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ダンジョン・ザ・チョイス~デスゲームの中で俺達が見る異常者の世界~  作者: 魔神スピリット
第7章 本質を観る力

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249.ザ・ディープシー・カリバーン

「ナオ、広範囲に一発!」


「“氷炎魔法”――アイスフレイムバレット!!」


 コセさんの指示で、瞬時に青い炎を放つナオさん。


 海藻やコケが付着した貝殻で出来たようなモンスター達が、身体を部分的に凍らされて動きを止める。


「駆け抜けるぞ!」


 雨のせいで視界が悪い中、先陣を切ってデッキ中央を突っ切ろうとするコセさん。


 “竜剣”を飛ばしながら、二振りの大剣を流れるように操って人型の深海モンスター達を薙ぎ払ってくださる。


「わ!?」

「ナオさん!」


 私の前を走っていたナオさんが、船の急な傾きと共に体勢を崩してしまった!


「頼む、クマム!」


 自分の彼女さんなのに、自分で助けに行こうとしないなんて!!


 ……いえ。むしろ、先頭だからモンスターを一手に引き受けている状況……助けに行きたくても動けない状況なのに……なんで、そんなことにもすぐに気付けないんだろう、私。


 ……やっぱり、コセさんに対して悪感情を向けやすくなってしまっている。


「“天使の翼”!」


 ナオさんを急いで追い、抱え、翼を羽ばたかせて支えます!


「ありがとう、クマムちゃん!」

「いえ……」


「数がどんどん増えてる、急げ!」


 至極最もな意見と解っていながら、コセさんの言葉にまたイライラしてしまった。


 

●●●



「おぅ、宝箱でぇす!」


 船の通路の一角で、小汚く湿った黒い宝箱を見付けるなり、開けようとするクリス。


「クリス、ストップ!」


 メルシュがクリスを止め、箱に近付いていく。



○罠を感知しました。



「危ない危ない。はい、みんな離れて……罠解除」


 メルシュが”盗術”のスキルを使用すると、宝箱から白い煙が噴き出て……すぐに消える。


「高温ガスだったみたいだね。至近距離で浴びてたら、全身火傷になってたかも」

「そ、ソーリー……」


 さすがに萎縮しているクリスさん。


「宝箱は、全部メルシュに任せた方が良さそうだな」

「私は滅多にTPを消費しないからね」


 メグミの言うとおり、私達は少しでもTPを温存するようにした方が良さそう。


「それで、箱の中身は?」


 メグミが尋ねる。


「“ザ・ディープシー・カリバーン”、Aランク。水属性だけれど、マスターが使えば今の状況でも役に立つ武具だね」

「いきなりAランクが手に入るとは、幸先が良いな」


 大剣の高ランク……ご主人様が喜びそうです!


「ま、コセよりもルイーサ向きの剣だけれどね。聖剣系統の剣だから」

「ああ、ルイーサの盾と組み合わせられる条件でしたっけ?」


 ご主人様、どうやら新武器はお預けのようです。


「みんな、来るよ」


 通路の床から、青味のある黒っぽいコケのような物が生えてきて……貝殻を貼り付けたような怪物に変化していく!


「“ディープシーソルジャー”に“ディープシースネーク”、“ディープシービースト”だね」


「通路を塞ぐように出現するのか! ”連射“、“竜光弾”!」


 メグミが、いち早く迎撃に動いてくれる。


「……もしかして、だからご主人様を脱出ボートの方に行かせたの?」


 メルシュに尋ねる。


「船内じゃ、得物が大剣だと不便だからね。デッキで戦うならあまり気にする必要無いし」


「後ろからも来ました! “可変”!」

 

 片刃の細剣を銃に変え、対処してくれるクリス。


 遠距離が得意なこの二人が居れば、コッチは問題無さそう。


「トゥスカは片手斧でも戦えるし、戦力が必要なコッチに回って貰ったんだよ」

「なるほど」


 クマムの細剣では狭い場所で追い詰められると不利でしょうし、広範囲を攻撃できる魔法使いのナオは、広いデッキに回した方が良いと。


 ご主人様と離されたのは多少不満でしたが、仕方ありませんね。


「操舵室はすぐそこだから、ちょっと急ぐよ!」


 メルシュを先頭に、私達は船の中を駆けていく!



●●●



「ハイパワーブレイク!!」


 “グレイトドラゴンキャリバー”で、深海モンスターとやらをまとめて吹き飛ばす!


「副船長はどこだ?」


 雨と風で視界を遮られるため、この暗がりで人一人を見付けるのは困難!


「あそこです!」


 と思っていたら、クマムが指を指した方向の暗がりに、制服を着た場違いな男が一人。


「モンスターだらけなのに、まったく動じていないな」


 NPCだから、当然と言えば当然なんだろうけれど。


「私が鍵を貰って来ます!」

「おい、クマム!」


 魔神・大盾亀の時と今のクマムの行動が重なり――嫌な予感が込み上げてくる。


「すみません、脱出ボートの鍵を頂けませんか?」


 副船長と思われる男の前に降り立ち、尋ねるクマム。



「……はぁ?」



「――離れろ、クマム!!」

「へ?」


 モンスターを急いで薙ぎ払い、クマムのいる場所へと駆ける!


「“氷炎乱舞”!!」


 ナオが甲手から無数の氷炎を撃ち出し、俺とクマムの間にいた深海モンスターを吹き飛ばしてくれた!


「ナイスだ、ナオ!」



「あのボートは――誰にも渡さなぁぁぁいッ!!』



 ――副船長と思われる男が、深海モンスターの特徴を兼ね備えた、鬼のような姿へと変貌していく!


「な!?」



『ガァァァァぁぁぁぁぁぁあああッッ!!』



 黒い貝殻の鎧を着た青鬼の腕には、透き通るような藍色の巨斧が!!


『“深海重圧”』


 ――斧に紺色の光が宿り、そのままクマムへと振り下ろされる!


「“超竜撃”!!」


 鎧に文字を九文字刻んで身体能力を強化――斧に強力な一撃を叩き込んだ!


「コセさん!」

「無事か、クマム!」


 かなり危なかったぞ、今の!


 メルシュが敢えて言わなかったとも思えないし……俺達が別行動したのを良いことに、後から副船長の設定を変更したって所か!


「ふざけやがって」


 怒りすら生ぬるい想いが、一本の芯のごとく形となる!


「クマムは雑魚共を頼む」

「は、ハイ!」


 ――今なら、十二文字引き出した状態でもなんとか戦えそうだな。


『ガアアアアアアアアアアアッ!!』


「――ッ!!?」


 甲板にいきなり斧を振り下ろし、一瞬の隙を突いて……逃げていっただと!!?


「クソ、あっという間に!」


 しかも、俺達が元来た方向、船の前側に向かって移動している!


 あの巨体じゃ船の中には入れないだろうが、巨体に似合わない俊敏な動きが実に厄介そうだ。


「ど、どうしますか、コセさん?」

「鍵が手に入らなかった以上、一度メルシュ達と合流しよう!」


 下手をすれば、メルシュ達が合流場所であの鬼に襲われる心配もある!


「四人とも、無事でいろよ!」


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