251.発電室へ
『『『ウフフフフ』』』
半裸の白眼美女達がトライデント持てぇ、通路走る私達の前に立ち塞がりまぁす。
手脚とヒップ周りが黒いシェルっぽくなければ、ベリベリナイスビューティフルでぇすね!
あの胸のラインがぁ、堪らんとぅですよ!
「おさらばでぇす!」
引き金を引いて、眉間を撃ち抜きまぁした!
二体目のトライデント、邪魔でしたので、一発撃って弾かせぇ、二発目で胸をズッバンしてやぁったよぉ~!
「クリス、MPは大丈夫?」
「まだまだ大丈夫でぇっす!」
“甘い花弁の刹那”は“魔力弾丸”を撃ち出すため、MPを消費しまぁす。
「“可変”」
銃から剣の状態に戻してから“薔薇騎士の剣”と共に振るい、銛による一突きを右の銃剣で逸らしながら、左の騎士剣で喉を切り裂きまぁした。
「“爆走”」
爆発的な加速力を乗せたトゥスカさんの蹴りにより、私を狙っていた深海美女の顔面が……容赦なく蹴り飛ばされまーす。
更に、緑の風を纏う斧で、硬そうな深海モンスターを容赦なく切り潰すトゥスカさん……デンジャラスでぇす。
アメリカ人男性ならぁ、裸足で逃げ出しそうなくらいでぇすよ。
セフレともかぁく、結婚相手には選ばれなさそぉでぇす。
まあ、ジョークですけどぉ。
『『『フハハハハハハ!』』』
「うるさい!! “爆走”!!」
空中で足裏から黒煙を噴射し、見事な回し蹴りを叩き込むトゥスカさぁん……美女モンスターの首折れるの、グロでーす。
「爆裂脚!!」
そのまま脚からボンして、三体の深海美女を爆殺しまぁした……恐ろし。
「トゥスカ……なんか怒ってないか?」
「まだ腹の虫が治まってないみたいだね」
「あんなトゥスカさん手懐けてるコセさん、マジヤバヤバでぇすね」
インディアン以外、本当に裸足で逃げ出しそうでぇす。
そう言えば、インディアンと髪の関係性の論文を見たことがある気がしまぁす。
確かぁ……インディアンはぁ、不思議なくらい地雷などの罠を避ける。けどぉ、髪短くしたらぁ、その能力消えた……らしです。
コセさんが髪を切ろうとしてメルシュ達が止めたのぉ、それが理由だったりするですかねぇ?
「あちゃー」
「どうしたんだ、メルシュ?」
「モンスターから“機関士”のサブ職業がドロップしちゃった」
「「ああ……」」
現実はぁ、中々儘なりませんねぇ。
「“深海のハープン”も手に入ったけれど、ランクはCだから微妙だし」
「メルシュ、急ぎましょう」
「そうだな。デカいのは通路には現れないみたいだが、その分小回りの利く奴が出て来た」
空中を泳ぎ回るグロテスクな魚が、段々と増えてきている気がしまぁす。
『キシャァァァ!!』
「発電室はどこだ、メルシュ!」
襲い掛かってきた歯茎の凄いフィッシュを、盾で壁に叩き付けながら尋ねるメグミ。
「もうすぐだよ、付いてきて!」
私とトゥスカで倒した場所を通り抜けぇ、曲がり角の前で止まるメルシュ。
船長から受け取ったカードを溝に滑らせぇ、小さなドアを開けまーした。
「ただの模様かと思ったら、こんな所にドアがあるとは」
暗いのもあって、妙に分かりづらいでぇす。
「行くよ」
中に入ると……大きな機械が沢山でぇす。
「それで、どうするのですか?」
「”機関士“のサブ職業をセットすれば、復旧の仕方が分かるんだよ」
メルシュがチョイスプレートを操作したのち、カバーを外して部品を組換え……電源が入りまぁした!
