ハンモックがある。憧れてたのよね、ハンモック」


 ユリカが、私の言葉を無視してハンモックにダイブ……危な。


「ちょっと湿気が強いですけど、風があって気持ちいいですね」


 タマは獣人だからか、湿度に敏感なのかな?


「今日一日くらいはゆっくりしても良いかも」

「後で一日ゆっくりするのと、最終日まで泥だらけになるの……どっちが良い?」


「「へ?」」


 おまもりの入手法方を知らないユリカが、面白いように引き攣った顔を浮かべていた。


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