更にキーボードを操作し、部屋の機械を稼動させていくメルシュ。
「発電機が動き出したから、直に船全体に電力が戻るよ」
「さすがメルシュだな」
「サブ職業のお陰だよ」
などと言いつつ、スマイルを浮かべるメルシュ。
人間離れした愛らしさ……良いですねぇ。
「次は動力室でしたよね」
「うん、急ごう。あ、休憩するなら今のうちだよ。ここにはモンスターは入ってこれないから」
「安全エリアという奴ですねぇ……あ、宝箱でぇす」
装置の片隅に隠れるように、クエストが始まってからたびたび見掛けたダーティーな宝箱、見付けてしまいまぁした。
「罠解除」
宝箱を開けると……鋭い綺麗な作り物の鰭が出て来た?
「“ザ・ディープシーマーメイドフィン”、Aランク。人魚専用装備だね。遊泳速度を上げてくれる珍しいタイプ」
「これ、尾鰭の部分に装備するのか?」
「そうそう。切れ味も鋭いから、攻撃にも使えるよ」
さっきもトライデントが手に入りましたしぃ、なんだかぁ、スゥーシャさんの装備が充実しそうな勢いですねぇ。
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『ゥアアアアアアッ!!』
アンモナイトのゴリラみたいな奴が、拳を振り下ろしてくる!
「“超竜撃”!」
カウンター狙いで腕を弾き飛ばし、隙を作り出す!
「“天使の輪っか”、“天使剣術”――エンジェルプリック!!」
天使系のスキル、効果の威力を上げてくれる輪っかを頭上に生み出し、アンモナイトゴリラの胴体を穿ち抜いてくれるクマム。
「“伸縮”――“共振破壊”!!」
“一輪の華花への誓い”の刀身を伸ばしてアンモナイトゴリラの巨躯を突き破り、その他のモンスターにまで突き刺し――内部から破壊した!
「“氷炎魔法”――アイスフレイムブラスター!!」
ナオの魔法により、残っていたモンスターの大半が消失。
「ハアハア、きりがないわね」
「モンスターは無視して、あの鬼を最優先に追うべきかと」
「そうだな」
幸いと言うべきなのか、副船長の鬼は離れた場所から俺達を眺めている。
近付くと離れていき、モンスター達による足止めを受けてしまうというパターンを繰り返していた。
「く! 風が強いわね!」
雨が止んだと思ったら、今度は風が強くなり始めている。
「さっきみたいに一瞬飛んで下のデッキに降りるのも、もう難しそうですね」
あの時よりも、強烈な横風が打ち付けるようになってきているからな。
「中を行くしかないか」
ここからなら、パーティーホールに出てエレベーターを使うのが早いはず。
俺だけなら“壁歩き”でいけるだろうけれど、ここでバラバラに行動するのは危険。
「あ、電気が付いた!」
船内から灯りが洩れてきた。
「メルシュさん達が、電力を戻してくれたようですね」
暗がりを通るのは避けたかったから、ちょうど良い!
「こっちだ」
デッキ横の入り口へと先導する。
「パーティーホールのエレベーターを使おう」
「凄いですね。本当に、船の内部が頭に入っているなんて」
中に入るなり、クマムが褒めてくれる……のだが。
「いや……さすがに全部は憶えてないよ」
船内にプレーヤーがいないか確認した際、脱出路を頭に入れようとして、その他の部分もある程度憶えただけ。
さすがに、動力室までの順路なんて分からない。
発電室と違い、動力室はかなり下の後部だった気はするけれど。
「まあ、さすがに全部は無理でしょ」
「自衛隊員なら、万が一に備えて泊まるホテルの脱出路を実際に何回か歩いて、暗がりでも迷わないよう身体に憶えさせるらしいけれどな」
その話を聞いてから、ホテルの脱出経路くらいは地図で確認するようにしていた……実際に一通り見て確認したのは初めてだったけれど。
「――出て来たか」
豪華絢爛なホールに入るなり、深海モンスター共が床から染み出して来た!




